お札風呂
お札風呂
シャワーで頭から足の先まで、サッと洗い流す。この泡が流れていく心地よい感覚が幼いころから好きだ。深夜なので、ご自慢の歌声は自制しておこう。
「ふう」
ただお湯に浸かっているだけなのにこの幸せはなんだろう。両手で湯をすくい上げて自分の顔にかける。
しばらくぼーっと風呂の壁の一点を見つめていたら、さっき見たテレビのことを思い出した。偉い人が書かれた札束をからの風呂がいっぱいになるほど敷き詰め、その中で不敵に笑う金持ちの男と周りに美人の映像。
「あれ、あったけえのかなあ…」
もちろんただの紙きれで暖を取ろうとしているわけではないとわかっている。入った後、札束は再利用するために一つ一つ丁寧に取り出しているのだろうか。うーん、想像したらなんかシュール。
そんなことよりお札風呂の周りに群がる女について言及しなければならない。ただ金持ちの男が風呂に入っている横で眺めたりしているだけで何を考えているのか。自分も入れさせてもらえると思っているのだろうか?もしかして女性はお金を見つめているだけで幸せなのだろうか。
ふと思ったことが、今浸かっているこのお湯もとい水道代はいくらだろうかと考える。お札一枚にもならないだろうけれど、自分は今これ以上を求めているか?
「ま、どうでもいいかぁ」
ふやけた指を見ているのも嫌だし、早く眠りたい。そうだ、あがったらアイスがあるんだった。
ザブーン




