私達の処遇
私達は二つの軍を相手にしているの。
どっちの気持ちも分かるからどっちとも戦うしかないんだ。
怪我をさせても殺さないようにきをつけていると、相手が遠隔の攻撃に切り替えたんだよ。
私はキャットスレイヴを盾にしたりして防いでいると、また突撃して来たりして大変なんだ。
それでも時間を稼ぐことには成功したみたい。
ワニの人がワイトロウに避難が完了したって伝えたんだよ。
ワイトロウの軍が引いていくと、ハウリングウルフの軍も止まったんだ。
それでリングルードが来て私達は捕まっちゃったの。
数日して私達の処遇が決まったって云ったんだよ。
「貴様等は全員処刑だ!」
リングルードはシュバっと首を掻き切る仕草をするけど、ハァとため息をついた。
「そう言えたら良かったのだがな。残念ながらそうはならないのだ。貴様等は他の者と一緒に国外追放だ。もうこの国に入ることは許されない。貴様達はお優しい女王陛下殿に感謝するのだな」
「そっかー!」
ウィーディアに戻れるのなら嬉しいかも。
「モモ、嬉しがっているところ悪いが、テルナ様に知られたってことはだ、ウィーディアに不利な条件を突きつけられた上に帰ったらこっぴどい仕置きが待っているってことだからな」
(そりゃあそうだよね)
「えー!」
怒られちゃうのはあんまり嬉しくないよ。
「うおおおお、隊長殿、まさか減給なんてことにはなりませんよね!? そんなことに成ったら拙者の生活が、生活があああ!」
隣のブラッククロウも悲痛な声を上げている。
「安心しろ、もしもの時は飯ぐらい食わせてやるぜ。俺の給料がなくなってなければな」
そう云っているベノムもあんまり自信がなさそうだ。
そんな雑談をしていると。
「おい貴様等、くだらない話をしている暇があるなら帰り支度をしないか。五分後には出発させるぞ。それとも全部没収してもいいというならそうするが」
リングルードが云ってくるの。
「へいへいやりますよ。モモ、ブラッククロウ、お前らも支度しろよ。大事な物を置いて行ったら二度と取り戻せねぇからな」
「はーい!」
「当然です、一つたりとも置いて行きません!」
それで私達は帰り支度を始めたんだよ。
私は急いでお菓子とご飯をカバンに詰め込んだの。
ちょっとギュウギュウになっちゃったけど、時間が来る前には終わったんだ。
「さて、もう時間だ。もう二度と出会わぬことを祈っているぞ。この癖者どもめ」
と、私達はブレードバードの皆と一緒にこの町から蹴り出されたんだよ。
あとはもう帰るしかないの。
また二週間もかかる旅が始まる。
でも今度は町にも入っちゃいけないんだって。
それはちょっと困った、食料がなくなったら餓死しちゃうよ。
「さあ帰ろー!」
(おー!)
私はカバンの中にあるお菓子をポリっと食べた。
★
「順当にだ。順当に……食料がねえええええ!」
町から出発して一日目のお昼。
ベノムが思いっきり叫び声を上げたの。
「私お腹が空いちゃうよー」
それもそのはず。
町で買い物とかもさせてもらえなかったし、閉じ込められていた人達も外出は出来なかったって云っているし、私達の乗って来た馬車にはほとんど食料が残っていなかったの。
そのまま出発させられたからしょうがないよね。
「そもそもだ、お前がバカスカ食い漁らなきゃもうちょっとは何とかなったんだぞオイ!」
「隊長殿、モモ殿を攻めている場合ではありません。手を打たなければ全員死にますぞ」
「分かっている。とにかく全員で食えるもんを探させるぜ! テメェら、草でも動物でも何でもいい、食えるもんを集めてこいや!」
『応!』
と、隊の皆が手分けして食料を探しに行ったよ。
幸いここは植物とかもいっぱいで、きっと食べられる何かもあると思う。
私も探さないとだね。
「わーい、狩りだー!」
(モモ、出来れば虫はやめといて)
「えー、じゃあトカゲとかー?」
(うーん、ギリギリありで。でも他に何にもなければだから! 出来れば動物とかそんなのでお願い!)
御主人がそういうなら仕方ないなぁ。
周りの気配を探ってみよう。
隊の皆の気配はあるけど、大勢居るから動物が近寄って来ない感じかも?
「御主人、もうちょっと遠くに行こー!」
(え、あんまり離れて大丈夫なの? 迷ったりしない?)
