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東方黄葉郷~Rest Of Battle~  作者: にいな
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強くなること


頭のなかで未だモヤモヤ感が晴れない龍二は、紫のところへ来ていた。



「紫姉、ちょっと博麗神社に行きたい。」


「あら?何しに?」


「ちょっと聞きたいことがあるからな……」



聞きたいことは、紛れもなく靈夢についてだ。

あまりしたくないが、本人に聞くのが一番だと龍二は思ったのだろう。



「ふーん……まぁ良いわ。」



紫はスキマを開き、龍二はその中へと入っていった。



「霊夢いるか?」


「いるわよ。珍しいわねアンタから来るのは。」



降りてすぐ目の前に、霊夢はいた。



「ああ。ちょっと聞きたいことがあるから。」


「何?いきなり告白されても困るわよ?」


「なんで俺がお前に告白しなきゃいけないんだよ。」


「じゃあ何よ。」


「え、あっと………」



つい止めてしまった。もしかしたら霊夢がまた泣くかもしれないから。

泣かなくても、真実を言うかわからない。


けれどやはり、龍二は気になった。



「博麗靈夢……お前じゃないれいむについてだ。」


「!?」


「詳しく聞かせてくれないか……靈夢って一体誰なんだ?」


「……その前に聞かせて。それは誰が言ったの?」


「いや、お前だよ。」


「へ?」


「お前が一昨日の宴会で言ったんだよ。アンタのせいで靈夢がどうたらこうたら。」



龍二がその時のことを話すと霊夢はポカーンとした表情で



「……私がアンタに?」


(まぁ酔ってたから覚えていないよな。)



