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家ネコファンタジー 異世界で人になった雌猫は猫になった御主人と一緒に冒険をする  作者: 秀典
カラスさんカラスさん、なんでそんなに真っ黒なの?
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調査結果を確認しよう

 御主人が穴の中に入り、私はアリアとビュートを連れて町の外に出てみたよ。

 地面の下を通る御主人は迷いながら移動して町から離れた草むらの穴から出て来たんだ。

 侵入経路は分かったけれど、そこに罠がしかけられていた。

 植物のモンスターが四体出て来てビュートが人質にとられてしまったよ。

 私は直ぐに攻撃して助け出したんだ。

 それからバッサリ分断してやったんだけど、その分数が増えちゃった。

 大きさも元通りだし、バラバラにしても意味がなくて百体ぐらいになっちゃった。

 このままじゃ無理だから黒猫ちゃんを召喚して弱点を見抜いたよ。

 でもそれは私の使えない火、というものだったんだ。

 騒ぎを聞きつけて駆けつけるブレードバード隊。

 もっと増える植物のモンスター。

 焦った心が新しい力を呼び起こし、火の力を扱える子を呼び出したんだ。

 そして私はモンスターを全滅させたんだよ!

 お城の食堂。

 私の活躍でベノムが用意してくれた歓迎会。

 ビュートと別れ、土だらけの御主人を洗ってから私達はそこに行ったんだ。

 もちろん一緒に居たアリアも連れて来たんだよ。


 他にもシャーンとルシフェリア、イブレーテにグリフやブルースも付き添いで来ているみたい。

 お酒を飲んだり好きな物を食べたりしてすっごく楽しそうな感じで私もなんだから楽しくなっちゃうよ。

 もう一個お肉を食べちゃおう!


「さて、そろそろ腹もふくれたところだ。お前達にも炎の妖精の経過報告を教えてやるぜ」


「お肉おかわりー!」


 私はそんな声を気にせずにお肉を注文した。


「モモさん、大事なお話しなんですよ? お食事よりも是非お話しを聞かせてもらいましょうね!」


 隣に座っていたアリアの顔がニッコリしている。


「うーん、じゃあお話しを聞いてから食べるよー」


 嫌だって言ったら怒られるかもだし、私は手を止めてベノムの方に顔を向けたんだよ。


「ま、とにかくだ。調査の結果、あの妖精が作られた物だってのが判明したぜ。ハウマーだっけ? 先日捕まった奴と同じ技術が使われてたらしいぜ」


「ではやはりグラファア・ズ・ドラグライム、もしくは魔導国家マグナストリスが関わっているということでしょう。しかも罠が張られていたということは間違いなく故意によるものですね」


「はい、この国に何かしらのことをしているのは間違いねぇです。で、それがどんな狙いかってことなんですが、ただの威力偵察ってことか、それとも侵略でも狙っているのかですかね。まあ何にしても町の見回りは強化したほうが良さそうな感じですね。町中に奴等の手のものが紛れている可能性があるし」


「ええ、また大規模な戦争でも起こればこの国が持ちませんからね。気を付けるに越したことはないです。それでモモさんはどう思いますか?」


「えー?」


 突然云われても分かんないよー。

 うーん、でも考えなきゃ怒られちゃうし。

 私はうんうん悩みながら考えに考えて……。


「じゃあこっちから倒しに行けばいいんだよ!」


 一番良さそうな答えを出したんだ。


「確かにそれが出来れば良いのですが、他国の領地で下手なことをしてしまえば首が飛びますよ? それだけじゃありません。報復か、もしくはこの国にとんでもない条件を突きつけられるかもしれませんよ」


「いや、でもバレなきゃいけるよな? 俺ならいけるんじゃねぇか?」


「ベノムさん、下手なことは考えないでくださいね?」


「ああ、はい。分かってますよ。自分一人で勝手に行動しようなんて思ってませんよ。それはまあちゃんと手順を踏んでテルナ様の許可を得てからですねぇ」


「……結局行くつもりなんじゃないですか。まあ、許可が出たのならば私が止める筋合いはありませんけど」


「ま、それはテルナ様のご判断によりますねぇ。ってことで俺は早速報告してきますぜ!」


 ベノムは食堂から出て行ったよ。

 これで話が終わったのかな?

 私はお肉を手に取って美味しく頂いたんだ。

 それから数時間後。

 私と御主人はお部屋に帰ってのんびりしていたんだけど、ここに向かってくる気配が一つ。

 これはベノムのものかな?


