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俺やん村  作者: かゆると


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1/10

俺やん村設立

時は、戦国


でも、ここは戦国時代であって

戦国時代じゃない


戦もなく、争いもない


あるのは

平和と、合言葉


平和と合言葉を大事にする村


それが、俺やん村


……とはいえ


この時はまだ

この場所は、『村』と呼ばれるほど

人はいなかった


すべての始まりは

一人の男との出会いだった


「今日も暑いな~」


あなたは、そう言いながら

一人で草むしりをしていた


「…………今日も暑いなー」


「…………」


そんな平和な時間を過ごしていると


ふと、遠くから

一人の男がこちらへフラフラと

歩いてくるのが見えた


あなた「……誰だろう?」


男はキョロキョロと辺りを見回している


どこか訝しげな様子だ


あなたは草むしりの手を止め

しばらくその男を見つめていた


すると…

男と目が合った


「…………」


男は、こちらへゆっくりと近づいてくる


そして


村重「お尋ね申す、ここはどこか?」


あなた「ここは、名もなき村です

    あなたは、どなた?」


村重「あ、これは申し遅れた」


男は姿勢を正す


村重「自分、村重と申す」


あなた「村重……?

    村重……村重……」


少し考えて


あなた「ああ!有岡城の!?」


村重「うむ、いかにも、自分が荒木村重」


あなた「で、あなたはどうしてここに?」


そう尋ねると

村重は少し困ったような顔をした


村重「いや……自分、城主として生き

   茶人として生きて……

   そして、死んだはずだったのだが…」


あなた「…………」


村重「目が覚めたら

   何故かここに辿り着いたのだ」


あなた「……そうですか」


村重「…………」


あなた「…………」


あなたは村重を見る


行くアテもない


帰る場所もない


どうやら本人にも

何が起きているのか分かっていないらしい


あなたは少し考えると

スッと、村重へ手を差し出した


あなた「行くアテがないなら……」


村重「…………?」


あなた「この村で過ごせばどう?」


村重「…………」


村重は、差し出された手を見る


そして、あなたを見る


あなた「ただし……」


村重「?」


あなた「合言葉は覚えてね」


村重「合言葉とは?」


あなた「俺やん」


村重「…………」


村重は固まった


村重「お……おれ?」


あなた「うん」


村重「…………」


あなた「お、れ、や、ん」


村重「俺やん……」


あなた「ヨシ!」


あなたは満足そうに頷いた


あなた「これであなたも、俺やん村の村民ね!」


村重「…………」


村重はしばらく黙っていた


そして


村重「その合言葉は、どこから……」


あなた「んー?」


あなたは首を傾げる


あなた「なあに?村重」


村重「…………いや……なんでも、ない」


あなた「……ふふっ」


あなたは小さく笑った


そして、もう一度村重を見る


あなた「じゃあ、いくよ?」


村重「……?」


あなた「あなたは、だあれ?」


村重「…………」


村重は、少しだけ考えた


そして………


村重「…………俺やん」


あなた「せいかーい!」


あなたは満面の笑みで頷いた


こうして

俺やん村の村民、第一号


荒木村重が仲間になった


まだ、この時は誰も知らない


この一人の男との出会いが


様々な武将たちを

この村へと呼び寄せることになるなんて。


戦国なのに、戦のない村


平和と、合言葉を大切にする村


俺やん村


その歴史は、

今、ここから始まった。

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