もぐりん!!
※ゆーりは、疲れて、睡眠時間を遂にゼロにして執筆したら、結果は以下の通りだす。
なので、13時に、リューゲちゃんから緊急速報がありむす。
「ふわあぁぁ……キレイなの~……」
土竜の掘った穴をある程度進むと、洞窟が目の前に迫ってきていた。
洞窟の石は青く、淡く輝いており、その光景は、とても幻想的で、見るものを魅了して離さなかった。
「ああ、そうだな」
フランは何か考え事をしているようで、ずっと眉間に皺を寄せて思案顔を浮かべている。
「むぅぅ!聞いてるの!?フラン大先生!!」
「ああ、そうだな」
おんなじ返事を繰り返すフランは、やはり話を全然聞いていないのだろう。
ハーティアは、まったく話を聞いてくれないフランに対して、明らかに不服そうにしている。
「わかったの、じゃあ、これならどうなの…」
ハーティアは、マントを脱ぎ、なかに着ていた服をはだけさせ、四つん這いでフランに近づいた。
「ああ、そうだな」
ハーティアが、まるで誘っているかのような格好で近づいてもまったく眼中に無いようである。
ハーティアは、フランがかなり真剣になっていることがわかり、ため息を吐きながら普通に座り、服を整え、静かに洞窟を見ることにした。
「……それにしても、なんで光ってるの?」
「それは、この洞窟が魔力で構成されているからなんだよね~」
クラリスの後ろには、紫色の短い髪の、活発そうな、二十歳くらいの女性が立っていた。
ハーティアは素早く距離をとりながら刀に手を置き、フランもすぐさま身体中に魔力を通し、臨戦態勢を整えた。
「え?ちょっと待ってよ、ワタシはお迎えに来ただけだよ?戦うつもりはないんだ、ほら、降参降参!」
臨戦態勢に入った二人に少し驚くも、冷静なままでいるその佇まいは恐らく相当の実力者であることを示している。
しかし、この女性が述べた通り、戦うつもりはないのだろう、両の手を挙げ、笑ったまま無抵抗の意を表した。
「……はぁ、刀から手を離せ、ハーティア。コイツらとまともに戦って勝つのは、今はまだ不可能だ」
フランは諦めたかのように魔力を引っ込め、ハーティアに臨戦態勢を解くよう命令した。
「わかったの」
ハーティアは、大人しく臨戦態勢を解いた。
「わかっているじゃない、『今は』なんて、わたしたちの目の前でそう言いきれるやつは、なかなかいないんだよね~♪」
女性は、とても嬉しそうに頷いた。
「おっと、自己紹介がまだだったね。
わたしの名前は、ミーア・グルーシアだよ♪趣味は『ドラム』と『ギター』で、この土竜、『ヴュステヴンダー』はわたしのペット!名前は、もぐりんだよ~♪」
とても楽しそうな女性、ミーアに対して、二人は驚いていた。
「この土竜は、君の、ペット!?2の種族の使いではないのか!?」
フランの問いかけに、ミーアは悪戯っぽい笑顔を向けた。
「エヘヘ、もぐりんにはそう言えって言っておいたの。それに、一応わたしだって2の種族なんだし、あながち嘘とも言い切れないでしょ?」
「ああ、おかしいと思ったんだ。あの閉鎖的な2の種族が、わざわざ外から人を呼ぶなんて、何の罠かと疑ったぞ?」
フランの返答に、ごめんなさいと、少し照れたようにそう言うミーア。
そこへ、もう待ちきれないとばかりにハーティアは、ミーアに質問をした。
「それよりなの!!それより『ギター』や『ドラム』があるの!?」
そう、その二つは前世の世界の楽器と同じ名前だ、気になるのは当然だろう。
ミーアは、目をしばたかせ、質問に答えた。
「う、うん、『異世界人』の人がくれたんだ」
二人の顔は、一瞬で驚愕の顔に変わった。
「異世界人!?」
「今は何処にいるんだ!?」
二人の変わりように、少しだけ慄くミーアは、しかししっかり質問に答えた。
「異世界人は、なにかを探している途中だったみたいで、『厨二魂を大切に!!』って叫びながらどこかに行っちゃったよ?」
それを聞いて、フランとハーティアは、目に見えてガッカリした。
「そいつはたぶん、行き先を告げなかったと思うの」
ハーティアの言葉に軽く驚くミーア。
「うん、確かにその通りだけど、なんで分かるの?」
「厨二病の人は、色んな意味で危ない人なの。……でも、わたしも少しだけ憧れたりするの(ボソッ)」
ハーティアは、こっそり憧れているようだ。
「ああ、そうそう、厨二魂が分かるやつに、これを渡してくれと言われていたんだけど…」
そういってミーアが取り出した物は、大鎌と糸、仮面と、禍々しいオーラが出ている気がする、黒いローブだった。
「はい!!わたしも欲しいの!!」
ハーティアの発言に、ミーアとフランは驚いた。
「ハ、ハーティア?これは、さすがに…」
「本当に!?いやー、処理に困ってたんだよね~♪欲しい人がいるなら、これは君が持っていたほうがいいよ、うん」
喜びつつも微妙な顔をするミーアを置いて、ハーティアは、早速着替えようとして、重大なことに気がついた。
「!わたしの着れるサイズじゃないの!?」
明らかに大きさの合わないローブに、思わず項垂れるハーティア。
しかし、仮面ならとも思ったが、ローブを着ないと、今の服装ではこの仮面と合わないので、また項垂れた。
せめてもの救いは、大鎌と糸は、使い辛さは多分にあるが、使えない訳ではないので、糸は刀の差してない方の腰に、大鎌は背中に、ローブは畳んで鞄に入れた。
