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3話「ハヤトの人脈の異常さ」

 ギルド内が、ざわざわと騒ぎ始める。

3人の内、真ん中にいるリーダー的な男性の身長はおそらく190ぐらいでピンピカで輝いているゴツい鎧みたいな防具を身につけていた。そして、金髪でオールバック。顔はゴリラ顔でガムらしきものを噛んでるのか、ずっと口の中でクチャクチャとしていた。ほか2人はおそらく手下みたいな感じの奴らなので説明は省くとしよう


 「あんたは?」


 「何だ?お前ぇ!!俺様のこと知らねぇのか??Aランク8位のオーグ様のことをよぉ!!」


 「ごめん、全然知らない。てかクチャクチャうるせーよ。話すかガム噛むかどっちかにしろよ。金髪ゴリラ」


 この言葉で、オーグは苛立ちの表情をさらに強くする。そして、急にハヤトの胸ぐらを掴み、盛大に持ち上げる


 「おー!おー!低ランクのカスのくせに生意気じゃねぇかぁ!!ちょっと痛い目見ないと分からないようだなぁ!!」


 「ちょっとオーグ!!やめなさい!!」


 アキラはオーグにハヤトを解放するよう頼む。しかし、オーグは完全にキレており、アキラの言葉が耳に入っていなかった。


 「はははは!!所詮、カスはカスだなぁ!!てめぇみたいな低ランクは高ランクの冒険者の前では素直に跪つければいいんだよぉ!!」


 「苦しいから………離せよっ!!このゴリラ野郎!!」


 ハヤトは体を揺らし、オーグの鎧の胸部部分に足を乗せ、全体重乗せてから思っきり跳ね上がり、オーグの手から離れる。


 「あー、苦しかった。」


 ハヤトは首に手を当てながら、ゲホッゲホッと咳払いをする。


 「このカス野郎!!俺様の大切な防具に汚ぇ足跡付けやがってぇぇぇぇぇ!!」


 よく見ると、オーグの鎧の胸部部分には綺麗な足跡が付いていた。激怒しているオーグに対して、ハヤトはため息つきながら


 「自業自得だろ……」


 「黙れ!!もう俺様は貴様のことを許さねぇ!!低ランクの冒険者が高ランクの冒険者に喧嘩売るとどうなるか教えてやる!!」


 「喧嘩売ってきたのはそっちだろ!!俺はただこのお姉さんと楽しい会話をしていただけだ!!」


 いや、別に楽しい会話した記憶ないんだけど………と、アキラは心の中でツッコミを入れるが、このままだと主にオーグが暴れてギルドが壊れかねないと判断し、


 「いい加減にしなさい!!」


 殺気のオーラを漂わせながら、アキラは大声を上げる。アキラの殺気を感じたオーグはすぐに血の気が引いて冷静になる。ハヤトは無表情のままだ。


 「くそ!運が良かったな低ランク野郎!!覚えとけよ!!」


 アキラの殺気に耐えられなくなったのか、オーグはハヤトを睨みながらガムを吐き捨て、手下2人を連れてどこか去って行った。


 周りの冒険者は唖然していた。


 そんな中、ハヤトも無言でギルドから出ようとしていた。それをアキラは急いで追いかける。


 「ちょっと!どこ行くの!?」


 「思ったより時間掛かっちゃったから、クエストの方に行くよ。まぁ、知り合いだけど依頼主の人が待ってるからさ。あ、さっきは悪かったな。酷いこと言って。あの金髪ゴリラを止めてくれてありがとうね。俺、あんまり目立ちたくないから助かった!!じゃあまた!!」


 ハヤトはそう言って、クエストの方に向かおうとした。


 「ちょっと待ってよ!!私も行く!!」


 アキラの言葉で、ハヤトは目を丸くする。


 「何で??一緒にいたところで楽しくないぞ??」


 「私、もう少し君のこと見てたいの。お願い」


 「ハッ!!まさか俺のこと惚れたとか??」


 「それはないから」


 アキラはジト目で即答した。これに対して、ハヤトは「冗談だよ」と苦笑いしながら、自分のことをあまり干渉しないという約束でアキラの同行を了承した。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「あらー、ハヤトちゃんじゃない!!」


 「おっす!おばさん!!」


 歩いていると、果物屋を経営している見た目90代くらいのお婆さんにハヤトが声をかけられた。ハヤトは無表情だが、手をひらひらして対応する


 「この前はありがとね!!あれから、うちの旦那すっかり元気になって仕事に復帰したのよ。もうハヤトちゃんには感謝だわー!」


 「本当??それは良かった!!おじさんによろしくって伝えといてよ」


 それから、おばさんにお礼として色んな果物が一杯詰まっているカゴを頂いたハヤトは再び歩き始める。そして、歩きながらバナナを食べているハヤトにアキラはそそっと近づく。


