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「え····えぇ。とても良くしていただいてるわ」
突然出てきた"ゲルヴェイン大公家"の名前に戸惑いながらメニアドールは当たり障りのない返事をした。
ゲルヴェイン大公家との婚約は、メニアドールが四歳の頃に"婚約者の死"によって立ち消えた。
亡くなった理由は屋敷の火事だったと聞いている。
焼け跡から見つかった遺体の損傷は激しく、誰が誰だか分からない状態だったそうだ。
<どういう事??ゲルヴェイン大公一家が生きている??>
過去が変わっている。
それが何を意味するのか。
<何が起こっているのか、調べる必要があるわ。問題ないなら破棄しても良いわね>
"これから"に影響するかもしれない。
時を巻き戻ってきたメニアドールにとって、元々があって無いような婚約だ。破棄しても問題ないだろう。
『マデリア』
夫であったベルナードの顔が頭に浮かんだ。彼の求婚によって決まった結婚。
大切にしてもらった。
それと同じくらい大切だった。
そこにあった感情が"愛"とか"恋"とか、そういうモノかどうかまではわからないけれど。
それでも。
『何度時を戻っても貴方と結婚したいと思っているわ。ベルナード』
貴方以外は要らない。
だから、この婚約は"必要ない"。
私はもう"マデリア"ではないけれど、貴方が"それでもいい"と言ってくれるなら、もう一度貴方と結婚したい。
メニアドールはそんな事を思いながら、紅茶を飲んだ。




