保健室でいくら(俺が)騒いでも誰も来ないよね?
次に俺が目を覚ましたのは、保健室のベッドの上だった。
ふと、誰かの気配を感じてベッドの脇に目線を流すと、美鈴ちゃんがいた。
おっと、美鈴ちゃんが運んでくれたのかしらん。それは悪い事をした……。
「目が覚めましたか?翔太先輩」
ここで大丈夫じゃないなんて言ったら、甘えさせてくれるだろうな。
そんな少しの欲が俺の内から出てくる。けれど………。
そんな涙目で見られたら、……言えないじゃん?
「ああ、ごめん。美鈴ちゃん」
「よかったです、もうっ。心配したんですからね」
「………ッッ!! ~~~~~!」
ぷくりと頬を膨らませ、わかりやすく怒ってくれる彼女。
目には光る何かが。
てか、何かのうめき声が聞こえた気がしたが、今はそれどころではない。
これは、先輩としてマズったかな………。
「ごめん、ごめ……。いや、ありがとう」
少し言葉のチョイスを変えてみる。
「……っ。はい、どういたしまして」
効果があったのかは分からないが、美鈴ちゃんは今度はニコッと微笑んでくれる。
ああ、やっぱり可愛いな、なんて思ったりして。
「ところで、美鈴ちゃんが俺を運んでくれたの?」
「………………。いえ、兄さんが……。」
「………。ッッ!! ~~~~~!」
なんだよ、そのタメ。むっちゃ気になるんですけど。
それよりも美鈴ちゃんに負担が掛かってなかった事に安堵した。
まあ、その後に聞こえたうめき声は無視するとして。
「兄さんが、その……、あの……」
「言いづらかったら、別にいいよ」
本当は無理にでも聞きたいけど。でもいやな予感しかしないんだよなぁ。
「お! お、お姫様抱っこで………」
……………………。よし、アイツ●そう。
今一瞬にして、アイツのしたり顔が浮かんだぜ……。
「と、ところで! 決闘の事なんですけど……」
お。珍しく美鈴ちゃんが話を誤魔化した。
てかまあそうだよね。皆も気になるよね(気にしてほしい)。
どうしてあの状況で、如月が負けて、俺が勝ったのか。
俺は少しばかりどや顔で語りはじめ―――――
「…………っ!! いfwなm㈱おくbあ!」
「さっきからうるせぇよ! せめて日本語喋れよっ!!」
あと、お前はどこの会社なんだ。なんだよ㈱って。
三度うめき声をあげ、俺と美鈴ちゃんのそばに倒れていたのは、両手両足をロープで縛られた上に口をガムテープで塞がれた大輝だった。
…………何してんの? キミ。
そう思って戦犯を見やると、美鈴ちゃんはキョトンとした顔で首を斜めにかしげる。
いやいや、ここまでやるのは美鈴ちゃんしかいないんだけどなぁ。少しやりすぎな点は置いといて。
「……とりあえず、解いてあげてよ……」
お姫様抱っこの件は後でしっかり報復させていただくとして。
俺は美鈴ちゃんが大輝の拘束を解いていく様子を見ながら、先の決闘で起こった事を思い起こそうとした。