グリルザードのできごと
リュネの前、ギードが説明を始めた。
あの日の現状、それが包み隠されず伝えられたのだが、やはりリュネにはまだ受け入れられないみたい。
どうしようかと悩んでいると、ギルドのお姉さん、タウナが私達の話しを聞いていたの。
手助けをしてくれるということで、リュネの記憶が封印されたんだ。
きっかけを与えちゃダメだからって私達はこの町を出ることを勧められたよ。
私もギードもそれを受け入れて町を出て行くことにしたんだ。
その前にちょっとだけおまじない。
リュネの未来に幸せが訪れますように。
ギードともお別れして私達はウィーディアに帰ることになったの。
でもね、リュネの為に全部旅費を渡しちゃったから食料が足りないみたい。
帰り際にお腹が減り過ぎて倒れちゃった。
どうにかお金を稼がないとね。
仕事を探しにグリルザードって町に入ったんだけど、
「おいマジか、これは夢じゃないだろうな!?」
「夢じゃないよ、だってほら、美味しい匂いがしてくるもん!」
(すっごく運がよかったね)
この町は今お祭りの最中らしい。
しかもその内容はお肉の大食い大会なんだって!
更に参加費無料なんだよ!
近くにあった大きな看板に細かいルールが書いてあるの。
優勝者は無料で食べられて賞金も出るけど負けたらお金を払う仕組みみたい。
一緒にやってる賭けは手持ちがない私達には無理だよね。
「待て、これは一見正しいように思えてもタダの罠だ!」
もう変装を解いたディズ、改めベノムが止めてきたんだよ。
「なんで?」
「そういうのに参加する奴は大体大食いが得意な奴等だ。その中で俺達が勝ちあがれる可能性は薄いぜ。結局金を払えないから酷い目に遭うのは目に見えてる。それに勝つのは一人だ、例えどっちかが優勝できてもどっちかは確実に負けるぜ」
「そっか、お金を払わないのは悪いことだもんね。やっぱり何か仕事を探そうよ」
「確かにその方がいいかもしれねぇ。だがもう俺の胃は限界寸前なんだぜ。参加して飯を食ってから手伝いをして許してもらいたい!」
「悪いことだよー?」
(そうだよね)
「だったらお前は見てろ、俺は行くぜ!」
それでベノムはお祭りの受付に行ったの。
「お一人様参加希望ね。はいはい、じゃあこの紙に記入をお願いね」
普通に参加はできそうだけど、この紙には色々難しそうなことが書いてあるよ。
文字は読めるけど、小さくていっぱいで内容がちょっと理解できないの。
「ベノム、これなんて書いてあるの」
「バカお前、そんなもん適当でいいんだよ。俺は食うことに集中してぇからちょっと黙っててくれ!」
「そうなんだ?」
ベノムはお腹が空き過ぎておかしくなってる感じ。
そのまま大会には参加できたみたいだけど、長い大きな机には選手が二十人も並んでるの。
すっごく大きくて象みたい人ばっかりなんだよ。
観客もいっぱいいるし、ベノムの勝ち目はすごく薄そう?
もうペコペコにお腹が空いたベノムの前に、美味しそうなお肉が置かれたのよ。
そのまま十分、試合の説明とかがされているけど、目の前にご飯があるのに私も我慢の限界かも。
終わるまで他の場所に行こうかな?
「見学の皆様には試食用の肉がございます。是非お召し上がりください」
でもそんな必要はなかったみたい。
「わー、ご飯が食べられるよー!」
(あ、僕も欲しいかも)
大会運営の人達が小さなお肉を配ってるよ。
ほとんど一口サイズだけど、お腹の足しにはなりそうかな。
あんまり受け取ってる人が居ないみたいだし、お願いしたら一杯食べさせてもらえるかも!
とりあえず貰った分を食べちゃおう。
私は御主人と一緒にパクッと食べたの。
これが何のお肉なのか分からないけど、バリバリボリボリプラスチックが割れる感じでべきべきになって無味無臭。
がんばってガジガジしているとようやく柔らかくなって飲み込めたの。
「……御主人、すごく不味いよ!」
(うん、すごく不味いね。プラスチックでも噛んでる感じだよ)
でもこれ以外に食べる物はないから、
「お代わりください!」
私はお代わりを要求したんだ。
(あ、僕は要らないです)
ちゃんと渡してくれたからある程度お腹が満たされたんだよ。
そして向こうでも大会が始まるみたい。
「うおおおおお、食い尽くしてやるぜえええ!」
ベノムは観客がどよめくぐらいの速さでお肉を切り分け、そのまま口の中に運んでいるよ。
しゅぱんしゅぱん消えていくけど、口の動きが間に合ってない。
もの凄いかたいし不味いし、噛む方がまにあってないの。
予想外に口の中一杯溜まって……。
あ、グブグブいって倒れちゃった。
無理に詰め込むからそうなっちゃうんだよ。
大会の救護班が見に行ってるみたいだし私の出番は無さそうな感じ?
