誘拐犯、男の素性
魔導超兵器グラディマイオスと戦う私。
体の下に弱点を発見した。
ガツンと地面に落とし止まったと思ったけれど、まだまだ戦いは続きそう。
何度か攻撃を続けて撃破した。
フェンリルと合流するも男は逃げ出してしまう。
一度倒した奴等を縛って山を下りることに。
麓に下りると子供達を保護していたグリフ達と合流できた。
ちょっとした話の後にもう一度山に登ることになったのだけど、グラディマイオスがこの国の隣国であるマグナストリスという国の物だと知った。
結局逃げた男は見つからず、私達は町に戻ることに。
「ふんむ、報告ご苦労でニャンス。先に到着したクロからもある程度の事情は聞いているでニャンス。逃げられたのは残念だったニャンスけど、敵を一掃できたのはいい感じでニャンス! 勇者様には御褒美上げるでニャンス!」
「わーい!」
私は猫のお城でレオにかたそうな石を貰った。
透明でも光ってもいないけど、とても良いお魚さんの匂いがする。
これはやっぱり鰹節さんの匂いだ!
「それはニャンコパラダイスの遺跡から発掘された匂い石ニャンス。ニャーのお気に入りの物だけど勇者様にあげるニャンス。一応言っておくけど食べられないニャンスよ」
私は石に嚙り付こうとしたけれど止められてしまった。
食べられないのはとても残念。
美味しそうな匂いがするけど、ずっと持ってたらお腹が空いてしまいそう。
「それでレオ様、相手はストレイキャットだという話、何か心当たりはございませんか?」
私が匂い石に気を取られまくっていると、グリフがレオに質問した。
「ふんむ、同じ種族だとはいえキャットパラダイスも広いニャンス。ニャーも全員のことを知ってる訳じゃないニャンス。ストレイキャットは旅をするのが好きな種族ニャンス」
「確かにそうですな。そうすると手掛かりはありませんか」
「お話しの途中申し訳ございませんニャァ、このクロ、奴の素性を知っているかもしれませんニャァ」
「クロ、それはまことでニャンス?」
「んニャァ。確証はありませんが、あの顔立ちはノアの息子ノラなのではないかと、ニャァ」
「ノアというと、この国で唯一の殺人犯ニャンス?」
「んニャァ、ノラは父の罰を受けるように周囲に迫害され、自らの足でこの国を出て行ったニャァ。それからの行方は知れませんが、真面な人生ではなかったと思われますニャァ」
「なるほど、この国に色々と恨みがあるニャンスな。あんまり油断はできない人物でニャンス」
「このままマグナストリスに戻ることも考えられますな」
「どの道、今は出方を窺うしか無いですニャァ」
「仕方ないニャンス、話し合いはこれで終わりにするニャンス。勇者様達はしっかり疲れを癒すでニャンス」
「はーい!」
結局話し合いの決着はつかなかったみたい。
最初の予定通り私達は宿に戻ってゆっくり休むことになった。
もちろん御主人やリーズとカリンも一緒だよー。
『おやすみなさい』
っと皆で眠りについたんだよ。
それと匂い石は皆が臭がるから机の中にしまっちゃった。
ちょっとだけ漂う匂いを感じながら、私はとても良い夢を見ていた……かも?
でもそんな夢の時間は朝まで続くことはなかった。
突然感じたのは血の香り。
開いた窓の辺りから漂ってくる。
気配は感じないけど、少しずつ臭いが強くなっていく。
これは絶対に何かがいるはずだ。
私は危険を感じて布団から飛び退くと、その場にドスっとナイフが突き刺さった。
「勘のいい奴……」
それを投げた奴は、山で出会ったノラとかいう男。
頭と腕に怪我を負ってるみたい。
「な、なに!?」
「敵襲ですか!?」
(ふえぇ? なになに?)
その声に三人とも起きてしまった。
眠そうな御主人は安全な場所に避難し、リーズとカリンは愛用の武器に手を伸ばす。
「こいつ、もしかして」
「ええ、ノラって人でしょうね」
「俺の名を、気安く呼んでんじゃ……!?」
ノラは剣を抜いたけれど、突然クラっとして倒れこんだ。
怪我もあるし、すごくダメージを追ってるみたい。
誰かにやられたのかな?
