大規模捜索
旧魔導研究所に行った私はディズがグラファアと戦っているのを発見したの。
一度倒しているから弱点は知ってるんだ。
ディズにその場所を教えると、突っ込んで行って一緒に倒れちゃったんだ。
でもちゃんと倒せたみたいだから回復してあげたよ。
それでギードに連絡を取ったりしてギルドに戻ったの。
ギルドで依頼を受けてたから魔法使い風のお姉さんに事情を伝えたら、この町に居る全冒険者に指示を出してくれたんだよ。
数百人規模で町の中を探索することになったんだ。
私とディズはそのスピードを生かして町中を飛び回っているよ。
全体で見る限り、今のところ変わったところはないみたい?
下に見える町中では冒険者達が聞き込みをしたり、怪しい場所に押し入ったりしているよ。
チンピラみたいな人達と戦ってる人もいるみたい。
でも冒険者だけじゃないの。
お城の消火を終えた兵士達も武装して走り回っているよ。
きっと目的は同じだ。
これだけいれば何か見つかるよね!
私達が探索を続けていると、冒険者カードからお姉さんの声が聞こえて来たの。
「冒険者各員に報告、現在人々がゾンビになる事例が相次いでいます。個体自体はそこまで強いものではないですが、噛まれるとゾンビになる恐れがありますのでご注意を。ゾンビはバラバラにしても死にません。倒しても油断せず完全に焼却してください! それとモモというストレイキャットを見かけたら報せてあげてください、変化中なら助かる可能性もあります!」
もしかして私達が動きを見せたからこんなことに?
それでも落ち込んでいる暇はないの。
今は私がやれることをしなきゃ。
だから直ぐに町中に居る人の変化を感じ取ったんだ。
「見つけた!」
丁度今ゾンビになりかけている。
私は近くに下りて白猫ちゃんを呼び出したよ。
一人は助けられたんだけど、まだまだ多くの人達がゾンビになりかかっているんだ。
何処からともなく聞こえる悲鳴、悲しみ、全部が私の胸に突き刺さる。
どうにか皆を助けたい。
できるかどうか分かんないけど、それでも願うんだ。
この心にある輝きに。
お願い天使様、私に力を……。
「力をちょうだーい!」
真っ白い輝きが光りを増していく。
それは暖かくて、ほんわか気持ちよくて、すっごく優しいの。
でもとても大きくて体から溢れちゃいそう。
私の中から言葉が紡ぎ出されるんだ。
「猫猫召喚、白猫ちゃんの……大行進!」
それを唱えると、青い空にグルグルの渦巻きがいっぱい出て来たよ。
そこからピョーンと白猫ちゃんが一匹、二匹、三匹、四匹、いっぱい、いーっぱい出てきたの!
苦しんでいる人の下に着地すると、ペロっと舐めて回復させたんだよ。
そのお陰で町の中から悲鳴が消えていったんだ。
これでグラファアの野望が終わってくれたらいいんだけれど、まだそうはいかない感じがする。
白猫ちゃんが出て来た渦は消えたんだけど、一瞬でモクモク雲が集まってゴロゴロいって雷が落ちたの。
『貴様等あああああ、私の計画をことごとく邪魔しやがってええええ! 直々にぶっ殺してやらああああ!』
そして空の彼方から聞こえて来た町全体に轟くような声。
ウォーリア・アントの巣で聞いたことがあるし、きっとこれはグラファアの声に間違いないよ。
すごく怒ってるみたいだけれど、私達だって怒っているんだからね!
犠牲になった人達の分も、ぜーんぶまとめて返してあげる!
「出てこーい、バカグラファア!」
空に向かって叫ぶと、大きな雷が私の頭の上にふって来たの。
そんなの当たらないんだけど、雷の中から人の姿が現れたんだ。
「お前がグラファアだよね!」
その顔はウォーリア・アントの巣で見た、変身する前のグラファアと同じだったよ。
「ふん、死に行く者達に応える必要はない。その最初の一人目にしてくれるわ、バカ猫め! 死ね、ライトニング・スピア!」
私が倒した奴よりも随分怒りっぽい。
でも同じように雷の力を操ってる。
手の平から槍みたいな物がドンドン飛んで来るの。
避けることはできるけど、周りには町の人達がいっぱいだ。
私はキャットスレイブを盾のように分岐させて全部防いでやったよ。
手がシビシビするけど大丈夫。
落とさないように手にくっつくようにしているもん。
その間にも町の中を出歩いていた人達は逃げて行くんだ。
「見つけたぞオラァ! グラファアアア!」
逆に戦える人達は集まってくるの。
ディズや冒険者の皆、兵士の皆も。
もうグラファアに逃げ場なんてないんだよ!
