14 プロジェクトNOS.E
『施設の全職員に伝達。地球より緊急連絡あり。プロジェクトNOS.Eが失敗に終わった。プロジェクトNOS.Eが失敗に終わった。カタストロフは6年後の見込み』
「やはり、そうなったか・・・」
室内放送に、ライナスが眉間にシワが寄る。
「ライナス。プロジェクトノーズって何?カタストロフって、なにが崩壊するの?」
「落ち着くんだ、ルーシー。この後、説明がある筈だよ」
ライナスは、必死にルーシーをなだめた。
説明された概要は、こんな物だ。
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1999年に発見された小惑星の中で、将来的に地球へ大接近する見込みの物があった。
その大きさは、落ちれば地球生物の大半を絶滅させる程のサイズだ。
2061年のハレー彗星がアポロ小惑星帯に接触し、連鎖的に多くの小惑星が軌道を乱したが、件の小惑星も影響を受け、地球にとって最悪のコースをとった。
2062年、国連が主要国に協力を求め、世界中の核兵器を総動員して、小惑星の軌道変更を行う行動に出た。
2070年、ほとんどの兵器と核物質を導入し、人為的犠牲もあって、目標の小惑星は地球への軌道を変えた。
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「なんだ?プロジェクトは成功したんじゃないか!」
「この小惑星って、以前にフランクリンが話していた物?」
「ああ、そうだ。この件を聞いていない君に、予備知識として話しておいた」
ルーシーは、地球での話を思い出した。
「その話を聞いて、私も調べたんだけど、その小惑星との最接近周期は一年チョットのはずよ。なぜ5年も前に?」
「小惑星が地球の引力圏を完全に離れるのを考えると、それくらい前にやらないといけないらしい」
小惑星の軌道を、核爆発程度で大きく変える事は難しい。
小さな角度で時間をかけて距離を稼ぐのだ。
「プロジェクト名の『NOS』って『ノストラダムス』なのね?」
「小惑星の『鼻っ柱』を叩く意味も含まれているけどね」
映像で表示された内容は、大量の核爆発を小惑星の前方で起こす事により、小惑星に進路変更と減速をさせ、太陽へと向かわせる物だった。
「成功なのに、なんで『カタストロフ』なのかしら」
説明が続いた。
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目標の小惑星1999JM8の軌道変更は成功した。
だが、それほどの衝撃波は他の小惑星にも影響を及ぼしたらしく、小惑星アポロ群最大のシシュフォスの軌道を変えてしまった。
観測結果によると、2076年頃に小惑星シシュフォスは地球へと到達する。
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「えっ?シシュフォス?」
「ルーシー、シシュフォスってなんだ?」
「地球の近くで、一番大きな小惑星よ。1999JM8よりも、もっと大きいわ。でも、まだまだ地球にぶつかる様な小惑星じゃなかったはずよ、ライナス」
「・・・・まさか、そいつもハレー彗星のせいで軌道が?」
ハレー彗星の衝突から、既に10年近く経っている。
その間の小惑星の軌道は、あまり民間には伝えられていない。
時々発生する、スターレインの告知があるくらいだ。
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2020年までの小惑星
小惑星とは、我々の太陽系の金星から木星の間に広く分布している、主に非球体の岩などの塊である。
大きさは、小石程度から千km近い物まで様々で、個々が独自の公転周期と速度で、太陽の周りを回っている。
特に火星と木星の間に多く存在するが、金星から火星の間にも、小規模ながらアポロ群、アモール群、アテン群などの小惑星群が存在する。
金星から地球間にアテン群。
火星軌道上にアモール群。
金星から火星の広範囲にアポロ群と呼ばれる小惑星群がある。
1999JM8
アポロ群に属する小惑星
軌道半径2.706 AU~0.948 AU
公転周期 4.45 年
軌道傾斜角 13.839度
直径7km
シシュフォス/1972 XA
アポロ群に属する小惑星
軌道半径2.913 AU~0.874 AU
公転周期 2.61 年
軌道傾斜角 41.19 度
直径8.2 km
1999JM8もシシュフォスも、地球軌道をまたいで金星から火星付近まで移動する小惑星なので、将来的には地球と衝突する可能性がある。




