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ワイトロウの居場所は

 私はゴブリンの気配を探って大量に捕獲したんだよ。

 五十を超えた頃に町中に気配だけが現れて自らを魔王軍総司令官、ワイトロウと名乗ったの。

 言いたい事だけ云って消えちゃったんだ。

 相手の気配を探ったけれど、範囲内には居ないみたい。

 とりあえずゴブリンをお城に連れて行こうってことになったんだけど、お城の中から殺気の気配を感じたの。

 何か見張りも消えているみたいだし、私達はゴブリンを置いてお城に入ってみたよ。

 ベノム達を振り切って奥に進んでみたんだけど、玉座の前で言い争っているのを聞いたんだ。

 この国の王子ホワイトがさっきの声の主だったんだよ。

 それでに王様に叱られて町からも追い出されるみたい。

 ホワイトが出て行ったのを見届けるとリングルードに謝って貰ったんだ。

「俺等がこんな程度の金でなんとかなると……!」


 ベノムは出されたお金をつき返そうとしているけど、リングルードがパチンと音を鳴らしてまたお金が運ばれて来たんだよ。


「そう云われるかもしれないと思いまして更に倍を。これで納得していただけませんかな? 例えベノム様が高い要職に就いていらしても中々個人では扱えない金額ですぞ」


 積み上がってるのは全部金貨だけど、この形の物は特別な物だってアリアから聞いたことがあるよ。

 ここにある一枚で一ヶ月ぐらい飲み食いしてもお釣りがくるぐらいのお金なんだって。


「た、隊長、拙者見たことも無い金額に動揺しております。これは受け入れても良いのでは!? モモ殿はどうするのですか!?」


「私はお菓子が食べられたから大丈夫だよ!」


 私はあんまり興味がないから残されたお菓子に手を付けたの。


(まあ、モモはそんな感じだよね)


「ではこれで二対一です、多数決ならもう決まっている数ですぞ。隊長殿、是非賢明なご判断を!」


 ブラッククロウの目が血走っている気がするよ。

 そんなにお金が欲しいのかな?


「分かった分かった、受け入れりゃあいいんだろ受け入れりゃあよ。まあ俺だって金は欲しいしな」


「うおお、これで拙者は大金持ちですぞ!」


「ベノム殿、賢明なご判断を感謝致します。それでその、もう一つお願いしたいことがあるのですが」


 リングルードは少しだけ言いよどんでいるよ


「今更取り繕っても無駄だぜ。言いたい事があるならサッサと云っちまえよ」


「……でしたら言わせていただきます。あなた方にホワイト王子を追っていただきたいのです。王は頑固者でして、一度言い出したら聞かないのですよ。もうこの国に戻ることは出来ないと思いますが、居場所だけは知らせておきたいと思いまして。しかしこちらの兵を使うことは出来ませんから……出来ればというお願いです」


「それは建前で実は魔王軍の根城を見つけたいんじゃねぇのか? 王子を追い払っても肝心の敵が残されたままだからな。万が一にでも次があったら困っちまうもんな」


「おや、気が付いておられましたか。まあそういうことですな。もしなんでしたら報酬を上乗せしても構いませんが」


「よし乗った、奴らが俺等の国に来ねぇとも限らねぇし。今の内に情報を知っとくのも悪くねぇ。何ならついでに潰しちまえばいいしな」


「では交渉成立ということで」


 ベノムとリングルードはガッチリ手を結んだんだ。


「うおおお、拙者はとても燃えて来ましたぞ! さあ参りましょう隊長、善は急げといいますからな。ワイトロウがこの町から居なくなる前に接近してしまいましょう!」


 ブラッククロウもお金を貰えてやる気充分みたい。


「ま、それが良さそうだな。よし、行くか」


「おー!」


(はーい!)


 大量のお金は持ち運ぶのに不便だから少しだけ財布に入れてあとはリングルードに預かってもらったよ。

 それで私達は直ぐにお城から出ると、


(モモ、ワイトロウの気配は分かる?)


「うん、大丈夫だよ。ワイトロウはあっちに行ってるみたい」


 ギリギリの範囲で気配を捉えることができたんだ。

 そのまま追い掛け続けたんだけど、町から出る気配はないみたい?

 大きな旅館の中で足を止めちゃったんだ。

 日本庭園? そんな感じの庭がある立派な宿だよ。


「ここが奴のアジトか?」


(ただ泊ってるだけだったり?)