「チィ、無駄に集まりおってからに。だが丁度良い、全員まとめて、黒焦げになれ! ライトニング・ストリーム!」
そんな皆に向けて上空から雷の雨が渦となって降り注いだんだ。
私はディズなら逃げられるけど、殆どの人は逃げられない。
その攻撃を止める為に、
「根性だバカ野郎!」
と、ディズが突っ込んで行ったよ。
途中でドンドン真っ黒くなるけど、それでもスピードは落ちないの。
「ぐはぁ!?」
「やってやったぜ……ぐは!?」
ちゃんと当たって二人とも滑って行くの。
出番がなかったけれど、倒せたからいっかな?
後は皆を回復させて……。
「クッ、愚かな奴め。この程度で私が死ぬものか!」
と思ったけれど、グラファアはみぞおち辺りを剣に貫かれたまま立ち上がって来たよ。
普通なら致命傷。
あのモンスターだって弱点を貫かれたら死んじゃったけど、この男はまだ戦う気が満々みたい。
それにおかしいことがあるの。
あんな傷をつけられているのに血が全然出てないんだ。
やっぱりこの人もモンスターに成っちゃうのかも。
「今だ、取り押さえろおおお!」
「いや殺してやれこんな奴!」
そんなグラファアに冒険者や兵士が突っ込もうとしている。
「……いいだろう。最早この肉体に未練などない。さあ見るがいい、絶望の幕開けだああああ!」
何をするかと思ったんだけど、その肉体がパーンと弾けて飛び散ったんだ。
でもこれで終わりなはずがないよね。
だって感じるんだもん。
町中から悪意の気配が集まってくるのを。
その中心は……空だよ!
町中で燃やされていたゾンビの灰が、遠くからは私とディズが倒したあのモンスターが、上空でに集まってひっついて固まって、ウニウニ変化して一つの物体になっていくの。
これは絶対モンスターになるやつだ。
そんな事になる前に、私はキャットスレイヴを伸ばして攻撃を始めたの。
ザシュザシュブスブス斬ったり突いたりしてたんだけど、全然止まってくれないみたい。
まず両側に二つずつ翼が生えて極太の両腕が生えて来たよ。
大きさは全然違うけど、ベースは前に戦ったグラファアの変身した姿なのかも。
それとウニウニしているところはダメかもしれない。
血も出ないし水のように直っちゃうの。
だったらって、固まったところに剣を当てたんだけどそこも同じ感じだよ。
そうしている間にも両足が、胴体が、顔が出来上がり、ドーンと地面に着地したんだ。
『ウオオオオオオ!』
雄叫びとともに放たれた雷撃は、今までの威力も範囲も比にならないよ。
物理的な威力まで付与されている感じで、当たった地面や建物が弾け飛んで周りに居る人達も次々に倒れて行くの。
人の命も、生活も、思いも、何もかもを踏みにじるような悪意の攻撃。
こんなの絶対に倒さなきゃダメだ!
でも相手の体は直ぐに治っちゃう回復能力がある。
「猫猫召喚、幸せの黒猫ちゃん!」
だから何所に弱点があるのか調べよう。
何時も通りの魔法の詠唱、私は黒猫ちゃんを呼ぼうとしたの。
出てくるはずの黒猫ちゃんが現れてくれなかったんだ。
もしかしていっぱい白猫ちゃんを呼んだから力がなくなっちゃったのかも?
じゃあもう剣で頑張るしかないけど、あの電撃を無視して攻撃するのはちょっと無理かも。
今も転がっているディズのようになっちゃうし。
グラファアの隙を狙いつつ攻撃を繰り返すけど、体に届くぐらいにまでは中々できないの。
ちょっとぐらい傷がついても直ぐに治っちゃうし、これはどうやって倒せばいいんだろう。
私一人なら普通なら不利な状況だ。
でも今はそうじゃなかったみたい。
「俺達の町だ、こんな所で寝ているわけにはいかねぇんだよ!」
「当たり前でしょ、ここには友達も、恋人だって居るんだから!」
冒険者の皆が、兵士の皆が、傷つきながらも立ち上がってくれたんだ。
弓が得意な人は弓で、魔法が得意なら魔法で、それぞれがグラファアに遠距離攻撃を開始したの。
それともう一人。
「ようやく見つけたぞ、狂った思考の悪鬼よ。命を生み出してくれた礼だ、この手で粛清してやろう」
人造人間ギードも駆けつけて来たよ。
これだけいれば絶対勝てる、きっと勝つんだ!
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




