36/93
040⚫️保護者会
「まったく。子どもっていうのは、大きくなるのが早い。」
「そうですね。あんなちっちゃかったヤオが・・・。」
「うちのビリーも同じですよ。転んでばかりだったのになあ。」
「バリーさん、どうもありがとうございました。ご子息のおかげで、うちの子の命が助かりました。」
「いやあ、何をおっしゃる、テンマ博士!お嬢さんの火炎瓶、見事に命中だったそうじゃないですかあ!」
「いや、あれは……うちの娘が、というよりも、ミサヨさんの力ですねえ。流石、オイシ夫妻のお子さんです。」
「ん?オイシ?…えっ、じゃあ、あのお嬢さん、あのコールド・フュージョン理論の?!」
「そうですよ。ああ、もうみんな授賞式の彼女の顔を、おぼえてないでしょうねえ。」
「うわあ!わたしの眼の前に王立研究所長がいて、しかもそのお嬢さんのトモダチがあの、オイシさん!」
「いや、あなたも伝統と格式のご一族の長でいらっしゃる。」
「……くぅう。なんというめぐり合わせ、なんという幸運!ビリー、小遣いの減額はなしだあ!」
ヤオとビリーの父親同士がグラスを傾けている。
飲んでいるのは、バリー秘蔵の一本。
あの火炎瓶の中身と同じである。
盛り上がるふたりに、間もなくジンが合流する。
彼が手にしているものは、銘酒大吟醸「無幻斎」である。




