表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/17

オーギュスト公爵家④


「あぁ・・・リリス・・・。」



自室のベッドの上で弱々しくそう呟くのはオーギュスト公爵夫人だ。



かつて社交界の華と謳われたその美貌は見る影もない。





オーギュスト公爵と公爵夫人は貴族では珍しい恋愛結婚だった。



公爵夫人は元々あまり力のない伯爵家の出身で、オーギュスト公爵家とは釣り合わない身分の人間だ。



だが当時嫡男だった現オーギュスト公爵と恋に落ち、周囲の反対を押し切って結婚した。



そうして生まれた第一子がアーノルドだった。



アーノルドのことももちろん可愛かったが公爵夫人はずっと女の子が欲しいと願っていた。



そして数年後、待望の女児を授かった。



それがリリスだった。



生まれた時のリリスは天使のようにかわいらしかった。



いや、生まれた後もずっと可愛かった。



そして長い年月を経て少しずつ美しい女性へと成長していった。



家族全員、シルビアが現れるまではリリスを可愛がっていた。



それなのに・・・



大事な愛娘を傷つけてしまった。



公爵夫人は罪悪感に押しつぶされそうだった。



(リリスはもう戻ってこないのよね・・・。永遠に・・・。)



公爵夫人の目から涙がこぼれた。



(私は・・・家を追い出す時リリスに何て言った・・・?ものすごく酷い言葉を浴びせた気がする・・・。)



『恥ずかしいわ。こんなのが一時でも私の娘だったなんて。』



(っ!!!)



思い出したくもなくて、公爵夫人は考えるのをやめた。



あれから家族とは一切口を聞いていない。



何十年も変わらず仲の良い家族だったというのに。



公爵夫人は動く気力も残っていなかった。



(リリス・・・すごく幸せそうだった・・・。新しい家族たちに囲まれて・・・。)



最後に見たリリスを思い出した。



今のリリスにとって両親は自分たちではなく、あの時見た人たちなのだ。



その事実に傷ついている自分がいる。



(娘の幸せを素直に喜べないだなんて・・・私は母親として失格ね・・・。)



リリスはもう自分を親だとは思っていないだろう。



当然だ。それだけのことをしてきたのだから。



先ほど聞いた話によると、たくさんいた使用人達はもう半分もいないらしい。



リリスの件で自主的に辞めていったとのことだ。



そして公爵は仕事が手につかず、アーノルドも公爵位を継ぐ権利を放棄したという。



公爵夫人は自分の未来が既に見えていた。



(私はこのまま誰にも看取られずに独りで死んでいくのよ・・・ええ・・・それがお似合いだわ・・・。)



そう思いながら彼女は目を閉じた。






公爵夫人は今も後悔の中、生きている―




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