 「もしかして、ハヤトくんがヘルゴナヤでやってたクエストの依頼主って……」


 「うん、あのおばさんだよ。はい、アキラさん」


 ハヤトはカゴからバナナ1つ取り出し、アキラに渡す。アキラは「あ、ありがと」と言ってバナナを、受け取り食べ始める


 「聞いた話によると、あともう少し遅かったら旦那さんヤバかったんだってさ。本当に良かったよ。」


 「そうなんだ」


 「うん、やって良かったって心の底から思うよ」


 その時のハヤトの顔は普段は無表情なのに、今は本当に嬉しそうに笑っていた。

アキラはハヤトのことをますます興味深い子だと思った。


 そこからも歩いていると、ハヤトは色んな人に声をかけられる。


 「よう!ハヤト!この間は助かったぜ!!またよろしくな!!」と、大工のおじちゃん


 「ハヤトお兄ちゃん!!この前は一緒に遊んでくれてありがとうね!!また遊ぼうね!!」と、広場で遊ぶ可愛らしい子供たち


 「うっふーん、ハヤトちゃあーん♡またうちの店に来てねぇん♡いっぱいサービスしちゃうわよぉ〜~♡」と、クネクネと気持ち悪く腰を動かすオカマ


 「ハヤト様!無職だった私がこうして社長として働くことが出来たのはハヤト様のお陰です!!何かあったら、すぐにご連絡して下さい。我社一同、全力でサポート致します」と、アキラでも知ってる武器のメーカー『疾風』の社長さん





 「ちょっと待てーーーーい!!」




 耐えられなくなったアキラは大声でハヤトに呼びかける。ハヤトは不思議そうにアキラの方を見て、首を傾げる。


 「どうしたんだ?急に大声出して」


 「どうしたもこうじゃないわよ!!何!?あなた普段、何やってるの!?」


 「何って、Fランクのクエストだよ?」


 「最初の大工さんと子供はまだ分かるよ!!けど、次のオカマと社長は何!?Fランクのクエストでどんな人脈得てんのよ!!」


 アキラは自分でもびっくりするぐらいツッコんでしまった。我に返ったアキラは顔を赤くしてしまった


 「アキラさん………ツッコミのセンスあるよ。マジで」


 「やめて!!恥ずかしいから!!」


 意地悪っぽく微笑むハヤトに対してアキラはさらに顔を赤くして叫ぶのであった。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 「着いた!!」


 「ここは?」


 ギルドから歩いて20分くらい離れたところにある1店舗の店の前に2人は立っていた。どうやら、飲食店の店のようだ。いい匂い漂ってくる。


 「『スズラン』。俺の行きつけのお店だよ」




 「ハヤトさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」




 店から、勢いよく1人の女性が突進してくる。それを分かっていたかのようにハヤトは華麗にそれを避ける。そして、女性はそのまま顔面からスライディングしていった。痛そう


 「いたた……何するんですか!!」


 「いや、チアキちゃん。それは、こっちのセリフだから。」


 チアキと呼ばれている女性は体についた砂や埃などを手で払っていた。身長は160くらいで顔はとても美人だ。髪は桃色でポニーテール。服装は胸の部分に『スズラン』と刺繍してあるエプロンを来ていた。


 「で、クエストの詳細はこの店で説明するって書いてあったけど何があったの??」


 「あ、ハイ。実は………」


 どうやら明後日に200人を超えるギルドパーティがスズランのところで貸し切りをしたいとお願いしてきたしい。急な話なので断ろうとしたが、そのギルドパーティには色々とお世話になっているので断るに断れなかったらしい。


 「明後日までに200人分の食材を仕入れるなんて無理なんです。だから依頼をお願いしました。」


 「じゃあ、俺は200人分の食材を調達してこればいいってことか?」


 「はい」


 「分かった。明日の昼までには200人分調達してくるよ。ちなみに調達してほしい食材とかリストとかある?」


 「あ、はいこちらに」


 チアキは、ハヤトに1枚のメモを渡す。そのメモを見たハヤトは「ふむふむ」と頷き


 「分かった。これぐらいだったら、すぐに調達できるよ。待っててね」


 「流石はハヤトさん!!素敵です!!ハヤトさんで良かったです!!」


 チアキは顔を真っ赤にして、ハヤトにお礼をする。

 あ、この子、ハヤトに恋してるな??と女の勘の何かが働いたアキラ。



 そして………



 「気になったんですけど、ハヤトさん」


 「ん?」




 「さっきから、そばにいるそちらの女性は誰ですか??」


 チアキは邪悪な殺気のオーラを漂わせながらアキラの方に指を指したのだった。


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