雷竜退散!
龍王鉄銀を掘っていると、金や銀、宝石みたいな物まで色々と出てきたの。
でも中々目的の物が出て来なくて休憩とかしていると、天気が悪くなって雷が鳴り始めたんだ。
それでね、ワニの人が雷竜がやって来たって報せてくれたよ。
皆で頑張ろうってことになったんだけど、その雷竜はベノムが追いかけている奴だったの。
私は合流して色々やって角を切り取っ手やったんだ。
でもね、それで怒った雷竜が私達を追い掛けて攻撃してきたよ。
ガランって落ちた大きな盾。
グワングワン跳ねたりしているけど、ヒョイって触って剣に戻したの。
バッて構えると雷竜がギャオって吠えて地面に下りてきたんだ。
黄色い体は大きく長い。
尻尾まで入れるとお城を撒きつけられちゃうぐらいなんだよ。
背にあるのは巨大な一対の翼。
そんな雷竜が大きな口を開けて威嚇しているよ。
でも私だって負けないんだから!
「にゃああああん!」
ってこっちからも威嚇してやったんだ。
でも全然効いてないみたい?
全く気にせずに大きな尻尾をブンって振って攻撃してきたよ。
小さな私達なんて簡単に倒せるって思っているのかな。
けど、そんなことにはならないよ!
私とベノムはピョーンてジャンプして躱してやったんだ。
「空だと厄介な相手だが、地上でなら何とでもなるって感じだな。モモ、飛べないように翼をつぶしてやれ!」
「はーい!」
シュッと移動し近づくと、キャットスレイヴを振り抜いた。
ちょっと飛んで避けられちゃったけど大丈夫!
追い掛けるように剣を伸ばして翼を破壊してやったよ。
雷竜はドーンって落ちて来てもう飛べなくなったんだ。
「チャンスだ、全軍攻撃いいいい!」
その機を逃さず攻撃のチャンスを見定めていたワイトロウが合図をすると、大量の魔法と矢が放たれた。
ほとんど利いてないけど、それなりに嫌がっているみたい。
鬱陶しそうに振り払い、一気に蹴りをつけようって口の中にブレスの力を溜め始めた。
それは私にとっていい感じの時間。
「いくよー!」
「おうよ!」
数秒のチャンスタイム。
私とベノムが走りだすの。
「二人に当たる、攻撃を中止せよ!」
ワイトロウは私達の行動を見て遠距離攻撃を止めてくれたんだよ。
これで上には気を使わなくていいね。
二手に別れたけど、私をロックオンしているみたい。
でもいいよ、それならそれでやり易いし。
相手の顔面を狙い、一気に跳躍してみたの。
私は空中。
雷竜は勝機って感じで顔をほころばせ溜まったブレスが発射されたんだ。
普通は避けられないけど、私にはキャットスレイヴがあるんだよ!
サッと地面に突きさして私自身を移動させたんだ。
横を通り過ぎていく雷のブレス。
打つ手を無くして硬直する雷竜。
もう相手は目の前だ。
「にゃあああああん!」
ジャッキ―ンって切り裂いたのはもう一本の角だよ。
ボトンって落ちると雷竜は悲鳴を上げた。
もう敵わないって思ったのかな。
後ろを向いて逃げ出したんだ。
「コラ、待ちやがれ!」
ベノムは追い駆けようとするけれど、
「追わなくっても大丈夫だよ。だってここに角があるし」
私はそれを引き止めた。
別に殺さなきゃいけない訳じゃないもんね。
お肉も充分残っているもん。
「……まあ、それもそうか。んじゃ、これで終わりだな」
「違うよ、龍王鉄銀? それを掘らなきゃだしー」
でも、やらなくちゃならないことが残っているんだ。
「あー、そいつもここだったな。まあ俺も暇じゃねぇんだ。そいつはお前等でやってくれや。何か報酬でもあるなら考えてやってもいいけどな!」
ベノムはガハハって笑っている。
財宝で儲けていたのにまだお金が欲しいんだ?
「うーん、金とか宝石とかいっぱい出てたよー」
「なに!? 偽物じゃねぇだろうな!?」
「分かんないけど皆喜んでた!」
「そうか!? だったら一度確認させてもらうぜ! 本物だったら徹底的に掘り尽くしてやるからよぉ!」
と、やる気を出したみたいだよ。
ベノムは真っ先に峠に戻り出てきた金や宝石を確認したの。
間違いないって判断すると、皆と一緒に採掘作業を始めたんだ。
雷竜との戦闘より気合が入ったベノムの活躍もあり、更に早くなった感じ。
それでガンガンゴンゴン作業して、途中で休憩したりしながら夜になるまで続けたの。
すごく頑張ってようやく緑色の物を見つけたんだ。
宝石とかじゃない、これは紛れもなく金属だよ。
探していた龍王鉄銀だね!
