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不撓不屈の勇者の従者  作者: くろきしま
第1章 村娘が勇者になったので、従者として一緒に旅に出るようです。
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第27話 勇者VS村人 その2

「がぁあぁあぁぁああっ」

「イクス!?」

「お兄さん!!」

「イクス!!」


ボトリと地面に落ちた右腕を、悶えながらイクスは視界に収める。

自分から別たれたそれは、自分の意思とは関係なくビクビクと震えている。

この時痛みに耐えながら、イクスはもうこの腕が自分のものではない事を理解してしまった。


「んぐっ!!……ふー!……ふー!!……っ!!……」

「『…………』」


イクスの血を浴びたのか、顔中血塗れのレイラ(?)がゆっくりと歩み寄ってくる。

イクスは切り飛ばされた傷口を押さえながら、激痛に耐えるので必死だ。

意識は明滅としていて、気絶した瞬間に傷の痛みで起こされるような錯覚に陥っている。


「『…………』」


イクスの目の前まで歩み寄り、手にした剣を高々と掲げ振り下ろした。


「プロテクションシールド!!」


すんでのところで割って入る者がいた。

振り降ろされた剣は突如現れた魔法の盾に弾かれ、レイラ(?)は大きく後退した。


「させないのです!!」

「イー……ス、ラ!?」


苦しそうな顔をしたイースラがレイラ(?)の前に立ちはだかる。


「『…………回答要求。神聖教会の者が勇者に敵対する意図が不明です』」

「ダメなのです! お兄さんを殺しちゃったら絶対後悔するのです!! 絶対断固阻止なのです!!」

「私もだ。この男の命などどうでも良いが、レイラが正気に戻った後を考えるのなら生きていて貰わなければ困る」


レイラ(?)は溜息を吐きながら、ゆっくりとイースラ達に歩み寄りそっと肩に手を置いた。


「『……ですが無意味です。《動くべからず》そこで見ていなさい』」

「がっ……ぅ……っ!?」

「つぅ……かはっ……ぁう!!」


イースラとステラは瞬間震え、身動き一つ取る事が出来なくなった。


「今……君は何をしたんだ……」

「『動くなと言いました。ただそれだけです。それだけで、彼女達は従わざるを得ない……あなたも彼の次に殺します。無駄な抵抗はしないように』」


ツカツカと、一歩一歩イクスの元に足を進めるレイラ(?)。

やろうと思えば直ぐにでも片が付くはずなのに、まるで楽しむように、咀嚼し味わうように迫りくる。

そして再度、レイラ(?)は剣を振り上げた。


「『終わりです。そしてここから始まります。そこにあなたは不要です』」

「あぁぁあぁああぁあああぁぁあぁぁあぁあああああああああああああああああ」

「『構いません。好きに叫ぶと良い。嘆くと良い。その程度ならば神でなくても許可出来ます。さようなら、次の生では良き人生を』」

「イクス!!」


イクスは振り降ろされる剣がゆっくり感じる。


分かってる。


もうすぐ殺されるってことを。




なんで殺されなきゃならない?


いつだってそうだった。


みんなそうだった。




死はいつだって無関係の奴を狙う。


さっきまで笑ってた奴が次の日に死んでいる事なんてざらにある。


見てみろ。


辺り一面死体だらけだ。



酒場で笑ってた奴がいた。


皆の前で奥さんに土下座してた奴がいた。


大事そうに赤ちゃんを抱いていた人がいた。



みんな死んだ。



息子を目の前で喰われた老婆がいた。


嫁が喰われた旦那がいた。


親友を喰われた男がいた。


生まれたばかりの赤子ごと喰われた親子がいた。



死はいつだって無関係の奴を狙う。


俺は?


無関係だ。


ただ酒場で酔い潰れていただけ、それが何の因果か裏山で竜退治だ。

竜に騎士に爺さんに初代勇者……全部俺には関係ない。


だからか?


だから殺そうとするのか?


だから殺したのか?



だったら全部に関わろう。


竜と戦い、騎士を退け、爺さんの意志を継ぎ、勇者の呪いすら打ち砕こう。


全部。どんな理不尽も力の限り捻じ伏せよう。


初めにする事は決まってる。




イースラが、ステラが、サカモトが震えている。


そしてレイラが泣いているのなら――。


「『莫迦げている……』」

「イクス……その腕……」


切り飛ばされたはずの右腕は、今イクスの右腕に戻り力強く握った剣でレイラ(?)の剣を受け止めていた。


「覚悟は良いな。躾の時間だ」

イクスがようやく心を決めたようです。


諸々の事情で更新が不定期になりそうです。

すいません。

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