グラファアを撃破しよう
冒険者や兵士と一緒に私はディズも町の中を捜しているよ。
そんな状況に焦ったのか、町中にゾンビを多発させたんだ。
これもたぶんグラファアの仕業だよね。
町中から聞こえる悲鳴に私は新しい力を覚醒させたの。
大量に呼んだ白猫ちゃんでゾンビ状態になりかけの人を治したよ。
グラファアの計画は止まったけれど、ついに本人が現れちゃったんだ。
やっぱり雷の力を使うみたい。
そこにディズが気にせずに突っ込んで倒したんだよ。
でもまだ終わりじゃなかった。
バラバラに弾けた体が空の上に集まってモンスターに変っていったんだ。
キャットスレイブの攻撃もまだ意味がないみたい。
黒猫ちゃんを呼び出そうとしてもさっき力を使いすぎたせいで出て来なかったし、ちょっと大変そう。
それでも多くの皆や改造人間のギードも集まって来て負ける気がしないんだ。
「行くぞグラファア、この手で決着をつけてやる!」
飛びだす人造人間のギード。
「バカめ、私のテリトリーにはいったな。黒焦げになれえええ!」
そこは電撃の網が張られる場所だよ。
「バカは貴様だ。自分で作った俺の性能も理解していないのか!」
私だってシビシビしちゃうけど、まるっきりダメージを受けてないみたい。
そのままグラファアの下に辿り着いて剣をふったの。
「だからどうした、失敗作のことなど覚える必要などない。この程度、痛みすらないわ!」
でもほとんどダメージがないみたい。
逆に剛腕で吹き飛ばされちゃった。
それでも何度も立ち上がって攻撃を続けてるよ。
ただ、ギードの攻撃力が圧倒的に足りてないの。
「クッ、このままでは倒せない。お前、手を貸してくれ。お前の力があるのならきっと勝てる」
ギードの視線が私に向いた。
リュネの両親を殺したギードは好きじゃないけれど、今回だけは仕方ないよね。
グラファアを倒すためだもん。
だから私はうんって頷いたの。
「よし、ならば俺が盾になってやる。奴の隙をつくんだ」
「いいよ、でも当たっても知らないからね!」
「その時はその時だ。奴さえ倒せれば問題無い」
ディズもこのギードも自分の体のことなんてまるっきり考えてない感じだ。
私は痛いのは嫌だけど、倒したいって気持ちは一緒だよ。
「よし、合わせろ」
「うん、やっちゃうよー!」
電撃を受け止めるギード。
その隙にキャットスレイブをビュンと伸ばしたんだ。
狙ったのは胸とお腹の間。
ここは別の奴の弱点だった場所。
やっぱり当たるとバチっとくるの。
がんばって押し込んだけど、これは……ダメっぽい?
全く効果があるように見えないよ。
私はキャットスレイヴを引っこ抜いて一度下がったんだ。
「無駄だ、無駄無駄、この私に弱点などないのだからな! 大人しく殺されていろ!」
そんな行動を見てグラファアは笑うような顔をして暴れ回っている。
周りからはゾンビに有効だった火の魔法や、水の魔法も、土の魔法も、風の魔法も飛んでいるけど効きそうにない。
それでも何処かに弱点があるはずだ。
こんな時黒猫ちゃんが来てくれればいいんだけど、たぶんまだ使えない。
だからこのまま攻撃するしかなくて、じり貧すぎる戦いが続いて行ったんだ。
時間が経つにつれて皆の顔から余裕が消えていくのが分かったの。
魔力とか武器がなくなっているのかその頻度もかなり落ちているよ。
真面に動いているのは私とギードぐらいなものだ。
絶望感が漂うこの場所に、ヒュッと何かが通り過ぎていく。
あれは箒?
うん、箒に乗ったギルドのお姉さん、タウナだ。
辺りを見回して現状を確認しているみたい。
「ここで戦う者達よ、もう戦う力が残されていないなら勇気ある者に手を伸ばせ。残された力を与えなさい! 安心しろ、その手伝いを私が請け負う!」
そして大きな声が発せられたんだ。
周りの人達が頷き合って、私に、私達に手を伸ばしたの。
「全ての力よ集まりなさい、そして彼者達に希望を与えよ! ホープ・ザ・ライティング!」
その光の一部が私に降り注いだんだよ。
すごく温かいこの感じは白猫ちゃんをいっぱい呼び出した時と似ているの。
ううん、それ以上に心にある輝きが真っ赤に燃えて暑いぐらい。
今ならきっと出来るよね?
