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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第520話 俯瞰する者

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

side ???


 ――はじまりましたね。


 ファインは、この日をどれほど待ちわびていたことか。

 復讐という名の舞台に立ち、願いが叶った今――その表情は、実に満ち足りている。


 対するあのギャノンというガキ。

 先ほどまで随分と調子に乗っていたようですが、ファインに一発殴られただけで、もう見る影もありません。威勢だけが取り柄の小物というのは、こういう時に実にわかりやすい。


「て、テメェ……よくも俺を殴ったな!」

「黙れ。この程度で済むと思うな」


 ファインの右腕に、黒い炎がまとわりつく。

 影炎――影あるものを、その“影ごと”存在そのものを焼き尽くす力。

 それが、ファインに与えられたギフトです。


 苦しみの深さも、焼き尽くす速度も、すべては使用者の感情次第。

 なるほど。復讐心に燃えたファインほど、この力に相応しい者はいない。


「ひっ……! り、竜……!」


 おや。

 石化が解けたかと思えば、また石化していますね。


 どうやら黒竜の姿に恐怖し、感情の高ぶりで勝手に魔法が發動したようです。

 まったく――身勝手に神の領域に手を伸ばした愚者だけありますね。こうも稚拙に扱うとは。


 だからこそ、人間は愚かで、嘆かわしい。


「そうか。お前、まだ妹のことを根に持ってるのか? まったく、マゼルといい……ここはシスコンばかりだな」

「――黙れ」

「ハハッ。図星か」


 ギャノンが立ち上がり、指を鳴らして嘲る。

 余計な言葉を選び、わざわざ怒りを煽る――実に短命な選択です。


「今のお前の姿を妹が見たら、どう思うかなぁ」


 空気が、変わりました。


 ファインの右手に宿る影炎が、怒りに呼応するように勢いを増す。

 その瞬間でした。


「お兄ちゃん、もうこんなこと……やめて――」


 少女が、現れました。

 ファインに向かい、震える声で訴えかける存在。


……お兄ちゃん、ですか。


 ですが、それはありえない。

 この場に“妹”がいるはずなど、ない。


 つまり――


「あ、あぁああああああああッ!?」


 妹を名乗っていた“何か”が、黒い炎に包まれました。

 絶叫が、悲鳴が、周囲に響き渡る。


「て、てめぇ! 自分の妹を――!」

「俺の妹は死んだ。妹だけじゃない……俺の家族は、全て――」

「ボス、助け――」


 焼かれながら、必死に伸ばされた手。

 しかし、その声が届くことはありませんでした。


 肉体は炭化し、崩れ、やがて骨すら残さず朽ちていく。


……愚かな最期です。今のファインに、妹の姿を見せればどうなるか――少し考えればわかることだというのに。


「次はお前だ」

「もうやめろ、ファイン!」


 ファインの肩を掴んだのは、イロリとかいう教師。


 この状況でもなお、自分がやられる側だと理解していない。

 実に、愚かしい。


「離せ」

「ファイン……これ以上、罪を重ねるな。俺の命で気が済むなら、いくらでも持っていけ。だから――」

「ふざけんなッ!」


 怒声と共に、ファインがイロリの襟首を掴む。


「テメェごときの安い命で、俺の怒りが収まるわけねぇだろうが! 勿論、テメェは殺す! だが――それは後だ!」


 イロリを投げ捨て、ファインはギャノンへと向き直る。


「まずはお前だ。ギャノン」

「くそ……! お前ごときに、やられてたまるかよ!」

「ファイン……どういうことだ。何ぜ、お前はそいつにそこまで……」


 イロリが呆然と呟く。

 どうやら――ギャノンが何をしたのか、まだ知らないようですね。


 さて。

 このままファインがギャノンを殺すのは、少々まずい。


 殺すにしても、もう少し引き延ばす必要があります。

 ここで満足され、肝心な“舞台”から退場されては困る。


 もっとも――今回は他にも協力者がいます。

 マゼルなど、とっくにやられている可能性もありますが……念には念を、です。


「それなら――聞かせて差し上げましょう」


 私は黒竜の頭の上から、声を張り上げました。


 そして、悠々と地上へと降り立ちます。


「――バジル、余計なことを」

「まぁまぁ。よろしいではありませんか」


 私は指先から糸を伸ばし、周囲に転がる人形を手繰り寄せる。


「ここには、実におあつらえ向きな小道具が揃っています。教団一の人形使い――この私が、語らずしてどうしましょう」


 糸が軋み、心地よい音を立てる。


「ファインと、そこにいるギャノン。そして――あの教師の“裏切り”。すべて、余すところなく語って差し上げましょう」


 人形が動き出す。

 裏切りと怨嗟を映す、人形劇の幕が上がる。


「さぁ、刮目してご覧なさい。

 これから始まるのは――

 ある一人の男が、復讐を誓うに至るまでの物語」


 キキキィ、と糸が鳴る。


「――さぁ、はじまりはじまりぃ」

明日1月27日発売の月刊コミックREX3月号にて本作のコミカライズ版第66話が掲載されます!

コミック単行本第11巻も好評発売中です!どうぞ宜しくお願い致します!

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