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魔王軍の庭

 リングルードが提示した金を突き返せず、さらに大きなお金を貰うことで納得しちゃったんだ。

 それでもう一つ頼み事をされてホワイト王子こと魔王軍のワイトロウを追い掛けることになったんだよ。

 気配を手繰って立派な旅館を見つけたの。

 その中から動いてない感じ。

 だから私達はお客として潜入したんだ。

 それで自由な時間に中を探索したんだけど、ブラッククロウが突き当りの絵のところでワイトロウの臭いを探知したの。

 そこを探すとボタンが出て来て隠し通路を見つけたんだ。

 同時に宿の中から武器を持った人達が出てきて襲い掛かって来たんだよ。

 ベノムとブラッククロウがここに残るって言うから私は隠し通路を進んだんだ。

 シュタっと着地した場所は案外明るい空間だよ。

 というかここは町なのかも?

 周りには色々な種族の子供達がワイワイと遊んでいたりしているの。

 もちろん大人も近くで見ているし、襲ってくることもなかったよ。

 キョロキョロと周りを確認していると、まだ小さなコボルトの子が私の下に近づいて来たんだ。


「お姉ちゃんもいじめられたの?」


 その子は心配そうに私にそう云ったの。


「違うよ、いじめられてないよ。えっとね……御主人どうしよう?」


 ちょっと考えたけど、答えに困って御主人に相談したんだよ。


(敵の基地なのは間違いないみたいだけど、暴れるのはちょっと違うかなぁ。うーん、穏便にワイトロウの居場所を聞いてみようか)


「うん、そうするね」


 ちょっとしゃがんでコボルトの子に目を合わせ、


「私ね、ワイトロウに会いに来たんだよ。どこにいるか分かるかなー?」


 目の前の子に聞いてみたよ。


「ワイトロウ様に会いに来たんだね。じゃああそこの建物に行くといいよ」


 コボルトの子は私に行くべき場所を教えてくれたの。

 その先に見えるのは地上を支える柱のような建物だよ。


「ありがとう、行ってみるね!」


 私は手を振って向かってみたの。

 色々見たけどここは地上の町と同じだよ。

 人種が違うだけで皆普通に生活しているみたい。

 女の人が店の前で談笑してたり、兵士みたいな人も偉そうにしたりしないんだ。


「御主人、私達、悪い事してるのかなぁ?」


 こんな光景を見せられたらちょっと悩んじゃうよ。


(うーん、悪いことはしてないと思うけど、相手にも事情があるんだよ。だからって無理やり変えようなんてしちゃいけないんだけど)


「ワイトロウと話てみないとだね」


(それよりベノム達が心配だよ。ここに来たらどういう判断をするのかって。流石にいきなり襲い掛かったりはしないと思うけど)


 たぶん大丈夫だとは思うけど、分かんないよね?


「そっか、ちょっと急ぐね」


 私は速度を上げてその場所へ到着したんだ。

 入り口には見張りが居るけど、私はそこから入らないよ。

 高いところにある開いた窓にピョ―ンと飛び乗って侵入したんだ。

 中は地上のお城と全く変らないの。

 綺麗な装飾品が飾られたりしているよ。

 結構広いみたいだけど、ワイトロウの気配は掴んでいるんだ。


「たぶんあそこ!」


(うん、入ってみよう)


 丁度人気がないから今の内にって扉を開けたんだ。


「うおああああ、な、なんだお前、突然入って来やがって。そもそもお前がなんでここに居るんだ!? まさか俺のストーカーか何かなのか!?」


 立派な御部屋の中にワイトロウが居たけれど、今お着換えをしていた最中みたい。

 下半身がほとんど裸だったんだよ。

 でも武器とかないし丁度良いかもしれない。


「てーい!」


「うおおおお、痴漢かああ!?」


 私はシャーっと襲い掛かってキャットスレイヴで捕まえちゃったの。


「まままま待て、一旦落ち着こう。俺とお前とじゃそもそも種族が違うから子供なんて出来ないし。いや、これは差別じゃなくて身体のつくりからしてそうなっているのであって。あー、何云っているのか分からないが、とにかく落ち着け!」


 近づくとワイトロウはすっごく慌てているよ。


「ちょっとお話ししよー!」


「あああああ! ……あ? な、なに。こんな所まで潜入したのに意外とピュアな奴なのか? だが残念だったな、俺はお前のような猫族なんぞ相手にしないのだ。諦めて別の奴を狙うんだな」


「そういうのじゃなくてねー、うーんと……御主人、何を話せばいいんだろう?」


 そういえば捕まえろとは云われてなかったような?