「おいモモ、聞いて喜べ。俺と一緒にマグナストリスに行くことになったぜ! 明日の朝出発だから直ぐに支度しろよ!」


 やっぱり私の部屋の前でドンドン扉を鳴らして声をかけてきた。


「なにー?」


「だから言ってるだろ。俺と一緒にマグナストリスに行くんだよ。食堂でこっちから乗り込んでやるんだよ! もちろんちゃんと許可は得てあるぜ!」


 あー、ちょっと思い出した。

 行くとか言ってたかも?

 でも何で?


「えー、何で私なのー?」


 ちょっとした疑問を聞いてみた。


「そりゃあお前、俺について来れそうなのがお前しか居ないからだぜ。通常の移動だと何週間もかかっちまうからな」


(これ行かなきゃいけない感じなのかも? とにかく準備しないとね)


「そっかー、じゃあ用意するねー」


「おう、明日の朝城門前で待ってるぜ。時間は……まあ始業の鐘が鳴ってからでいいだろう」


 始業の鐘っていうのは確か、その名の通り町でお仕事を始めてもいいよっていう鐘の音だったかな?

 それをきっかけに町が活気づくんだよ。

 たぶん朝の八時ぐらいに鳴ってるかも?


「多少なら遅れてもいいからちゃんと来いよ。んじゃまた明日な」


「はーい!」


 それだけ云うとベノムの気配は消えて行った。

 私と御主人は直ぐに明日の用意をしたんだよ。

 着替えとか、お菓子とか、保存食とか、お水とか。

 あ、移動中に食べるご飯もほしい。

 お弁当十個ぐらいかな?

 考えに考えて最終的には山のような量になっちゃったけど、四つのリュックにちゃんと入るし自分で運べるから大丈夫だよ。


(ちょっと多いかもしれないけど用意はできたね。もしかしたら直ぐ起きられないかもしれないし、今日は早めに寝ちゃおうか。あ、それとアリアには伝えておいた方が良いのかも? 明日もお勉強とか予定してたんでしょ?)


「うん、そうしとくねー!」


 私はアリアの部屋に向かって事情を伝えたんだ。

 それからお部屋に戻ってお布団に入ったんだよ。

 ぐっすりたーぷりお休みして、それから次の日。

 ゴーンと音がしてハッと目を覚ましたんだ。

 これはもしかして始業の鐘の音だったり!?

 隣で寝ていた御主人を見ると眠そうな目を開けていた。

 もしかして、二人とも寝坊しちゃった!?

 いけない、もうベノムが待ってるかも!


「あー、朝ご飯食べないとー! 御主人、食堂に急ごう!」


(えー?)


 私はまだ寝ぼけていた御主人をつれて食堂に向かったんだ。

 早く出てきそうな物を三人前ぐらい注文してパクパクと食べていたんだけれど、ちょっと時間が過ぎちゃった。

 荷物を持って行かないと。

 残っているご飯を急いでかきこんで、お部屋に戻ろうとした時。


「部屋に荷物が置きっぱなしだと思ったら、お前まだ飯食ってたのかよ。遅れてもいいとは言ったがよぉ、ちょっとのんびりし過ぎじゃねぇのか?」


 ベノムが私を捜しに来たみたい。


「もう食べたよー!」


(あ、うん。僕もお腹いっぱいかも)


 最後の一口を食べて満足したんだよ。


「そうかよ、んじゃもう行くぜ。到着するまでどれぐらいかかるか分かんねぇんだから。俺はもう城門に行ってるから急いで来いよ!」


「はーい!」


 私は御主人と一緒に部屋に戻って荷物を取って来た。

 ずっしりと重いけど、これは命の重量なんだよ。

 ご飯食べられないと死んじゃうし!

 大量の荷物をぐいぐいと窓から押し出して城門前に向かったんだ。


「……おい、随分と大荷物だな。今回の移動手段は足だぜ。そんなん持て大丈夫なのかよ?」


 そこで待っていたベノムが私の荷物に驚いているよ。


「全然大丈夫だよ。ね、御主人!」


(まあモモなら平気かな?)


「止めねぇけど、もしへばるようだったら途中で捨てちまうからな」


「へばらないから大丈夫だよー!」


「そうかそうか、んじゃあ遅れないようについて来い! 言っとくけど火事ん時みたいにはいかねぇからな。全力全開で行かせてもらうぜ!」


「負けないもん!」


「なら出発だぜええええ!」


 と、ベノムが私達を置いていきなり走り出しちゃった。


「あー、ずるーい。御主人、追いかけるよー!」


(うん、追い抜いちゃえ!)


 私は直ぐに走ってベノムを追い掛けたんだ。

 五分後には追いついて抜かしたけれど、あんまり急ぎ過ぎたから途中で荷物がこぼれていくつかのお弁当がダメになっちゃった。

 せっかく持って来たのに、すごく悲しいよー。

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

王女ルシフェリア

王女イブレーテ(長女)

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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