とある非実在少女への追想歌
テーマ【青春】
いつか非日常がやってくるんじゃないかと、そう願っていた。
例えば、転校生がやってきて、その子が不思議な力を持っていたり。
例えば、入学初日に奇抜なクラスメイトに、UFOの話をされたり。
そんな、非日常がやってくると思っていた。
例えば、幼馴染と野球チームを作ったり。
例えば、魔術師の戦争に巻き込まれたり。
例えば、学校の階段から美少女が落ちてきたり。
例えば、気になるあの子と身体が入れ替わってしまったり。
けれど、目が覚めて、何度朝を迎えて日常を過ごそうと何も起こりはしない。僕の妄想だけが、どんどん大きくなっていく。
例えば、生徒会に誘われたり。
例えば、バイト先で陰謀に巻き込まれたり。
例えば、ロボットが現れたり。
例えば、地球が滅びかけたり。
例えば――。
待っても、待っても、その日が訪れない僕は、中学を卒業し、高校を卒業し、大学を卒業し、社会人になってしまっていた。
僕は気が付いてしまった。
僕の隣に、非日常はいない。
待っているばかりの僕の青春は、非日常の夢から覚めた瞬間に終わりを告げた。
――さようなら、僕の非日常。そして、ありがとう。
そして、僕は大人になった。
【読了後に関して】
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