「おい、まさかこんな所まで来て緊張しているとでもいうんじゃないだろうな。やはりピュアさを演じているのか、まるで訳が分からんぞ」


 ワイトロウはそうとう混乱しているみたい。


(無限にかみ合ってないよね。まあ気になることを聞いてみたらいいんじゃない? もう居場所は分かったんだし)


「そうだね。えっとね、何でこんなことをしているの」


「理由だと? お前が縛ったからこうなったに決まっているだろう。狂っているのかお前は!」


「えー」


(モモ、この人には一から十まで説明しないと無理みたいだよ。ちゃんと順序だてて話しをしてみようね)


「そっかー」


 世の中には色々な人がいるんだなぁ。


「さっきから猫と話しているような雰囲気を感じるが、まさか頭までいかれているのか!? おい、妙な考えを起こすなよ。俺の身は数千人の希望なのだからな! そうだ、俺の話しを聞いて改心するんだ。聞くも涙の話しだぞ。良く聞いておけ、俺は幼少の頃にだな――」


 ワイトロウは自分から語りだしちゃったよ。

 よく分からないけど、もしかして聞きたいことも聞けるかも?

 私は一応耳を傾けたんだよ。


 それによるとね、小さい頃に森に狩りに出かけた時に迷子になって小さなコボルトと出会ったんだって。

 モンスターだって聞いていたから最初は襲われるんじゃないかって思っていたらしいんだけど、話してる内に仲良くなったって云ってるよ。


 皆が居る場所に案内してもらったりして親切にしてもらったけど、仲良く遊ぶことは大人たちにより禁止されちゃったんだって。

 それでね、ワイトロウの頼みでコボルトは森に戻されることになったの。


 でもそこに、タイミング悪くコボルトの母親が現れちゃったんだって。

 子供が人に襲われてるって勘違いして、ワイトロウに襲いかかろうとして、声をかける間もなく、人の手により……。


 そんなことがあったから、自分はモンスターと呼ばれる種族とも仲良くできる国を作りたくなったんだって。


「――どうだ、素晴らしい話を聞けて満足だろう。お前のようなおかしな奴でもこの国なら真面に生きられるかもしれないぞ。俺のことを諦めてくれるなら仕事を紹介してやってもいい。な、そうしよう。それがいい、絶対に!」


(まあ、聞きたい事は聞けたのかも?)


「そうだね」


「おお、受け入れてくれるのか。ならばさっそく人を――」


 ワイトロウが話を終えようとしてたんだけど、


「大変ですワイトロウ様、この町に侵入者が……う、何という特殊なプレイを……お取込み中失礼。ですが大変なのです、そういうことは後にしてください」


 ワニっぽい顔の人がこの部屋にやって来たんだ。

 侵入者って云っていたから私達のことかも?


「違う、これは違うんだ! 俺はそういうことをしていたんじゃなくてただ着替えていただけで!」


「ワイトロウ様、それはどうでもいいですから、どうするのか考えてください。奴等は町で暴れてワイトロウ様を出せと云っておりまして。しかもかなり強くて手が付けられません」


「そ、そうか、そうだな。だったら俺が行こう。俺の力でそいつらを退治してやろう」


 と、立ち上がろうとしているけど拘束しているから無理なんだよ。


「あの、ワイトロウ様、ズボンを履いてから是非頼みます」


「分かっている! というかこの拘束を解け! 動けないだろうが!」


 ワイトロウが行っちゃったらもっと大変になっちゃうかも?


「うーん、私が行ってくるよー。ワイトロウはここで待ってて」


(それがいいかもね。二人なら納得してくれるかも)


「何を云っている。まさか愛のために戦うというのか。それほどまでに俺のことを!? だからって好きになったりするわけじゃないんだが……」


「じゃあ行ってきまーす!」


「せめて解放してから行ってくれー!」


 私はワイトロウを拘束したまま建物を飛びだしたよ。

 キャットスレイヴを紐のように繋げて本体はこの手に持っているんだ。

 残して要ったら怒られちゃうし。

 それでタラップがあった場所に急いだんだよ。


「うおらああああ!」


「剣の錆になりたいのならいくらでも掛かってくるがいい」


 ベノムとブラッククロウはたった二人で大勢を倒していたの。

 小さな子を巻き込んだりはしていないみたいだけど、放って置いたらここに居る全員を倒しちゃえるのかも。


(モモ、どうするの)


 ここで話合いをするのは無理っぽい。


「うーん、お話しを聞いて貰いたいから二人とも倒しちゃおう!」


(どんどん脳筋力が高くなっているような。……まあそれが早いかもしれないね)


 私は二人の下に駆けつけて、


「お、戻って来たか奴は見つけられたのか?」


「モモ殿、まずはこの者達を退治してしまいましょう!」


「えっとね、退治はしないんだよ! ベノム、ブラッククロウ、ごめんね」


『は?』


 と、背中を預けてくれた二人をゴーンと制圧したんだよ。

 周りの人達に襲われる前に、二人を連れてワイトロウの居る部屋に戻ったの。

家猫のモモ

御主人(ごしゅじん)(ヒロ)

王子シャーン

王女ルシフェリア

王女イブレーテ(長女)

シャーンのお母さんテルナ

爺(グリフ・リスマイヤー)

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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