「で、靈夢って結局誰だよ…」



龍二は聞く。

が、霊夢は答える気などなかった。それはそのうちわかるかもしれないと感じたからだ。



「………いずれわかるわよ。」


「はぁ?」


「とにかく!この話は終わり!これ以上聞かないで!!」



霊夢は強い口調で言う。

頭をかき、やるせない感じの龍二を茶化すような声がした。



「お、痴話喧嘩ってやつか?」


「!?」



龍二はすぐに振り向き驚く。



「え、なにそのこの世に存在していないと思っていたものを見るような目……」


「お前………」


「久しぶりだな、龍二。」


「……誰?」



口を三角にしながら言う龍二を見て、



「言うと思ったよ畜生!!」



と、叫ぶ男性。



「龍二、俺だよ俺。わからないか?」


「おれおれ詐欺か?古っ……」


「うるせぇな!!俺だ!!神崎勇樹だ!!」



大きな声で言う勇樹にまたも龍二は口を三角にする。



「いや、勇樹はもっと幼いぞ……」


「ああまぁそうだったけど!魅魔さんに魔法で成長させて貰ったんだよ!」


「魅魔に?」



と、横入りする霊夢に龍二は聞いた。



「知り合いか?」


「魅魔は亡霊よ。昔神社に留まっていた時があって、厄介だったわね……確かに魅魔ならそういう魔法も知ってそうだわ。」


「なぁにあたしゃ暇つぶしに読んでいた本にあった魔法を覚えただけだよ。」



霊夢の後ろからひょいっと出てきて、霊夢を抱きしめる緑髪の女性。



「うひゃあ!」


「霊夢久しぶり~。そして初めまして半人半妖君。あたしが噂の魅魔だよ。」


「藤崎龍二だ。」



簡略的に挨拶をする龍二を見て魅魔は笑う。



「面白いねぇ。こいつがアンタの言ってた旧友かい?」


「ああ。昔とは全然性格が違うけどな。」



「面白いか?」



今度は口を∧にする龍二に笑みを浮かべながら魅魔は答える。



「ああ、面白いさ。昔お前によく似たやつがいたからね……」


「魅魔!」


「良いじゃないか霊夢。それにあたしゃヒントを言うだけだよ。」


「ヒント?」



霊夢がそう繰り返すと魅魔は頷き、今度は真面目な顔で龍二に告げる。



「藤崎龍二……と言ったかい?もし博麗靈夢について知りたいなら、強くなりな。そして誰も失わないようになったら……その時教えてやるさ。」



告げられた龍二はふぅっと息をはく。



「………わかった。つまり今は言えないってことだろ?」


「そうね、見た感じ弱そうだし。」


「見た目で判断かよ……なんなら試してみるか?」



魅魔は反応し、そして笑う。



「試してみる……面白いこと言うじゃないか。でも、やるならアタシの弟子とやってくれないか?そろそろ実戦練習しようと思ってたからね。」



魅魔はそう言いながら勇樹を見る。勇樹もまた笑みを浮かべながら背中の鞘にさしていた剣を抜く。



「確かにそうですね……ってことで龍二、ここは男と男の勝負と行こうぜ。」


「そうだな……この前の闘いも結局引き分けにさせられたし。今度こそ、勝ってやるよ。」



龍二も大剣を構えて言った。



闘いが始まろうと思ったその時――



「あ、やっぱちょっと待て。」



そう言ったのは龍二だった。



「なんだよ今、結構良い空気だったのによ……」


「いや、この大剣やっぱ重いから……霊夢、陰陽刀ってまだあるか?」


「あるわよ、ちょっと待ちなさい。」



霊夢はそう言い物置小屋へ向かう。

その間に勇樹が聞いた。



「陰陽刀ってなんだ?」


「退魔刀だ。まぁ霊夢が持ってるのはわからないが……俺が知ってる陰陽刀は妖怪を封じる力もある。それも陰の力を使ってな。」


「陰の力?それは妖力じゃないのかい?」



魅魔の質問に龍二は頷いた。



「だから、俺が使っていたのは特殊な物だったのかもしれないな。」


「どちらにしろ、お前はその刀を使って闘っていたんだろ?………昔、何をしていたんだ?」



勇樹がそう聞くと、龍二はそっぽを向いて答えた。



「少し………な。」


「ほら、これでしょ?」



霊夢はそう言い、龍二に陰陽刀を渡す。

その白い陰陽刀は鞘から抜くと光を帯びていた。



「なんかあるのか?」


「単に俺が自分の能力を利用しただけだ。」



龍二の能力は主に弾幕を放つ程度の能力。

だがそれは主にであって、他にも弾幕を操ることも少し出来るみたいだ。

つまり、弾幕の素であるその光もまた少しだけ操ることが出来る。


龍二は刀に弾幕の力を注いだ。刀を弾幕で強化したのだ。



「さて、やるか。」



龍二はそう言い刀を持った。青龍剣は今回は使わないらしい。



「ああ……今度こそ行くぜ!」



勇樹はそう言い、左右に魔方陣を展開させた。



「炎よ……!」



勇樹はそう言い右手から何度も炎の弾を投げる。

龍二はそれを避けるのではなく刀で弾いた。


しかしすぐに勇樹の左右の魔方陣から弾幕が張られたので、結果的に龍二は動くことに。



「随分と余裕だな。」



勇樹は龍二にそう言ったが、その勇樹もまた余裕があった。



「そうでもねぇよ……!」



龍二はそう言い、刀を自分の頭の上でブンブン回す、刀に力を溜めるように。

そして龍二は刀を回すのを止めて両手でもつ。



「余裕なんてものは……ない」



龍二はそう言い、下から上へ掬い上げるように剣を振った。

降った場所から弾が放たれる。ゆったりと勇樹の方向へ確実に進んでいる辺り、おそらく追尾型だ。


そして龍二は掬い上げた時の勢いで体を一回転、その勢いで刀を縦に降り下ろした。

勿論、降り下ろしたときに弾が放たれている。クナイの形をした弾幕が。



「成る程、確かに容赦ないな。」



笑いながらそれでも弾幕を弾く勇樹。そして彼は自分のスペルカードを取り出した。



「【魔炎:フレイムオブウィザード】……」



彼のスペルカード宣言。

刹那、彼の周りから螺旋を画くようにゆらゆらと炎の弾幕が張られる。

その弾と弾のスペースは狭く、人一人分。



(確か魔理沙が言ってたな。こういうのは確か……そう、ストレスタイプ。)



動きを封じられるストレスタイプについて魔理沙に教えて貰ったことを思い出す。



(確か、ヘタに動くと被弾するんだよな……なら、地道に安全な方へ移動するしか手はないとか……)



考えながら龍二は移動するがそうなると通常弾ではなかなか当る確率が減ってくる。

そう考えた龍二はスペルカードを取り出す。



「【弾符:夢想羽織 雨】」


「!」



通常の夢想羽織ではないことに勇樹も気がつく。

龍二を中心に四方八方に散らばる夢想羽織とは違って、龍二の後ろの広範囲から降り注ぐように降ってくる。



(成る程……あの夢想羽織の亜種か。)



