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不撓不屈の勇者の従者  作者: くろきしま
第1章 村娘が勇者になったので、従者として一緒に旅に出るようです。
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第16話 竜の真意

「ごごご誤解だ!? そもそも私達はつい昨日出会ったばかりだぞ、ありえない!!」

「言い訳はいいから」

「これは言い訳などでは――」

「いいから」

「――――ぁぅ」


 レイラの容赦のない眼光がステラを射抜く。

 まったく取り付く島もない。


 突如として始まった魔女裁判。


 裁判長はレイラ。

 陪審員はイースラ。

 被告人は俺とステラだ。


 弁護士? 法?

 そんなもんねぇよ。


「大体、そこのご老人の証言の信用性は皆無ではないのか!? 先程まで戦っていた相手だぞ!!」

「……そこんところどうなの?」

「ん~~、暗くて良く見えてなくてのぉ。……あぁ、泉にエメラルドグリーンの髪をしたエルフが全裸で泳いでいたのぉ。それに直ぐ傍には黒髪の男が立っていて『あぁ、まるで妖精のようだ』と呟きながらうっとりしていたようじゃったわい。そんぐらいしかわからんかったのぉ」

「あんた達じゃない!!」

「お兄さん達……ふしだらなのです」

「貴様あぁぁあああぁぁ、そんな事を言いながら私を見ていたのか!? ――――あっ」

「認めたわね」

「死刑なのです」

「お前は陪審員だろ!?」


 もう一人の被告人イクスは、少し離れた草むらに腰を下ろし、その様子を見ていた。


「小僧は混ざらんのかのぉ?」


 ニヤニヤしながら爺さんが近寄ってきた。


「巧くはぐらかしたつもりか?」

「…………なんの事かのぉ?」


 爺さんは相変わらず、飄々とした顔を張り付かせている。

 だが、考えなくても分かる事だろ?


 レイラ達だって気付いているはずだ。

 まぁ今は完全に熱を上げてしまっているみたいだが……。


 未だ俺がここで座っていられるのがその証明だ。

 本気で絡まれたらこんな風に座ってられるはずがないしな。


「……じゃあいくかの?」

「どこへ?」

「腹を割って話せる場所へ……じゃよ」


 爺さんはそう言うと、木の根元の一本に向かった。

 ついて行くと木の根が螺旋階段の様に上に向かって伸びているのが分かった。


「そもそも、俺達は爺さんに殺される理由なんてない……それが問題だ」

「問題? どこが問題になるんじゃ?」


 天まで伸びる螺旋の木の階段を登りながら語る。

 ボルカに語り掛けるというよりは、むしろ自分の中でバラバラになっているパズルを組み上げていく工程に近い。


「爺さんは明確な殺意を向けてきた。という事は殺すだけの理由があったという事だ」

「じゃからそれは先程言った通りでのぉ——」

「それは嘘だ」


 俺は……皆もそれを言葉通りに受け止めてはいない。


「――」

「うっかりなら何故朝まで待った? 俺達のイチャイチャっぷりに頭きたんだろ? 俺達が寝てる間も襲わなかったな」

「そ、それは『試練』――

「そう、試練という枠組みで殺そうとしたんだ。やっぱりうっかりなんて嘘じゃねぇか。って事はだ……別の理由があったんだ、俺達を殺す理由がな……ん? 俺達……」

「おい待て小僧」


 俺達を殺す理由……。

 俺達の中に殺されるだけの理由がある奴がいる。


「……爺さんが殺そうとしたのはもしかして――

「まだじゃ小僧、そこから先はこの向こうでするとしよう」


 レイラを殺そうとしたのか? と、言わせて貰えなかった。

 だが爺さんは質問の意図を理解しながらも否定をしない……つまりは――


「着いたぞ……ここじゃ」


 着いた場所はそこそこに広い場所だった。

 蔦がいたる所に伸びていて、中央に噴水がある。


 噴水の中心に白色の台座があり、一本の剣が刺さっていた。


「……これは……墓?」


 漠然とそう感じた。

 ただ、突き刺さった剣が墓標の様に見えたのかのだろう。


「ユテシア……初代勇者。その墓じゃ……中身は無いがの」

「……初代? ちょっとまて!? それは何年前の話だ!?」

「前回の魔王討伐は三百年前、その前は五百、九百、千三百、千二百、六百……ざっと四千八百年前といったところかの」

「よんっ!?」


 気が遠くなるほど昔の人間の墓が、何故こんな所に……。

 台座に刺さっている剣を見る。今もその輝きを失っていない。


「ここでなら覗かれる心配もないから安心じゃ」

「一体何の話を……」

「これから話す事は……ワシにとっては過去じゃが、おぬし等……とりわけレイラ嬢ちゃんにとっては必ず訪れる運命……そして、ワシがレイラ嬢ちゃんを殺そうとした理由じゃ」


 ボルカの爺さんは噴水の縁に腰を下ろし……語り始める。


 悲哀の顔で、震える手を必死に堪えながら……。

08/24 修正 年表作っていたら辻褄が合わなかったので

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