「クソが、意識が保てニャえ!?」
「今よ、やっちゃいましょう!」
「いきます!」
「えーい!」
「ぎニャああああ!?」
という感じで私達に取り押さえられてノラをガッチリと捕縛した。
もう意識はないみたい。
「まったく、夜中にやってくるんじゃないわよ!」
「折角の睡眠が……ふあぁ」
やっぱり眠いのかカリンが小さなあくびをしている。
「といっても、このまま眠れる訳がないわね。万が一ここで死んでもらうのもすっごく困るし、モモ、治してあげたら?」
「うん、いいよー!」
私は心の中にある光の力を感じとる。
治してあげたいという優しい思い。
「猫猫召喚、癒しの猫ちゃん!」
それを魔法に代えて白猫ちゃんを呼び出した。
その子はノラの怪我をした部分をペロッと舐めると傷が癒され消えていく。
「これで治したよー!」
まだちゃんと息もしているみたい。
「そうね、これで死んじゃうことはなくなったかしら。あとは……」
「どうするかですよね」
たぶんクロは今日もどこかで見回りをしているかもしれないけど、町の何処に居るのかは分からない。
それを捜しに行くのは寝起きにはちょっと大変だ。
「うーん、起こしてみるねー」
私はノラを起こしてみることに。
(モモ、一応気を付けてね)
「うん!」
倒れているノラの身を起こし、その頬をパチンと叩く。
目を見開いて悲鳴を上げるノラ。
まだちょっと放心しているみたい。
ちょっと強すぎたかも?
まあでも起きたからいいかな。
「ほら、ちゃんと起きなさいよ。もう一発ぶっ叩くわよ」
「暗殺なんてしようとする人に慈悲はありませんね」
リーズとカリンが目を覚ましたクロに武器を向けている。
「チィッ、ヘマしちまったぜ。これで俺もお終いかよ。早く殺せよクソ女共。この傷じゃ長くはニャえからな」
「もう治ってるよー!」
「ニャに!?」
ノラは自分の傷が無くなったことにようやく気が付いたみたい。
「あのね、殺す訳がないでしょ。あんたはこの国の法律で裁かれるんだからね」
「それにこちらにも聞きたいことがありますから。素直に応えてくれれば恩赦もありえるかもですよ。それもこの国が許してくれればですけど」
「痛い目に遭うのと喋るの、どっちが良いか分かるわよね?」
「ええ、普通に考えたら分かりますよね」
「はん、俺が拷問ぐらいで口を割るとでも思ってるのかよ。無駄なことはやめておきニャ!」
あんな大怪我を負って我慢してたんだから叩いても平気そう。
(まああんまり酷いことはしたくないよね。だったらさ、いっそ笑わせてあげたら? 笑うのって意外と体力いるからね)
「うん、やってみるよー!」
私は御主人の意見を聞き、キラリと光る眼でノラを見つめた。
「……おい、何だその目は、その手つきはニャんだ!?」
「こしょこしょするんだよー!」
「あら、それは面白そうだわ。私もやってみようかしら」
「ええ、それならカリンも参加できそうです」
三人の手がワキワキしながら縛られたノラに迫る。
「ニャ、ニャめろ。おい、ニャめろおおおおお!」
「いくよー!」
『おー!』
「ぬああああああ!?」
壮絶的な手つきでくすぐりを決行した。
ノラはどうにか笑わないようにと頑張っていたけど、
「……わ、分かった、もう言うから。これ以上は勘弁しろおおお!」
三十分も経つと体と顔があり得ない感じに歪み、ついに根をあげたみたい。
はぁはぁと息を整え、ようやく話しが聞けそうな感じだ。
「いい、嘘を言ったらもう一度だからね」
「ええ、お仕置きです」
「こしょこしょー!」
私達はもう一度手をワキワキさせた。
「言わニャえよ! どうせ知った所でどうにもなんニャえからな、お前達に教えてやるぜ! 俺の雇い主はな、魔導国家マグナストリス伯爵、アインハルト・ディ・グライナスだ。例えお前等がどうしようとどうにもできニャえ相手だぜ! まあ今回の失敗で俺も切られた側だがな。せめてお前に復讐しようとしたがこのざまだぜ!」
そしてついにその名前が判明したんだけれど、
「御主人、伯爵って、なに?」
よく分からなかったから私は御主人に聞いてみた。
(まあ偉い人ってことかな。たぶんグリフやブルースと同じぐらいなんじゃない?)
「ふーん?」
グリフとブルースって偉かったのか。
「まさか伯爵もしらニャえバカとは思わなかったぜ。くっそ、こんな奴に負けるなんて。俺のバカ野郎!」
ノラがなんか悔しがっているみたい。
「相手が他国の伯爵じゃあ証拠がない限りは手出しできないわね。どうせこの男を突き出したところで知らぬ存ぜぬを通すでしょうし」
「しかも下手に手を出せば戦争にもなりかねませんね」
「まあ、何にしろ今日はもう無理ね、明日皆に伝えましょう」
「うん!」
「っと、その前に、こんな奴に乙女の寝顔を見られるのは甚だ不本意だわ。目隠しと耳栓も追加よ」
「当然です、本来なら鼻栓も追加したいところですが、まあそれは許してあげます!」
「じゃあやっちゃうよー!」
「うおおお、手加減しろおおお!」
ノラは更に芋虫みたいになり、完璧に拘束したのを確認すると、私達は朝まで眠りについたのだった。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