「そんなに遠くに行かないから大丈夫だよー! 分からなくなったら探すもん!」
(うーん、分かった。じゃあそれを伝えてから行こうね。いきなり居なくなったら皆がビックリするから)
「分かったー!」
私は近くに居たブラッククロウにそう伝えたんだ。
それから距離を取って動物を探し始めたの。
結構離れたんだけど、まだ食べられそうな動物の気配はないよ。
「やっぱり虫の方が――」
(モモ、もうちょっと探してみよう! きっと何かあるよ!)
「じゃあもうちょっと遠くに行ってみるよー」
それでもうちょっと行ってみるとね、
「あ、何かいっぱい居るよー!」
先の方に何か気配を感じたの。
すごく多い大軍だ。
でもこれは動物じゃなくて、ゴブリンやコボルト、ハウリングウルフとか色々な気配があったよ。
もしかしてこれは……。
「ワイトロウかも?」
私は何となくそう感じたの。
(あ、そうなんだ?)
「何か貰ってくるよー!」
(戦っていたのに大丈夫?)
「分かんない、でもご飯が食べられるかもだから行くの!」
(じゃあ気を付けてね)
「うん!」
私達はその場所に向かったよ。
到着してみるとやっぱりワイトロウ達だったんだ。
中心には本人が立って指示をしているし、ワニの人とか見た事がある人も居るんだもん。
今は野営とかしているのかも?
「おーい!」
私は手を振ってみたんだけれど、ジャキっと武器を構えて警戒されちゃった。
でもお腹が空いている私はそんなの気にしないんだ。
タタタって走って行くと攻撃されそうな雰囲気になったの。
「待て、お前達。奴の力はお前達全員がかりでも勝てるものではないぞ。それに一応俺達を逃がしてくれた恩人でもあるからな、下手に攻撃するんじゃない!」
でもワイトロウがそれを止めてくれたんだよ。
私はピョーンとジャンプして真ん中に着地したんだ。
「こんにちはー!」
(こんにちは)
敵意がないって分かってもらうために普通に挨拶してみたの。
「一体何のようだ。まさか俺を追い掛けて来たと云わないよな?」
「違うよ、私達も追い出されちゃったんだ。それでね、帰りのご飯がないの。分けてくれると嬉しいな!」
「町を追い出された俺達にそんな物があるとでも? こちらが恵んで欲しいぐらいだ」
周りを見てみるとお腹を鳴らせている人も居るみたい。
子供達もあんまり元気がないみたい。
お腹が空いているだけじゃなくてこんな所に追い出されて不安に思っているのかも。
「じゃあ私がご飯を取ってくるよ! ちょっと待っていてね!」
と、私はその場から飛び出したの。
(モモ、自分の食べる分もないのに大丈夫?)
「大きな獲物を獲れば大丈夫だよ。皆で食べられるぐらいの大きいの!」
(そんなの居るのかなぁ?)
「きっと見つかるよ!」
そんな感じでもっと遠くに走って行くと、ついに大きな気配を発見したよ。
居なくならない内に急いで近寄ったんだ。
見つかったのは小さな池で水を飲んでいたとても大きな鳥なの。
翼を広げると大きなお屋敷の幅ぐらいあるんだよ。
筋肉がモリモリしていてすっごく重そうだから飛べるのかなって思うんだけど、皆がお腹いっぱいになりそうなぐらいはありそうなの。
だから決めたの、あれを獲物にするって。
(モモ、すごく大きいけど大丈夫?)
「うん、飛びそうだったら翼を切っちゃうよ!」
私はキャットスレイヴを取り出して剣にした。
「御主人、ちゃんと掴まっていてね!」
あの鳥は私が近寄ってもまるで逃げる気配を見せないんだ。
逆にギャアって威嚇してクチバシを開いたの。
もしかして私を食べようとしているのかな?
うん、それでいいよ。
その代わり負けた方が御馳走だからね!
「御主人、負けたらごめんね!」
(絶対負けないでね!)
「うん、頑張るよー!」
この鳥、凶悪な顔をして爆弾みたいにクチバシを振り下ろして来る。
下にあった岩がバキっと割れるぐらいには強力なの。
でも大丈夫、そのぐらい何とでもなるんだから。
伸ばしたキャットスレイヴをその大きな翼にザシュっと食らわせ、飛べない様にしてやったよ。
怒った鳥はギャアって鳴いて踏みつけてくるけど、そんなの全然遅いんだ。
シュッとすり抜けて一気に止めを刺してあげたの。
大きな巨体がバタンと倒れて私が勝利したんだよ。
……でもこれ、どうやって持って帰ろうかな?
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




