最終章: 真の幸せを見つけましょう……
011
於XXXX之XXXX
「誰じゃ……」
【はは、すまぬ。起こしてしまったか?】
「いいえ……されど貴方はどなたですか?」
【さよう……我が誰かと言うならば、そなたたちをずっと見守ってきた者じゃ……】
「見守る……神様ですか?」
【ははは、そう言ってもよいが、実は我はこの世界の神ではない】
「どういう意味ですか……それに池田はどこに?」
【案ずるな。あの者は無事じゃ。そなたの親しき友も同様】
「璃々緒が此処にいるのですか!!!」
【さよう……故に、此の機会にそなたと我とで契約を結ぼう】
「契約……ですか……」
【さよう……簡単なる契約じゃ。そなたが長く望んできた願いを叶えるもの】
「其の契約とは何ですか?」
【此の後、そなたが転生するすべての世にて、愛する者と親しき友に必ず出会う】
「…………」
【無論、そなたの絆を阻む者は誰もおらぬ……されど】
【代償として……そなたは此の悲劇を永遠に記憶せねばならぬ……如何じゃ、此の提案は——】
「其の契約、受け入れます!」
【焦るな、娘よ……今は急ぐ必要はない】
「構いませぬ……其れくらいのことは耐えられます……妾にとっては、皆が幸せであればそれで十分です」
【ははははは……面白い娘じゃ。よい……其の権利を今、与えよう】
012
浅草、2024年春
「姫子、姫子、ハロー~~」
ピンク髪のゴシックロリータ少女が指を鳴らし、ぼんやりする私を現実に引き戻す。
「ごめん……どうしたの……」
「もう、ガイド役で連れてきたのに、なんでぼーっとしてるのよ」
本当にぼんやりしていたらしい。寝不足かな。
「だってリリィちゃんがゲームばっかり誘うからでしょ」
「ホテルにいるだけじゃ暇じゃない……それに何度も言ってるけど、私の名前はリボンよ」
「リボンって何よ、頭おかしい」
「ちょっと! 私ロシア人なんだから、名前はこうで当然でしょ」
「ロシア人の家でリボンって……」
「今すぐぶん殴って顔回すわよ」
するともう二人の少女が歩み寄る。黒髪の美少女、クロエ・アンダーソン(クロイちゃん)、イギリス人で、褐色の肌が魅力的なマーベル・チョンティチャー(混血ドイツ・タイ)。
「声が大きいわね、うるさい」
「まあまあ……外国から来たんだから、場所に敬意を払いなさい」
「はーい」
私たち四人は最近のオンラインゲームで知り合い、意気投合し、Discordで友達になり、突然彼女たちが日本旅行をしたいと言い出し、私がガイド役を引き受けた。
皆大学を卒業し、海外旅行の時間がある。
「ところで、ここは何? 看板もあるし、大事な場所みたい」
「ずっとじっと見てたよね……」
「ええ……此処はかつて聖なる不知火見性寺のあった場所です。悲しい出来事が起き、夏の終わりのある夜、原因不明の火事で不知火家は全員亡くなりました」
「そう……全員亡くなったのね……」
「可哀想ね。江戸時代は火事が多かったって聞くわ。みんな寝ていたんでしょうね。皆信心深い人たちだったのに」
「うん……そうだね……あ、ほら、あそこにお参りするところがあるわ。みんなで供養しましょう」
皆はあの日のことを本当に覚えていないようだ……覚えているのは私だけ。
「これからどうする?」
私は尋ねた。
「原宿で服買わない? ネットでファッションの街って書いてあったわ。可愛い服買って帰りたい」
「クロイの言うことももっともね……じゃあまず原宿行きの切符を買わないと」
「絶対にネットで買わないでよ。係員さんにどの線か聞いてから」
「分かってるって。窓口で買うんでしょ、リボンったら文句多い」
「全く……私がいなかったら何もできないくせに」
皆は笑顔で……あの日の出来事はただの物語のよう……
こうでいい。
そのとき、私は誰かを忘れかけていた……此の世に生まれて26年、忘れることもあるが、最初の世で話した神様は私の心を知っていたようだ。今、目の前に現れる。
そんなことを考えながら前を向かず走り、誰かにぶつかり、荷物が落ちた。
「あっ!! ごめんなさい!!! 私が前を見てなかったんです」
「大丈夫です!!! 僕の方こそ」
落ちたのは古いお土産物。私は急いで拾い、箱に詰め、そして再びそれを見た。
蝶の形の簪。とても古いが、傷は少なく、200年以上経っているとは思えぬほど良い状態。
私は急いで拾い上げ、手が彼の手と触れ合う。
「あ……」
私は顔を上げ、心臓が激しく鼓動し、顔が赤くなるのを感じた。彼が目の前に現れる。此の世に生まれ変わっても、いつもこう。繰り返しの恋と言うべきか?
