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捕まったノラ

 私達はレオに報告してご褒美として鰹節の匂いがする匂い石という物を貰った。

 誘拐犯のボスがノラという人物であり、ノアという犯罪者の息子らしい。

 この国を離れたノラが魔導国家マグナストリスに流れ着いたみたいだ。

 とにかく今日は休もうと宿に戻り、眠っていた時、血塗れのノラが襲撃してきた。

 私は直ぐに避けて反撃しようとしたのだけど、ノラはその場で倒れてしまう。

 死なれちゃうと困るから、起きちゃう前にガッチリ拘束して傷まで治してあげた。

 そして強情なノラをくすぐりまくって黒幕の名前を聞き出したのだった。

 チュンチュンと鳥が鳴き、すごく良い感じに晴れた朝。

 私は誰よりも先に目を覚ました。

 眠気も全くないからこれ以上は眠れそうもない。

 床を見てみると夜縛り上げたノラは床に転がったままだった。

 逃げ出そうとした形跡もなさそう。

 外は……もう色々準備をしている人達もいるから丁度良い時間なのかも?

 ちょっと着替えを済ませていると、


(ふわぁ、お早うモモ、いい朝だね)


 大きなあくびをして御主人が起きたみたい。


「あー、御主人お早うだよー!」


(うん、お早う)


「んー……もう朝なの? なんか寝た気がしないわ」


「……本当ですね。それもこれもあの男の所為ですよね」


 リーズとカリンも目が覚めた。

 少し眠そうでノラを恨めしそうに見ている。

 二日連続だから眠くなるのは仕方ないかな。

 皆それぞれに準備を済ませてクロが居る場所を魔法で見つけだす。

 そして皆でその場に向かい、


「おお、何時の間に捕まえたのですかニャァ!?」


 事情を説明したクロの前にノラを転がした。


「夜に来たんだよー」


「まあ返り討ち、というか勝手に倒れたわね」


「はい、見るからに大怪我を負ってましたからね。たぶん上からお仕置きされたんでしょう。切られたとも云ってましたから」


「それで、他に情報は聞けたのですかニャァ?」


「うん、ボスの名前を聞けたんだよー。なんだっけ、アイ……アミ? 御主人なんだっけ!?」


(魔導国家のアインハルト・ディ・グライナスだね。覚えといてよかったよ)


「うんそれだね。アインハルト・ディ・グライナスだって!」


 御主人から聞いた名前をクロに伝えてみた。


「む、この国にも何度か足を運んだこともある人物ですニャァ。奴が本命となると、下見に来ていたのかも知れませんニャァ」


「まあでもこのノラが云っていただけだから、ただの嘘かもしれないわよ」


「そうですね、まだ慎重に行動した方がいいかもしれません」


 リーズとカリンはまだ信用していないみたい。


「確かに、王がお目覚めになられたら意見をうかがってみますニャァ。ではその者の処遇はこちらにお任せくださいニャァ。皆様は観光や食事でも楽しんでくださいニャァ」


 そういえばまだ朝ご飯も食べてない。

 まだ見ぬ美味しい物とかもあるかもだし、町を見て回るのもいいのかも!


「うん、そうするねー!」


 私達は町の中を移動し、ストレイキャットの黒髪の可愛らしいウェイトレスがいる綺麗な喫茶店で朝ごはんを食べることに。

 皆でモーニングセットを頼んだんだけど、すごく美味しかったんだよ。


「美味しかったー!」


「ええ、ここの料理はそうとう良いわね。お城で食べた物以外では一番よ」


「カリンも満足です」


(猫用のご飯もちゃんと置いてあるんだね。こっちも充分美味しかったよ)


 選んだ店が良かったようで皆満足してるみたい。


「さてと、お腹もふくれたし、誘拐犯のことも何とかなったし、私達のやれることはもうないかもね。あとはこの国の人達が何とかするでしょう」


「あのノラという人も重い罰をくらうのは目に見えていますしね」


(じゃあ残り数日楽しもう)


「うん!」


 食事を終えてそんな話をしていると、


「皆さんノラを知ってるニャウ!? 何かあったのかニャウ!?」


 料理を運んでいたウェイトレスの子が私達に声をかけた。


「お姉さんもノラと知り合いなのー?」


「ニャー、ベルはノラの幼馴染ニャウ! 子供の頃にいなくなってからずっと心配してたニャウ! 今どうしているか知りたいニャウ!」


 ベルは凄く真剣に顔を近寄らせてくる。

 ちょっと言い辛いけど、伝えてあげた方がいいよね。


「うんとね、ノラは悪い事して捕まっちゃったんだ。子供とか誘拐してたんだよ」


「ノラがそんなことするはずがないニャウ! だってノラは、お父さんの無実を晴らすために犯人を追って国を出て行ったニャウ! 悪い事するはずがないニャウ!」


 クロから聞いた話とちょっと違うみたい。

 虐められて出て行ったんじゃないのかも?