夢想羽織の弾幕は途中から勢いを増して勇樹に降りかかる。



「めんどくさいから相殺するかな……【魔壁:ウィザードリィウォール】!!」



スペルカード宣言後、勇樹の周りを透明の壁が覆う。

龍二の弾幕はその壁に当たると消えてしまった。



「耐久スペルカードか……」



冷静に龍二はそう呟く。

勇樹は壁の中から弾幕を出し続けた。



「そっちの弾は通るのか、めんどくさいスペルカードだな!」



龍二はそう言いながら勇樹の弾幕を避けていく。

詰まないよう先を考えながら。



「後先を考えながら動いてるのか?広いスペースが多い方へ動いているが。」


「だとしたらどうする?」


「いや、反省点をちゃんと改善したんだと思っただけさ。」



フッと勇樹は笑う。

その勇樹を不機嫌な表情で見る龍二は避けながら少しずつ勇樹の方へ近づいた。刀に妖力を注ぎながら。


妖力が溜まっていくと刀も光だす。それを見た魅魔は霊夢に聞いた。



「そういえば、あの陰陽刀って刀は妖力を使うんだってね。」


「は?アレは精力をすいとるわよ。アイツが使ってた陰陽刀とは違うし……」


「えっじゃあアイツが今陰陽刀に注いでるのは――」



その時だった、突然被弾する音がした。

被弾したのは龍二だった。

陰陽刀に力を注いだせいで体力や気力が少なくなり、そのせいで勇樹の弾幕に被弾してしまったのだ。



「ぐっ!」



地面に叩きつけられる龍二。すぐに三人が集まってきた。



「大丈夫か?」


「一度に精力を多く注ぎ過ぎたのね。」


「くっ……妖力ではなかったんだな……」



ヨロヨロでも立ち上がる龍二を勇樹は支える。



「当ては外れたみたいだな。つうか、精力って?」


「簡単に言うと人間が行動する為のエネルギー。魔法使いが魔法を発動する時に使う魔力と似たようなものだね。」



魅魔の説明で納得したのか、勇樹はへぇと呟きながら大きくうなずく。



「成る程……だから今、体がダルく感じるのか……」



龍二も納得したらしい。

そして霊夢はため息をつく。



「つまり、単に龍二が馬鹿な行動をおこした、自業自得というものね。」


「結局運で勝ったみたいなものか……」



勇樹は少し納得がいかなかったようだ。



「ま、俺はもっと強くなるつもりだけどな……」


「随分と張り切ってるな……」


「そりゃあお前、可愛い女の子を助ける為さ。」



と、言いながら霊夢に手を伸ばす勇樹。しかし――



「やめなさい。」


「ぎゃっ!!」



魅魔に阻止される。



「結局、俺もまだまだか……」



そう言いため息をつく龍二を見て魅魔は笑った。



「なんだ…?」


「いや、随分と焦り過ぎてるなぁと思っただけよ。ゆっくりと確実に修行すればそのうち強くなれるわよ。」


「ゆっくりと確実にねぇ……」



言われた言葉を繰り返し呟いて頭をかく龍二。



「さて、あたし達は帰るよ。」


「あら、随分と早いわね。魔理沙には会わないのかしら?」


「あの馬鹿弟子ねぇ…まぁアイツが来るまで待つとするよ。」


(へぇ。魔理沙の師匠が魅魔ねぇ……)



龍二と、勇樹も頭の中で納得をする。

そして魅魔と勇樹は帰って行った。



「今日は急な客が来たわね……疲れたわ。」


「お前は何もしてないだろ。」



伸びをする霊夢に龍二はそう言った。が、霊夢は



「陰陽刀を運んだわ。」


(それだけじゃないか。)



ああ答えた霊夢に龍二はそう思ったが思っただけだった。



「さて、アンタも帰ったらどうなの?」


「唐突だな……まぁ今日は質問しに来ただけだしな。ん、質問といえば……」


「なに?さっきの話は終わりって言ったわよ。」


「いや、昔の話じゃなくて今の話だが……霊夢って好きな人いるのか?」



急に聞かれたせいか、ボボボッと顔を一瞬で赤くする霊夢。



「い、いきなりなんてこと言うのよ!?」


「あ、いるのか……誰?」



意外にも興味津々で聞く龍二に赤くなったまま霊夢は答える。



「あ、アンタが知らない人よ。まぁそろそろ帰ってくるんじゃないかしら?」


「へぇ……同棲相手か。」



刹那、お札が龍二の側ギリギリを通った。



(こえぇ……!)


「いちいち口に出さないでよ馬鹿!!」


「ハイハイ……ん、噂をすればアイツのことか?」


「ホントに早いわね……」


「ただいま!」



幻想郷は紅くなる。

夕日と、秋という季節によってそれは少しずつ……

彼等はまだ気づいていない。

遠くない未来で長い闘いが始まることを……



模倣の人形も、

博麗の巫女も、

そして、

外の世界から来た、

幻想の英雄も、



この先の試練のことを何も知らない。

にいなです。

というわけで、第二部はこれにて終了です。

今回はいわゆる伏線回というやつですね。まぁ、回収されなかったものもありましたけど。

このシリーズ自体が昔書いたやつのリメイクだったのですが、その時は前作の青空龍と次の第三部の二作連載していたんですよね。実は諸事情により非公開になってしまったので、リメイク兼再連載という形で今回のシリーズを書いていました。黄葉郷は、前回書いていたふたつの作品のはしご的役割ですね。

というわけで、次は第三部となります。

ちなみに、このシリーズは全四部を予定しております。次は第三部ですね。


にいなでした。

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