彼も私をじっと見つめ、二人は同時に顔を背けた。
「あの……お土産を売っているんですか?」
「はは、はい……家にあった古いものです」
「え……これらはそんなに古くないですよ……特にこの簪」
「ああ……これは曾祖父の祖母のものだそうです……お守りとして持っていたとか」
全く……そんなこと言ってないのに。この子たち、話を作るのが上手い。
「こんなものを売っていいんですか?」
「長くあったものです。置いておけばただのゴミ。欲しがる人に売った方がいいでしょう」
「では、買わせてもらえますか……とても美しいです」
「いりません。差し上げます」
「え?」
「古いものですし、売るのは欲張りすぎ……それに、あなたに似合うと思います」
其の甘い言葉に、私は思わず笑ってしまった。
「ふふ……これは口説きですか……」
「……そうです……あなたのような可愛い女性は、誰でも恋人にしたいでしょう……」
此のからかうような声と甘い口も、相変わらず。
「まあ……口が上手いこと。女を口説く前に、まず信じさせなさいませ、美男子の女たらし殿」
「ただ口説くだけでは信じてもらえませんか?」
「いいえ」
話しながら二人で笑い合い……少し笑い転げたり。
「姫子です……」
「池田です……あの……これからカフェで少し話しましょうか……」
「いいですね……では……」
そして悪魔が現れた。
「あ……へん……」
三人の少女が腕を組み、羨望の眼差しを送ってくる。独身の娘たち、可愛い。
「あの……今、友達と旅行中なんです。夕方くらいに会いませんか?」
「では連絡先を交換しましょうか。場所を決めやすいです」
「こっそり番号を聞くんですね?」
「まあ、そんなところです」
連絡先を交換し、私は少女たちのところへ走ったが、からかわれた。
「え……あの……好きです。一緒にお茶しませんか?」
リボンが声色を変えて。
「いいわよ、美男子……私も好きよ」
私はそんなに高い声じゃないわよ、クロイちゃん。
「二人は夫婦になることに同意しますか?」
神父さん、そんなこと言うんじゃないわ、マーベルちゃん。
「何やってるのよ」
リボンが駆け寄り、私の手を掴む。
「戻ったわね、愛しい人……私と結婚して」
彼女は私の手をキスし、跪いてプロポーズ。
「ふざけるな!! 今すぐ全員ぶん殴るぞ!!!」
ふざけるんじゃない。顔をひっくり返してやる。
「逃げろー!!」
皆は私から逃げ、通りすがりの人々が見るが、構わず。皆をひっくり返してやる。
走り出そうとしたとき、後ろから声が聞こえ、振り向けば皆が後ろに立ち、リボンが前に出て問う。
「今……幸せか……」
私は迷わず答えた。
「幸せだよ!!」
私は溢れる幸せと共に前へ踏み出す……かつてないほど……
そしてすべてが、ずっと待ち望んだものに戻った……
此処までお読みいただき、ありがとうございます。
私の物語を聞いてくださって。
皆さんの幸せを、私は願っています。
掴んだ幸せを、簡単には手放さないでください。
寂しければ誰かと話してみて。
幸せでなければ、何か新しいことをしてみて。ただ悪いことはしないで。
人生は無駄じゃない。
友達でも恋人でも、好きなことから探してみて。同じものを好きな人たちと出会ってみて。
同じ者同士は惹かれ合うのですから。
よし!ついに全編の書き直しが終わりました……。いかがでしたか?以前より読みやすくなっていたでしょうか?今回はストーリーをしっかりと肉付けできたような気がします……。これまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます!Twitter(@satosatoruun)もやっていますので、よろしければフォローしてくださいね。現在はVTuberシリーズとクロエ・シリーズを制作中ですので、そちらもどうぞお楽しみに!




