ジェフリー・エルトリア
「それじゃ、今日のところはこんなもんにしておく。
詳しい授業の内容は、初回のガイダンスでも教えてくれるから、大変だろうがガイダンスは興味があれば色々出ておけよ。
じゃあ、今日はこれで終了する。じゃあな!」
そう言って、ビアンカ先生は教室を出ていってしまいました。
さて、今日は授業の受け方とか、そういう説明で終わってしまったな。
まだ、昼前だし、どうしようかな?
「アキト君だよね。ちょっといいかな?」
すると、あの王子様が声をかけてきた。
「えっと、確かジェフリー殿下ですよね。」
「殿下はよしてくれないかな?
気軽にジェフリーと呼んでくれたら嬉しいな」
「でも、エルトリア王国の第一王子の長男ですよね?
本当に良いのでしょうか?」
「あぁ、構わないよ。
それに先生も言っていただろ、この学園では実力が全てで、貴族等の権威は全て無視して良いってさ。
だから、敬語は不要だよ」
「分かったよ。ジェフリー。
そっちも、アキトって呼んでくれ。」
「アキト、これからよろしくね」
ジェフリーと握手をした。
うん、やはりこの王子様、良い奴じゃないか。
「けど、ジェフリーは寮にはいなかったよな。
やっぱり、王族だから王城から通って来ているのか?」
「流石にね。それをすると寮の中に護衛を用意しなきゃいけなくなっちゃって、他の生徒にも迷惑をかけるだろうから、王城から通っているよ。
だけどその代わりに、父上と約束をしていて、魔術学園内では護衛はなしで、自由にやらせて貰うことになっているんだ。
個の実力を高める為の魔術学園で護衛付きで通うなんて、本当にダサいからね」
「え?」
やば、驚いて声に出してしまった。
だって、コアが隠れて護衛がいるなんて、教えてくれているから。
「アキト。僕達、友達になったよね。
やっぱり友人同士は隠し事って良くないと思うんだよ」
ジェフリーが俺の反応から何かに感づいたようで、ちょっと悪い顔をして話をしている。
「僕の護衛について、知っていることがあれば教えてほしいな」
あぁ、良い奴だけど、こいつもしっかりと王族で育っているんだな。
「はぁ、俺が反応しちまったのが悪いんだな。
俺の能力でさ、ジェフリーの護衛と思われる連中が隠れていることが分かったんだよ」
「やっぱりか。いや、すんなり魔術学園で護衛なしのOKが出たとは思っていたんだよ。
アキト、何とかそいつらをあぶり出すこと出来ないかな?
証拠を突きつけて、魔術学園に護衛なしで通いたいんだよね」
「うーん。護衛はそこそこ実力がある人達が務めているんだよね」
「あぁ、それは間違いない。
流石に、父上や国王陛下を護衛している近衛隊のメンバー程ではないけど、その手前レベルの兵が護衛をしているはずだよ」
「じゃあ、こんな方法が効くかな。ジェフリーはちょっと気合を入れておいてくれ」
まずは、しっかりと身体強化をしてそれを練り上げる。
コアから護衛のいる場所は聞いているから、そこに狙いを定めて殺気を放つ。
すると、5人の護衛がサッと現れて、ジェフリーを守るように構えていた。
「ジェフリー殿下、どうかここはお逃げください」
リーダーらしき人がジェフリーに声をかける。
「という感じだけど、ジェフリーどうする?」
「ふぅ、直接殺気を受けたわけじゃないのに、かなりビビってしまったよ。
それにしても、まさか一歩も動かずに殺気だけで、護衛をおびき出すとはね」
「え、ジェフリー殿下、これはいったい。」
「お前達は魔術学園の新入生によって、まんまとおびき出されたのだよ。
私と父上との間で魔術学園内では護衛はなしということで、話はついていたはずだ。
まさか、入学初日から5人も護衛を侍らせるSクラスの人間になってしまうとは、魔術学園でのスタートが最低になってしまった」
「も、申し訳ありません!」
「もう、お前達は帰って、父上に全てを報告しておけ」
「し、しかし、我々も護衛の任務が・・・」
「はぁ、アキト。こいつらを無力化させることって出来る?」
「言ってくれれば、出来るよ。まぁ、殺す方がもっと簡単だけどね。
お兄さん達なら、この力量差は理解できるはずだよね」
身体強化の魔力をより濃密に高めることにした。
「くっ!しかし、俺たちにも護衛としての矜持が・・・」
全員が攻撃に対応しようと、身構えた。
「アキト。そこのリーダー格以外をお願い。」
「りょうかーい。ちょっと痛いけど、我慢してね」
縮地でリーダーっぽいの以外の護衛に近づいて腹パンを繰り返した。
全員、チェーンメイルの様な物を仕込んでいたようですけど、そんなの関係なく一撃で落としていきます。
「こんなもんで、どうでしょう」
リーダー以外は、腹を抱えてうずくまってしまいました。
「な、この一瞬でいったい何が起こったんだ。お前達、しっかりしろ!」
「おい、ジェフリー。王国の護衛がこの程度で大丈夫か?
