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36 春のお別れ
数週間後。
卒業式を無事に終えた幸村は、教室で同級生たちにお別れの挨拶をしていた。
「あーあ、聖が遠くに行っちゃうなんて、寂しいなー。つい最近まで、地元の高校に通うって言ってたのに」
マコトがため息混じりにそう呟いてきたので、素直に謝る。確かに自分は、友人たちには地元の高校に進学すると公言していたのだから。
「ごめん。急遽、予定が変わったと言うか、行きたい高校ができたと言うか……」
「はいはい。謝罪の言葉なら、耳にたこができるくらい聞いたよ。もういいって。それが聖の決めた道なんなら」
「……本当にごめん」
マコトとは、もしかしたら同じ学校に通うかも、というところまで話が進んでいたために、余計に申し訳なく思う。
「あーもう、そんな陰気な顔すんなよ! 俺、そういう涙のお別れ的な卒業式とか、あんま好きじゃねーんだからさ」
「あ、うん。ごめん」
「だからぁ~」
がっくりと肩を落としてため息をつくも、これも聖らしさなのだと、マコトはすぐに笑顔を取り戻す。
「聖、俺やクラスのみんなのこと、忘れないでくれよ」
「勿論だよ。忘れない、忘れないよ」
永野聖として生きた道も、幸村にとってはかけ替えのないものなのだから。