「やったー!」
(おめでとうモモ!)
「御主人ありがとー、それじゃあ帰ろうかー!」
私は御主人に頬ずりして喜びを分かち合ったの。
「ベノム、帰ろー」
それでそう言ったんだけど、
「バカ野郎、まだまだザックザック出るんだぞ。ここでやめられる訳がねぇだろうが! うおおおおお!」
「えー」
ベノムの目が何だか欲望モードになっているの。
力いっぱい壁を掘り進めているよ。
これはまだまだ止まりそうにないのかも?
(まあ放っておこうか。そろそろ眠くなってきたしね。帰るにも遅いし、今日はここに泊まって行こう)
「うん、そうするね。じゃあまた明日ねベノム」
手を振っても奇声しか出て来ないし、ワイトロウ達に伝えて泊まらせてもらったんだよ。
ちゃんと部屋も用意してもらったの。
うーん、でもちょっとベッドはかたかった。
「それじゃあ私達帰るね。皆バイバーイ!」
(バイバーイ)
「ああ、また遊びに来てくれ。何時でも歓迎してやるぞ」
それで私は二つの材料を持ってお城に帰って行ったんだ。
ベノムはまだ帰らないみたい。
止めてもずっと掘り続けているもん。
怒られても知らないよ。
★
あまりにも遅く帰還したベノムが怒られ数日後の夜。
私とルシフェリアはアリアに呼び出されたんだよ。
「ルシフェリア様、モモさん、ついに完成いたしました。これが雷竜の指輪です。使用法は簡単。これを身に着けていれば雷の力を打ち消すことができます。ただし、一度食らってから三十分の仕様限界があります。それを過ぎれば耐久度がなくなって真面に食らうことになりますから充分に注意してください。限界はその指輪が真っ青に変化した時となります。いいですか、忘れないでくださいよ、特にモモさん!」
アリアから緑色の赤い宝石がついた指輪を手渡されたんだ。
私達が集めた材料を使って完成させた物なんだよ。
これがあればビリビリも怖くないね!
「大丈夫、覚えたよー!」
(僕も聞いていたから問題ないよ)
ちなみに御主人の分もあったんだよ。
指には付けられないから腕輪になっているの。
「ありがとうアリア、これは大事にする。私に必要な物だもの」
「ええ、本当にお気をつけて。モモさん、ルシフェリア様を御守りするのですよ!」
「うん、お友達だもん。絶対護るよ!」
私はアリアとかたく約束したの。
でも今回はベノムが謹慎中で部屋から出られないんだって。
だから私と御主人で頑張るんだよ。
「行ってきまーす!」
アリアに手を振って北の廃墟に向けて出発したんだ。
何時も通り秘密の通路を通って町に出たんだけど、
「お姉様……」
「あー、見つかっちゃったー!」
そこに立ちはだかっていたのはイブレーテ、ルシフェリアのお姉さんイブだったの。
「ふん、何か企んでいると思えば、私の可愛い妹を連れて何をしようとしているのだ。例えルシフェリアでも、勝手に何処か行っちゃったらお姉ちゃん許さないからね!」
私とルシフェリアでは明らかに態度が違うけれど、いつも通りな気がするよ。
これはもう無理なのかな?
「モモ、やっちゃって!」
でもルシフェリアは諦めていないみたい。
イブを倒せって云われちゃった。
「えー、ダメだよー」
(まあ、ダメだよねぇ)
うーん、お友達は倒せないなぁ。
だったらもう逃げちゃおう!
私はルシフェリアをガシッと掴み、ピョ―ンと家の上に行ったんだ。
「逃がさん!」
追い掛けてきた、というよりルシフェリアの体にくっ付いて来ちゃった。
「お姉様、放してください!」
「絶対に無理いいいい!」
かなり煩いし、静かな夜には騒がし過ぎるよ。
近くの家の窓がガタって開いたりして町の皆が起きて来そう。
(モモ、置いて行ってもうるさくされそうだし、もういっそ連れて行っちゃえばいいんじゃない)
「それがいいのかも?」
私はちょっと静かにしてもらおうとガシッとイブの口を押さえたの。
(僕はお城に戻っているからさ、イブの分はこの腕輪を使ってよ)
御主人と一緒に行けないのは嫌だけど、これはしょうがない感じ?
私は秘密の通路まで御主人を送り返して三人で町を出たんだ。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




