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居眠り卿と純白の花嫁  作者: 中里勇史
ラフェルス副伯領へ

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始動 その2

 次は、軍事面だ。

 いつもの酒場に行くと、ラゲルスがいた。麦酒を飲んでいる。

 「おう、旦那。仕事ですかい?」

 平民階級まではウィンの受爵の話は広まっていないらしい。もっとも、「誰が副伯に」などという話は平民の関心を引かないのだが。

 「仕事の依頼と、相談だ。ラゲルス、領主になる気はあるかい?」

 「ない」

 「理由とか聞かないの?」

 「その気がないんだから聞く必要もねぇって。何? 旦那が領主様にしてくれるって?」

 「領地をもらった。だから猫の額より少し広いくらいの領地ならあげられる」

 「へえ、大したもんだ。でも要らねぇな」

 「まあそう言うと思ってたけどね」

 「ベルウェンならどう答えると思う?」

 「俺と同じでしょうな」

 「だろうね」

 拒絶されることは分かっていたが、これで「打診した」という義理は果たした。

 「もう一つ相談だ。傭兵をやっている遍歴騎士の中に、仕官を希望している者はいるかい?」

 歩兵はともかく騎士階級の家臣はある程度そろえておかねばならない。

 「ああ、それならいるでしょうな。話回しときますよ」

 「それはありがたい」

 「騎士も要るのか。一体どれだけ領地もらったんで?」

 「副伯になった。領地はラフェルス」

 「副伯だぁ!?」

 ラゲルスが椅子から転がり落ちた。ラゲルスが大声を上げるので酒場中に聞こえてしまった。

 「え、ウィンの旦那、副伯になったのか?」

 「副伯って、冗談だろ?」

などと、話がどんどん広まっていく。

 「騒ぎになったじゃないか。ラゲルス、責任取ってくれよ」

 「いや、参ったなおい……。てめぇら、新たな副伯に乾杯だ!」

 「乾杯!」「乾杯!」「乾杯!」「乾杯!」「乾杯!」

 強引な音頭で、取りあえず落ち着いた。

 「相談は終わりですかい? 後は仕事で?」

 「うん。領地に行くに当たって騎兵50、歩兵200ほど集めてほしい。新領主のお国入りってのはそういうものらしい」

 普通は自分の家臣を引き連れていくのだが、ウィンにはそもそも家臣がいない。

 「貴族様ってのは面倒だな。ま、騎兵は仕官志願者中心に集めときまさ。出発は?」

 「24日。また南門の外で」

 「了解です」

 後は……。

 「そろそろ馬も買わなきゃなぁ……」


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