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続・シュレディンガーの鴨葱  作者: ネギ愛好家
16/17

恋の熱量=∞

テーマ【熱】


「あなた、私と結婚しなさい」


急にそう言いだす貴女。

僕は戸惑い返事ができずにいた。


「私を二人目の嫁だと思いなさい」


妻がいる僕の事情を知ってか、貴方はそう付け加える。

それでいいのか?

と、僕は心の中で笑ってしまった。

しかし、貴方の表情は真剣そのもの。

僕は顔には出さず、返事の言葉を慎重に選んだ。


「○○さんのことも好きだけど、僕は妻を裏切ることはできないよ」


そう、僕は95歳の患者に伝えた。

車椅子に座らされ、僕と一緒に歩く練習をしている。

僕は先生、貴女は患者。


「そう、それは残念」


さして残念そうでもない貴女は、再び立たんと足に力を入れる。

そう返答されるのをわかっていたかのよう。

慌てて僕はそれを介助する。


二回りも、いや、五回り以上年上の女性からプロポーズされるとは思っていなかった。

貴女は95歳になるのに、厳しいリハビリを乗り越え、再び一人で歩こうと努力している。

そんな熱量はどこから来るのだろうか。


「今の奥さんに飽きたらいつでもいいな。返事を待ってるから」


そう言う彼女は、ふらつきながらもしっかりとした足で廊下を歩いていく。

その瞳は恋する乙女そのものであった。

皺は深く刻まれ、腰は曲がり、乳は垂れ、足腰はおぼつかなくとも、貴女はまだ【女】であった。

その熱量が僕にはまぶしく、かけがえのない物に感じた。


「まったく、かなわないな……」


僕は貴女の後を追いかける。

せめて、貴女がふらつかないで歩ける様になるまでは、貴女のそばにいられるようにと。


【読了後に関して】

感想・ご意見・ご指摘により作者は成長するものだと、私個人は考えております。


もし気に入っていただけたのであれば、「気に入ったシーン」や「会話」、「展開」などを教えてください。「こんな話が見たい」というご意見も大歓迎です。


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