63. シャム
【あらすじ】ミミとココは一卵性の双子なのに、とても仲が悪かった。
その双子の女の子は、頭のところで繋がっていた。二人は勿論同い年で、もうじき十二歳になる。向かって左がミミ、右がココだ。二人は、非常に仲が悪かった。四六時中喧嘩ばかりしており、ちょっと目を離すと相手をひっかいたり髪の毛を毟ったり、可能であれば噛みつきもしただろう。だが二人はお互いに首を横に傾げた形で頭部がくっついていたため、噛みつくことはおろか、直接お互いの顔を合わせて見つめ合うこともできなかった。
二人とも、身長や髪の色、目や口の形に鼻の高さ等、身体的特徴は非常によく似ていた。いわゆる一卵性というやつだ。しかし、服の好みから好きな食べ物、趣味まで全て異なっていた。ミミは運動が大好きで友達も多く、休日にはキャンプや遊園地等、いつでも外に行きたがったのに対し、ココは読書好きで室内で絵を描いたりピアノを弾いたりするのが好きな内向的な娘だった。勉強が得意なのはココで、おしゃれに敏感で、そのファッションセンスに定評があるのはミミ。元の顔やスタイルは同じなのに、ミミは同同学年の女子の羨望の的になるほど自らの魅力を百二十パーセント発揮できるのに対し、ココは髪型から靴下までまるっきりあか抜けず、おどおどしていて、クラスの男子から告白されたこともない。
二人に共通しているのは、お互いを嫌い憎んでいるということぐらいだった。
「私のテストの回答を見たでしょ!」
「あんたが勝手に私のリップクリームを使ったからよ!」
「あのピンクのトップを貸してくれなかったじゃない」
「あんたなんかに、似合わないわよ」
そんな風に今日も取っ組み合いの喧嘩を始めた二人に、ママは溜息をついて言う。
「どうしてあなた達は、そんなに仲が悪いのかしら」
「こんな頭の悪い子と一緒に居たくないからよ! 馬鹿がうつったらどうしてくれるの?」とココ。
「そっちこそ、あんたのダサさがうつったらモテなくなっちゃう!」とミミ。
「いい加減にしなさい!」
ママに叱られて、ふてくされたミミは外に散歩に行きたがったが、ココは家で古い映画のビデオを見たがった。また喧嘩が再燃しそうになったが、まず一時間散歩してから家でおやつを食べながらビデオを見るようにママが厳しく命令し、二人は不満そうな顔をして、お互いそっぽを向きながら出て行った。
「本当に不思議だわ。一卵性の双子で、しかも、一つしかない脳を共有してるっていうのに」
とママは溜息をついて、二人が戻って来た時のために、おやつの準備を始めた。




