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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第518話 魔力0の大賢者、察して助けに向かう

 生徒会執行部からの連絡を受け、僕は学園内に入り込んだ魔獣の対応に追われていた。


 巨大な狼型魔獣。

 地を揺らす地竜。

 空を切り裂く怪鳥。

 そして、多頭で襲いかかってきた魔獣の群れ。


 次々と現れるそれらを、僕は確実に沈めていく。


 最後の一体が地に伏し、完全に動かなくなったのを確認して、ようやく息を吐いた。


「……これで、こっちは大丈夫かな。しばらく目は覚まさないだろうし」

「マゼル~~~~!」


 背後から聞こえてきた、間の抜けた声。

 振り返ると、巨大化したクマのぬいぐるみに乗ったベアが、のんびりと手を振りながらやってきていた。


「凄い! これ全部マゼルがやったの?」

「うん。ベアの方は大丈夫?」


「大丈夫だよ~。Sクラスのみんなも、好き勝手動いてるし!」


……それは本当に大丈夫なんだろうか。


「それにしても、ずいぶん大きくなったね」

「うん! 私の魔法はね、クマちゃんを操れるの!」


 なるほど。

 大きさまで自在に変えられるのなら、かなり応用が利きそうだ。


 転生前の世界と比べると、本当に魔法の幅は広がったと思う。


「ベア、こんなところにいたのかい」

「あ、ローズだ~」


 Sクラスのローズも合流してきた。

 周囲を見回すその様子も、どこか余裕がある。


「この魔獣……マゼルが倒したのかい? 本当にとんでもないね」

「マゼルはやっぱり凄いよね! 私のクマちゃんを可愛いって言ってくれただけある!」

「それ、関係あるかい?」


 クマを撫でながら胸を張るベアに、ローズが苦笑する。


――魔獣襲撃の真っ只中とは思えない、妙に穏やかな空気だった。


「ところで、この魔獣は起きないのかい?」

「しばらくは大丈夫。でも拘束はしておきたいし、誰か呼んだ方がいいかな」

「それなら任せて。美しい薔薇には棘がある――薔薇魔法・ローズバインド!」


 床から茨が伸び、魔獣の体を絡め取る。

 力強く、隙のない拘束だ。


「薔薇に特化した魔法なんだね」

「そうさ。特化してる分、色々できる。例えば――」


 ローズは茨を引き抜き、軽く振る。

 それはまるで鞭のようだった。


「こんな使い方もできるのよ。希望があれば、マゼルを存分に打ってあげる」

「……遠慮しておくよ」


 苦笑しか返せなかった。


――助けて……マゼル……。


 その瞬間だった。


 胸の奥に、ひどく嫌な感覚が走った。


「――今のは」

「マゼル? どうしたの?」

「ごめん! 急がないと!」


 説明する暇はなかった。

 僕はそのまま校舎を飛び出した。


 理由は分からない。

 でも、行かなければならないと、体が理解していた。


 そして――いた。


 首を掴まれ、宙に持ち上げられているビロス。

 その前に立つのは、全身が甲殻のような肉体に覆われた大男。


 人間じゃない。

 でも、そんなことはどうでもよかった。


 踏み込み、一切の躊躇なく蹴りを放つ。


 衝撃音とともに、大男が吹き飛んだ。


 落下してきたビロスを、そのまま受け止める。


「ビロス。もう大丈夫だから」


「――マゼル……」


 抱きついてきた小さな体が、かすかに震えていた。


 怖かったんだ。


 そっと地面に下ろし、回復を施す。


「温かい……マゼル」

「これで怪我は大丈夫。後は僕に任せて」

「……うん」


 小さく頷くのを確認してから、僕は前を向いた。


 吹き飛ばされた大男が、ゆっくりと立ち上がる。


「いきなり蹴り飛ばすとは、随分な挨拶だな。大賢者」

「……僕のことを知ってるんだ」

「あぁ。なんとなくな。お前がマゼルだって」


 大男は口角を吊り上げる。


「俺はミクス。最強の雄だ」


 こいつの名前なんて正直、どうでもいい。


「ねぇ。どうしてビロスを狙ったの?」


 問いかける声は、驚くほど静かだった。


「ん? あぁ、その雌か。本当の目的はお前だったんだが……面白そうだったから、少し遊んでやってただけだ」


 その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で何かが切れた。


「……だったら」


 地面を蹴る――彼我の距離が一気に詰まった。


「最初から――僕だけを狙えよ」


 拳を振るう。


 音もなく、衝撃だけが伝わり、

 ミクスの体が再び弾丸のように吹き飛んでいった。

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