しかも、そこのリーダーさん何が起こったのかも分からないレベルだよ」
「流石に、陛下や父上を護衛している近衛達はもっと力量が上だと思うけど、確かに心配だよね。
さて、君達じゃ彼と対峙したところで、どうしようもないだろ?
役に立たない護衛がいたって意味がないから、もう大人しく帰ってくれる?」
「分かりました。ただ、殿下。あの者は化け物の類です。くれぐれも注意を怠らないように」
そう言って、リーダーさんは倒れ込んでいる他の護衛を何とか起こして帰っていった。
しかし、誰が化け物の類だ!最近の俺の扱いっていったい。
教室から護衛達が出ていったタイミングで、ビアンカ先生が戻って来た。
「おい、お前ら教室で一体何があったんだ?今、出ていった連中は何者だ?」
どうやら、教室での騒ぎを聞きつけて、教室に戻って来たのだろう。
「あぁ、ビアンカ先生。
実は、アキトが怪しい人物がいるってことで、あぶり出して貰って捕らえようと攻撃をしたところ、私のことを影で守っていた護衛だったと気がついて、大人しく帰って貰った次第です。
私としても、護衛を連れて魔術学園で過ごすなんて、恥さらしな学園生活はしたくないので、もう現れないと思いますよ」
こいつ、シレッと嘘と本当を混ぜ込んで、話をしている。
なんか、策士だな。
「ふーん。まぁ、不審者じゃなければ良いか。
一応、学園内で護衛を連れて来てもよいが、ちゃんと届け出はしておけ。
あと、アキト。やるなとは言わんが、やり過ぎには注意しろよ」
そう言いながら、ビアンカ先生は教室から出ていった。
「いやぁ、アキトありがとうね。
一応、これからの父上との交渉しだいだけど、多分魔術学園で護衛無しで過ごせるよ。
それに、父上の方から約束を破ったんだから、何か条件を上乗せ出来るかもしれないな」
この子は、こういう時はあくどい顔をするんだな。
うん、中々に面白そうな王子様だわ。
「あの殺気はヤバいのだ!
あれは、昔、父上と森の奥まで行った時に遭遇したレッサードラゴンと同じくらいの殺気を感じたのだ!
人がレッサーとはいえ、ドラゴンと同じくらいの殺気を放てるものなのか?」
「あの、身体強化に使った魔力量はとんでもありませんわ。
エルフでもあそこまで、魔力を練り上げられるのがどれだけいるでしょうか?
ましてや、魔力の扱いではエルフよりも劣ると言われている人族でこれを成し得るとは・・・」
「あの、先程出ていかれた人達はお腹を抱えて倒れていましたけど、大丈夫なのでしょうか?
一応、教会の孤児院で学んでいたので、回復魔術には少し自信があるので、今からでも回復させてきた方が良いのでしょうか?」
そういえば、他のSクラスの生徒達もまだ教室にいるのを忘れて、軽く暴れてしまった。
王族なので、色々あるのですよ。
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