25話
タイバーンの家を出た俺は、リアスに連れられ川原へとやって来た。そこでリアスは俺を放っておいたまま、瞑想を始めた。放置された俺は帰りたい気持ちを押さえつつ、リアスと一緒にいることにした。
「あんたはやらないの?」
しばらくボーッとしていたら突然リアスから話しかけられた。
「え、何を?」
突然の事に戸惑いながらも聞き返す。
「だから、あんたは瞑想しなくていいのか聞いてるのよ」
「ああ、今日はやめとくよ」
「そう…」
おかしい、いつもなら何でやらないのか聞いてくるはずなのに聞いてこないし、いつもより元気がないように感じる。
「あんた怪我は大丈夫なの?」
「タイバーンが治療してくれたから大丈夫だよ」
「本当に?」
「うん」
「そう、それなら良かったわ」
「元気がなさそうだけど何かあったの?」
そういうとリアスはこちらを一瞬睨んで、また静かになってしまった。時間はもう月が辺りを照らす頃になっていた。
「怖かったのよ…」
ポツリとリアスが言った。
「魔法を放った直後に我に帰った、でもその時には、あんたはすごい怪我を負っていたの…」
「怖かった、自分のした事で、あんなにも簡単に人を傷つける事ができるって…わかったんだから」
「ご…めん…なさい」
泣いている、あのリアスが?しかしそれも当然だろう、俺とは違い幼い少女なのだから。確かに、自分の手で誰かを傷つけてしまえば、恐怖心が沸いてしまうだろう。
「泣くなよ、もう気にしてないからさ」
「泣いて…なんか…ないわ…よ…」
そう言いつつも、彼女の鼻をすする音と、嗚咽から泣いていることはわかりきっていた。
「誰でも失敗する事はあるし、自分の持っている力に恐怖する事はある。でもそれを恐れていたんじゃ前には進めないよ、だからいつも通り元気を出して前に進もうよ」
「ええ…」
しばらくは泣いていたリアスも、時間がたつと泣き止んだ。もう時間も遅いので帰ることにしよう。
「さあ、帰ろっか」
「そうね」
リアスをタイバーンの家に送る途中、リアスがいつもの調子で話しかけてきた。
「さっきの事は忘れなさい」
「さっきの事ってリアスが泣いてたこと?」
「泣いてないっていってるでしょ‼」
「はいはい、そーですね」
「ちょっと、なによその返事はー‼」
怒ったリアスが走って追いかけてくる。俺は捕まらないように走る。
さっきの光景は、月明かりだけでは暗くて泣いているように見えたことにしておこう。
「こらー!待ちなさい‼」
怒ったリアスに追いかけられつつ、俺達は家に帰った。
もちろん俺は、もっと早く帰ってくるように、怒られたのはいうまでもない。
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