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28 声の主
『来てしまいましたな』
暗闇に響く声。もう慣れたので、狼狽することはない。
『覚悟は、できたでございまするか?』
「うん」
自分の思いがようやく声になったのを、幸村は驚かなかった。自分が浄化人になったからもう声は出るはずだ、と予測していたのだ。
だって……。
「俺は、戦うよ。だから瞼も、もう開けていいよね?」
『ああ』
幸村はゆっくりと目を開ける。あれほど言うことを聞かなかったのに、あっさりと動いた。
それはきっと、この声の主が誰だかわかったからだろう。
広がっていたのは、やはり暗闇だった。そこに立っているのは、一人の武将。想像通りの顔をした人物。
『やつがれの言ったこと、覚えてございまするか? 迷ったときには……』
「覚えてるよ。だから、その言葉通りの選択をするつもり」
『そう。なら、安心でございまする』
「うん。俺は、己の魂の示した道を行く」
今まで気づけなかったのは、多分、あまりにも身近すぎたからだ。
武装をし、少し大人びているものの、自分とまったく同じ顔をしているその武将に、幸村は微笑する。
そう……これは、自分自身の声だったんだ。