「分かんないなー」


「仕方ありませんね、客として内部に侵入してみましょう。幸い金は持っていますから」


「勿体ねぇけどしゃーねーな。ここの奴等が敵だとは限んねぇし。ただし、自分の分は自分で出せよ、経費でも落とさねぇからな!」


「隊長、あれだけ大金を貰っておいてそれは酷なのでは」


「ベノムケチだねー!!」


(ねー)


「うるせぇ、お前等も貰ってただろうが。俺だけ金を払うなんざ絶対にごめんこうむるぜ! 俺だって色々金が要りようなんだよ!」


 私達はお客さんに紛れるようにしてお部屋を取ったんだ。

 大勢のお客さんが泊っている感じで靴箱に多くの靴が入っているの。


「いらっしゃいませ、ご宿泊でしょうか?」


 出迎えてくれたのは青い毛色のハウリングウルフの女の人だよ。

 着物みたいな衣装を着てるから女将さんだったり?


「三名様でしょうか」


「あー、おう、部屋を用意してくれ。空いているよな?」


「ええ、もちろんですとも。それではこちらに」


 それでお庭が見える綺麗な部屋に通されたんだよ。

 御主人も居るけど嫌がられたりはしないみたい。

 ちゃんと猫用のトイレも持って来てくれたの。

 女将さんが出て行くのを待ってから、作戦会議をすることになったんだよ。


「モモ、奴の気配はまだここにあるのか?」


「うん、全然動いてないよ」


 ここに居るのは間違いないんだけれど、その気配は一階よりずっと下の方に感じるの。


「隊長、ここが奴の拠点なのでしょうか?」


「さてな、そうだったら丁度良いんだが、違った場合は宿に迷惑をかけちまいそうだぜ」


「お金はあるよー!」


 私はじゃらっと財布を鳴らしたの。

 お城の分も合わせれば全然余裕だと思う。


「バカ野郎、これは貰ったんであって弁償する為に使うつもりはねぇわ!」


「その通りです、出来る限り穏便にやりましょう! 今後の夢の生活のためにも!」


 でも二人とも必死っぽい。


(しょうがないね、お金は大事だもん)


「そっかー。ご飯とかお菓子も買えるもんねー!」


「とにかくだ、宿の迷惑にならないように奴の居場所を探るぞ」


 それで私達はお客さんのふりをして宿の中を見て回ったの。

 ゴブリンなんかも居なくて普通に見えるけれど、建物に比べて従業員が少なすぎるからやっぱりちょっと怪しい感じ?


「うーん、このへん」


 私はワイトロウの気配を探って一階の廊下を指さしたよ。


「地下に居るってことか? だったら入り口を探してみねぇとな。どこか近くに下りれそうな場所はないか?」


「隊長、どうやらここからは拙者の出番のようです」


「お、何か見つけたのか?」


「奴の臭いがしっかりとこびり付いているのを感じます。その絵です、その絵に仕掛けがあるのかと!」


 ブラッククロウは廊下の突き当りに飾ってあった竜の絵を指さしたの。


「ここー?」


 私はその絵に手を伸ばしてヒョイって持ち上げてみたの。

 後ろの壁に小さなボタンのようなものがあったんだよ。


「押してみよーっと!」


 直ぐにポチって押しちゃったんだ。

 廊下の端に穴が開いてタラップが伸びているの。


「ここにこんな物があるってことは、女将も奴とグルってことだよな。んでやっぱりそうなると……こうなるよな!」


 旅館の部屋の扉がバンバン開き、武器を持った人達がゾロゾロやってくるの。

 コボルトやオーク、ケンタウロス、当然ハウリングウルフも多いよ。

 色々な種族がここで団結しているみたい。

 その中央には青い体毛の女将さんみたいな忍者が一人。

 やっぱり気配も同じだし当人だよね。


「お客様、当旅館では備品に触るのはマナー違反となっております。少し反省して頂きたいのでそこにお並びくださいませ。時間はそれほどかかりませんので」


 ジャキっと向けてくるのはギラギラした刃なの。

 絶対痛いことをしようとしているのが丸分かりだよ。

 私はキャットスレイヴを取り出そうとしたんだけれど、


「モモ、お前は先に行け。お前なら奴の気配を探れるだろ」


「ええ、ここは拙者と隊長殿だけで充分です。さあお早く!」


 二人ともここに残って戦うみたい。

 相手側も雪崩れ込んでこようとしているの。

 ここは狭い通路の行き止まりだから武器で戦うのは大変そうだけど……。


(きっと二人なら大丈夫、僕達は先に行こう)


「うん、そうするよー!」


 私は御主人に頷いてタラップのある穴をピューって飛びおりたの。

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

王女ルシフェリア

王女イブレーテ(長女)

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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