「でもそれって相当昔の話しよね? 時間が経って気持ちが変わっちゃったんじゃない? 悪に染まっちゃったとかさ」


「お姉ちゃんの云う通り、それも充分ありえますね」


「ないニャウ、それはないニャウ! ノラから先月も手紙が届いたニャウ! もうすぐ犯人が見つかるかもしれないって書いてあったニャウ!」


 ベルは懐にあった手紙を取り出し、私達のテーブルにドンと置く。

 何度も読み返した形跡があるから大事な物みたい。


(モモ、手紙を読ませてもらおう)


「ベル、見ていいかなー?」


「穴が開くぐらい見るニャウ! 見つくすニャウ!」


 ベルは自分から手紙を広げて私の前に。

 内容は云っていたことと大体同じだ。

 相手の懐に飛び込んだとか、少し危険なことをするとか書いてある。


「御主人、ノラって意外と良い子なんだったり?」


 私は御主人に聞いてみた。


(どうかなぁ? よくわかんないよ)


「こらモモ、簡単に感化されてどうするのよ。もし仮に潜入してただけだとしても今更どうにもならないわよ。犯罪に手を染めていたのは事実なんだから」


「ええ、こちらが手を出せる話ではないですからね。まあクロさんにこの手紙を見せてあげるぐらいならいいのでは?」


「うん、そうしてみるよー! ベル、この手紙を持って行ってもいいー?」


「持っていっていいニャウ、その代わりノラの力になるニャウ!」


「いいよー!」


 私はベルに約束して手紙を預かった。


「行くなら早い方がいいわよ。もしかしたらその場で死刑になるかもだし」


「ええ、どんな理由があるにせよ誘拐は重罪ですからね。急ぎましょう、モモさん」


「ここのお代はベルが持つニャウ、直ぐ行くニャウ!」


「リーズ、カリン、先に行くねー!」


『行ってらっしゃーい!』


 ベルに背中を押されて私は店を追い出された。

 とにかくクロがいるお城に急ごうと走り出す。

 入り口門番さんに話を通しなんとか入ることは成功したけど、ノラをレオの前に座らせて裁判みたいなことが始まっているみたい。

 でも私達の侵入に皆は視線を向けて進行を止めてくれた。


「おや勇者様、何か用ニャンス? 今ちょっと忙しいニャンス」


「えっとね、ノラがね、敵の組織に潜入してたんだって。これ、ノラがベルって子に宛てたお手紙だよ」


「あいつ、誰にも見せるなって言ったのに……クソッ!」


 ノラも反応しているからやっぱり本物なのかも?


「ふんむ、クロ、見てみるニャンス」


「んニャァ!」


 レオの命令でクロが私の前に。


「勇者様、見せてくださいますかニャァ?」


「うん、いいよー」


 手渡した手紙に目を通し、何度も読み返して確かめている。

 読み終わるとノラを見つめた。


「ノラよ、この内容は本当なのかニャァ? 量刑にも影響することだニャァ、しっかりと答えるのニャァ!」


「さあニャあ。どうだろうニャ」


 罪が軽くなるかもしれないのにノラはとぼけてしまっている。


「はぁ、折角のチャンスを……口を割らぬというのなら仕方ないニャァ。このまま王に裁定を仰ぐニャァ」


 クロはレオの下に手紙を運ぼうと歩き出した。

 これが手渡されたらレオの判断が下される。


「ノラの裁判は待ってくださいニャアアアアアウ!」


 この声はベルのものだ。

 リーズとカリンと一緒にお城に近づいてくるのがわかる。

 でもこのままだったら門番の人に止められてしまう。

 その前に先に入れてしまえばいいだけだ。

 私は急いでお城を出て腕にいっぱいの手紙を持ったベルを担ぎ上げ、止められる前にもう一度お城の中へ。


「勇者様、そ奴は誰ニャンス?」


「ノラが手紙を送ってたベルだよー!」


「この手紙の持ち主ニャンス? これがノラからの物で間違いないでニャンス?」


「そうニャウ、間違いないニャウ! もっとあるから見てってニャウ!」


 ベルは手に持った手紙の束を前に突き出すけれど、多すぎていくつか零れてしまっている。

 すごく年季の入った物もあって全部で百通ぐらいはあるかもしれない。


「ふむ、ではニャーが預かるニャァ。ベル、手紙をこちらに渡すニャァ」


「ニャウ!」


 その落ちた手紙まで全部拾い上げ、ベルはクロに手渡した。


「うむ、確かに預かったニャァ。では王が精査するまで少し待っているニャァ」


 そして手紙はレオの手に。

 全部じっくり目を通されてついに沙汰の時間。


「理由はよく分かったニャンス。でもどんな理由があったとしても犯罪は犯罪ニャンス。しかも子供達を泣かせるなんて重大過ぎる罪ニャンス。誘拐された子供達を想うとニャーは悲しくなるニャンス。よってお前には子供達の奪還と、黒幕に不幸を告げる任務を言い渡すニャンス! もし出来なければ死罪ニャンス。これからの人生を賭して頑張るニャンス!」


 ノラはレオの顔を見つめている。


「……そんなんでいいのかよ」


「この国の王が言ってるんだからいいんでニャンス。ただし、制約の首輪はつけさせてもらうニャンス。期間は三年ニャンス。やり遂げなければ終わりニャンス」


「チッ、そのぐらい受け入れてやるぜ」


「あーん、良かったニャウ! 直ぐ死んじゃうかと思ったニャウ!」


「おい、ベル、抱き付くニャ!」


 感極まったベルがノラに抱き付いている。

 ノラの方もまんざらじゃないみたい?


「クロ、制約の首輪ってなに?」


 私は首輪が何なのかわからないから聞いてみることに。


「勇者様は知らぬのでございますニャァ。制約の首輪は約束を守らせる為の呪いの首輪ですニャァ。外す為には制限時間が訪れる前に約束を達成する必要がありますニャァ」


「時間が来たらどうなるのー?」


「その時はノラに死が訪れますニャァ。無理に外そうとしても結果は同じですニャァ」


「うわー、怖いんだねー」


「ですが時間は与えられましたニャァ。あとはノラの行動次第ですニャァ」


「そっかー」


 ノラの目はギラギラしていて全然諦めていないみたい。

 黒幕が倒される日も近いのかも。

家猫のモモ

御主人(ごしゅじん)(ヒロ)

王子シャーン

シャーンのお母さんテルナ

爺(グリフ・リスマイヤー)

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)

クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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