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私は枕。学校や仕事で疲れた誰かに快適な睡眠を届けます。

「なんだそれ」

冷めた口調でボソッと呟いたのは隣の青色の枕の彼。スーパーの三階にある鳥の名前?のようなお店に並んだ同類が言った言葉に私はカチンときた。

「うるさくてゴメンなさいね」

「分かってるなら静かにしてくれ。まだまだ俺は眠たいんだ」

まあ、午前の十一時になるというのに彼はニートみたいなこと言って、誰かに買われる瞬間を待ち構える準備もしないなんて。人が通り過ぎる度にドキドキしている私が馬鹿みたいじゃないか。

「………」

心の中で「ばーか」と言ってやった。すると彼が「今、何か言った?」と聞いたからゾッとした。二度と会いたくもない、と願っても枕の私たちに何ができるわけじゃない。きっと臭いおじさんの頭を捨てられるまで下に敷かれる可能性もないわけではない。でも、誰かの人間の頭を支えることのできる私たち枕にとっては一番の幸せなのだ。




もし私に心臓があるなら今頃緊張で止まっているのではないだろうか。ここに来てから一週間二週間と、時間だけが「待って!」と言う暇もなく過ぎていく日々。何度か人の手に取ってもらって、何度も「ありがとう」をフライングして恥ずかしくなった思い出の私。そのたびに彼にからかわれて口喧嘩するそれなりの日常で。

でも、今日は気分が落ち込んでしまって、目の前を人が通り過ぎても期待しなくなってしる自分がいる。このまま私、捨てられるのかなぁ。

「私、このまま捨てられるのかな…」

「は?何言ってんだ?」

「誰も私を買ってくれないし」

「それなら俺だって同じだぞ。ま、俺が先に売られていくけどな」

「はぁ…」

もう、ほんと…なんで私ここにいるんだろう。あんなにはしゃいでた昔の自分が恥ずかしい。彼が売られて私ヒトリボッチになったら…

「もう…待ってるの疲れちゃった…」

「…」

「よく見たら私ってダサい色だし、枕なんて必要ない人だっているし」

「…」

「なんかもう、はやく捨てられたい…」

彼に言ったって何も解決しないし、自分の言っている言葉もよくわかんないし。はぁ…って感じ。

「俺も同じこと考えてた」

………え?

「俺も不安で怖くて、止めたいって思ったことあるぞ」

「うん…」

「誰だって一人になるもんだし、自信だっていつもあるわけじゃないぞ」

「うん…」

「だからなんだって思うかもだけどさ、気にしなくても大して変わらないからな」

未来のことなんてさ、と彼が言ってくれた次の日、私たちは別々の人の元へ買われていった。



あれから乱暴に扱われたり、その辺に置き去りにされたりして悲しくなった時は、あの日の彼の言葉を思い出して、胸が締め付けられる思いを増していく今日の綺麗な夜です。あぁ、あなたに会えたらなぁ。

おやすみなさい、夢で会えたら…なんてね。



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