集中して、集中して……。
「猫猫召喚……出て来て、幸せの黒猫ちゃん!」
言葉に応じるように渦が現れて、いつもの黒猫ちゃんが飛びだしてきたの。
私はパシッと受け止めてありがとうって撫でてあげたんだ。
「そんなものが出て来たところでえええ!」
グラファアの攻撃が激しさを増す。
皆はもう動く力もないけれど、私は勝ちを確信しているんだよ。
「うん、ありがとう。黒猫ちゃん! また来てね!」
弱点はもう見極めたの。
「ギード、前に出てー!」
「当然!」
動きだしたギードは雷撃を受け止めた。
一瞬だけ攻撃する隙間が出来たよ。
そこに向かってキャットスレイヴをビュンって伸ばしたんだ。
当てるべき場所は正面じゃない。
背中の翼がある場所の真ん中だ。
「こんなものはこうしてええええ!」
攻撃を壊そうと、避けようとしているけれど、キャットスレイヴは私の意思で自由に動くんだよ。
ビリっと電撃、関係ない!
『当たれえええええ!』
腕を足を、その翼を、何もかもをすり抜けて、私と皆の声とともに、
「こんなものおおおおお!」
全部全部まとめていっしょにグラファアに食らわせてやったんだ!
ドドドドって当てまくってもう倒れるまで止まってあげない。
「うおおおお、ギャアアアアアア!?」
その連撃に堪えられず、グラファアは地面に沈んで行ったんだ。
「……勝ったよー!」
『うおおおおおおおおおおおお!』
両手を挙げてピョ―ンと飛び跳ねると至る所から勝利の声が聞こえたの。
近くの人と肩を組んだりしてすぐっごく喜んでるみたい。
空を飛んでいたタウナが勝利の演出みたいに色とりどりの花吹雪を町にまき散らしてるよ。
「んあ……グラファアは!?」
その騒がしい状態に黒焦げになってたディズも起きちゃったみたい。
倒れてた時もたまに電撃を食らってたのに結構頑丈だよね。
「おい、どこいった!?」
「あれだよ」
私は倒れたグラファアを指さしたの。
「ディズが寝てる間に私達が倒したんだよー」
「そうか、俺が致命傷を与えてやったからな。奴も悪あがきが過ぎたようだぜ」
「違うよ、ディズの攻撃は何にもちっとも効いて無かったよ」
「はあ!? じゃあ俺の活躍は!?」
「うーん、全然ないかも?」
「ぐはああああ!」
私の言葉でディズがダメージを受けて倒れちゃったよ。
とりあえず、この荷物を背負って御主人が待って帰ろうかな。
ここに置いといても通行の邪魔だし。
足を持ち上げて背中に担ごうとしていると、
「お前のお陰で倒すことが出来た、感謝する」
一緒に戦っていたギードに声をかけられたよ。
「感謝してるならリュネに謝って」
「……いいだろう。だがいいのか? 仇である俺が目の前に行けば、あの子供が復讐に走るかもしれんぞ」
もしかしたらそうなるかもしれない。
そう思ったのはリュネの心が閉ざされているから。
「でも、今のままじゃ生きられないもん。何か切っ掛けがないとダメなんだもん」
ほとんどご飯も食べないし、このままじゃ死んでいくしかないんだよ。
「分かった、その賭けに乗ってやる」
それからギルドに戻って行ったんだ。
中ではもう宴会が始まっていたの。
私も参加したい。
全品無料だとか大盤振る舞いしてたけど、今は涙を呑んでこらえよう。
だって御主人とリュネが待っているんだし。
二人が待っているんだし!
すっごく悲しいけれど私達はお部屋に向かったんだよ。
「ただいまー!」
「邪魔をする」
元気よく入るとリュネはギードの姿を見ると固まってしまっていた。
「お前ええええええ!」
直ぐに怒りが爆発して叫び出したの。
変なことをしないようにグッと抱きしめたんだ。
(お帰りモモ、それと……ギードだね。モモ、なんでここに彼が居るの?)
「リュネに謝らせようと思って」
(それは、あんまりいい方法じゃないと思うんだけど、まあ来ちゃったものは仕方ないか。とにかくリュネが暴走しないように押さえといて!)
「分かったー!」
私は云われた通りにリュネの体を押さえ続けたよ。
それからギードがリュネに目線を合せてしゃがんだの。
「悪かった。それしか言葉がない。あの時はああするしかなかったんだ」
それで一応は謝ってはくれたんだけど、
「お前ええええ! お前えええ、お前えええ!」
リュネは怒りは収まらないの。
「もしも仇が打ちたいというのなら、この剣を貸してやる。好きに殺すがいい」
ギードは抜き身の剣の柄をそっと差し出したの。
これは火に油が注がれた感じ。
「殺してやる、殺してやる、殺してやる!」
私が手を放したら絶対剣を取っちゃうよ。
(モモ、そんなことさせちゃダメだからね!)
「分かってるけど、御主人、どうすればいいんだろ?」
(えっとえっとえっとえっと、とにかくリュネの両親がどうして死ななきゃいけなかったのかちゃんと説明しよう。まずはそれからだよ!)
「うん! ギード、どうして火をつけたのかちゃんと説明してあげてー!」
「ああ、お前に従おう」
そして暴れるリュネに向かってギードが説明を始めたの。
耳を傾けてくれるか分からないけど、それでも先に進むなら聞かなきゃだよね。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