「ぐはあああ、死にかけたああああ!?」
ほとんど一瞬で蘇生したみたい。
「はい、六番、失格ね」
「おい、まだちょっとしか食ってないんだぞ!?」
「さっき同意書に承諾したでしょ。気絶したら負けです」
「ぐぅ! 畜生、ほぼ読んでねぇ!」
まあやっぱり失格だよね。
数十分後、大会は無事に終わって勝った人が称えられたりしているよ。
参加した私とベノムもパチパチ拍手されたりしたんだ。
問題はここからだよね。
大会主催者のまるまる太ったウマーさんに皆がお金を支払っているよ。
「金はねぇ! 働いて返すから仕事をくれ! あと飯も食わせてくれると助かる!」
ベノムは居直り強盗みたいなことを云ってるよ。
「あー、牢屋にぶち込んどいて」
でもこれは思った展開と違う感じになっちゃったかも?
「待て、早まるな! さっきの動きを見ただろう、俺だけじゃねぇ、すっごいいい働きをするんだぜ! 一度だけでいいから試してみてくれ! 頼むぜおい! それにあれだ、俺達はこの国を救った英雄なんだぜ! これマジ、本当だから、頼む、頼むぜ!」
「はぁ、そんなウソをべらべら並べられてもね。やっぱり牢屋にぶち込んどいて」
ベノムはガシャンとしまる牢屋の中に入れられちゃったの。
面会は許されてるみたいだから行ってみたよ。
「どああああ、こんなはずじゃなかったのによぉ! 腹が減り過ぎて頭が回んなかったぜええ!」
一人部屋の牢屋の中で悔しがってる感じ。
「あ、そうだ。マグナストリスの王様とかウィーディアに連絡してもらえばいいんだよー!」
私はベノムに助かりそうなことを言ってみたんだけど、
「確かにそうすりゃ助かるかもしれねぇが論外だ! マグナストリスに借りは作りたくねぇし、そもそも国に俺の不評を広げたくねぇ!」
なんかそれは嫌っぽい。
「えー、じゃあどうするのー?」
「そりゃお前、待つしかねぇだろ。脱獄なんぞして指名手配なんてされたくないからな! それにあれだ、牢屋であっても多少の飯はでるはずだ! これ以上ひもじい思いはしなくて済むかもしれないぜ!」
「わー、それはすごいねー! ご飯食べられるなら大丈夫だよー! じゃあ私帰るね」
「おい待て、助けてください、お願いします!」
ちょっと泣きそうな顔で頭を下げて来たんだよ。
(すっごい自業自得な気がするんだけど)
「御主人、助けた方が良いのかなぁ?」
(そりゃあ、一応は仲間だし? 助けられるならそうしたほうがいいのかも?)
「でもどうすればいいんだろう?」
「やっぱり主催者のウマーって奴に許してもらうしかないぜ。何とかお願いしてきてくれ!」
「うーん、分かった。御主人行こっか!」
(そうだね)
私と御主人ははベノムに頷いて牢屋を出て行ったよ。
それからウマーの家を町の人達に教えてもらったの。
そこは馬と牛と豚を足して二で割ったような生物がをいっぱい飼っている牧場だよ。
丸々太って美味しそうな感じだけど、さっきの味だったら食欲はわかないかなぁ。
ウマーは奥に見える家に家族で住んでいるんだって。
私と御主人はそこを訪ねたの。
「こんにちはー!」
(こんにちは)
「おや、あなたはあの愚か者のお連れの方でしたかな?」
出て来たのはまん丸のウマ―だよ。
「そーだよー。できれば許してあげてほしいの」
「そうは云われましてもね。こちらも商売ですので、お金を払ってもらわないと困るんですよ。肉の味が変わってしまってから全然売れなくなってしまったのですから。本当にどうしたら……」
「えー? じゃあ私が悩みを聞いてあげるよー。頑張って解決するから許してあげて?」
「本当にできるのですか!?」
「分かんないけどやってみるよー」
私はドンと胸を叩いたんだよ。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