「……ま、まぁ、それより、それじゃあなんで私たちを呼んだんだ?2の種族の住みかがここなら、そろそろわたしたちは排除されかねないんだが…」
フランは、ハーティアになんと声をかければいいのか分からず、放っておいて話を進めることにした。
いそいそと、武装している五歳児を置いて、話は先へと進んでいく。
「う、うん、ここにはわたし以外の2の種族は居ないの」
ミーアも、ツッコミの切り口が見つからず、ハーティアをスルーすることにしたようだ。
しかし、その回答に、さらに疑問符を浮かべるフラン。
「?なぜ、別行動などとっているんだ?」
2の種族は本来、とても閉鎖的な種族だが、だからこそ、コミュニティから出ることはしないし、しようとすれば、他の2の種族に止められる筈なのだ。
ならばこそ、ここにいる2の種族の一人であるミーアがここに一人でいることは、違和感がある。
「……あはは、コミュニティの人たち全員はたき倒して、出てきちゃったんだ~」
とても言いづらそうにそう言い、やはり申し訳なく思っているのか、罰が悪そうに力なく笑った。
「バカな!?いくら同種族とは言え、種族のコミュニティを、一人でだと!?」
驚愕するフランに、ミーアは事情を話し出した。
「わたしって、さ、『突然変異種』なんだよ、ね」
突然変異種とは、極々稀に生まれる、どの種族にも属さない、特別な存在であり、生まれ持った能力や素質は、他者の追随を一切許さないと言われている。
「……2の種族の、突然変異種?それは、まるでナタリーさんと、同じじゃないか…」
驚きのあまり、脚から力が抜け、跪くフランに、今度はミーアがフランに質問を繰り出した。
「ナタリーさんを知っているの!?」
フランは、へたり込んだまま、返答した。
「ああ、七年後に一度会いに行く予定だ」
七年後は、丁度ハーティアが学校に入学摺る頃である。
そこでやっと片付けたハーティアも話の輪に加わった。
「それより!!なんでわたしたちを呼んだの?なの!!」
そこで、話が脱線していたことに気がついたフランは、そうだそうだ!と視線でミーアに訴えかけた。
ナタリーについてもっと聞きたいミーアだが、呼び出しておいて自分のことだけを最優先にするほど、ミーアの性格は悪くなかった。
「う、うん、……それで、コミュニティから抜け出したのはいいんだけど、行く宛もなくて、さ迷ってたらこの砂漠に着いたの。
それで、この砂漠の主だったもぐりんをペットにして、暫くここで過ごしていたんだけど…そしたら、キレイな音が聞こえてきて、こんなにキレイな音を出す人と、おしゃべりしたいな~って思って……」
少し恥ずかしそうに話し出すミーアは、話終えると、急に立ち上がった。
「わ、わたしも!!一緒に旅に連れていってくれないかな!?」
2の種族のなかでも飛び抜けて強いはずのミーアは、しかし怯えたように、目を強く瞑って、頭を下げた。
「どうか、お願いします!!」
ミーアの目からは、涙が零れていた。
「……君は、なまじ強いばかりに、ナタリーさんよりも過酷な状況なのだな…人は、弱い人を助けはしても、強い人は助けはしないものだ。そんななかでも心が折れないのは、やはり君が強いからなんだろうな……しかし、ナタリーさんもそうだったが、やはり孤独は辛いのだろう。……君が決めなさい、ハーティア」
そこで振られるとは思っていなかったのか、ハーティアはキョトンとしていた。
「何を呆けているんだ?確かにわたしは君の先生だが、この旅のリーダーは君なのだぞ?もう少し自覚しなさい」
フランからの辛い説教に気落ちした様子のハーティアだが、今は重大な選択に迫られている、落ち込んでいる暇などないのだ。
「分かっているだろうが、もしかしたらミーアが嘘を言って、私たちを陥れようとしているかもしれない。君の判断は、責任重大だと認識しなさい」
「はい、分かりました」
ハーティアは、素早く返事をすると、旅の仲間にするか否かをしっかり考えた。
「……ミーアさん、貴女は、おいくつですか?」
急に年齢を聞かれ、呆けるミーアに、もう一度ハーティアは質問を繰り返した。
「貴女は、おいくつですか?」
「じ、十二歳だけど…?」
「……なるほど、なの………それで、ギターとドラムは何処にあるの?」
「え!?あ、うん、この洞窟の奥に、私の住居にしているスペースがあって、そこに置いてあるんだけど……」
神妙な顔で頷いているハーティアに、なんで今ギターやドラムが出てくるのか、ミーアは不思議に思っていた。
「とりあえず、一度みせて欲しいの…」
「う、うん……もぐりん、お部屋の近くまで進んでちょうだい?」
もぐりんは一鳴きすると、洞窟の奥に向かって歩きだした。
「おい、ハーティア、なんで今その話なんだ?」
「まだなんとも言えないの。でも、もしギターやドラムが使えたら……」
再び神妙な顔をするハーティアに、何か深い考えがあるのだろうと、何かを察したかのように頷くフラン。
「……ここよ」
もぐりんが立ち止まり、ミーアは真上を指さした。
そこには孔が空いており、奥はよく見えなかった。
「じゃあ、わたしについてきて」
ミーアは、高く飛び上がり、壁を蹴りながら孔の奥へと跳ねていった。
「じゃあ、クラリスさんから習ったわたしの魔法を魅せてあげるの!!」
フランはハーティアから少し離れ、それを確認したハーティアは、両の手を胸元に持っていき、祈るように目を瞑った。
「ディ・アグバ・ハラド・バーランド『妖精化』」
ハーティアが詠唱を終えると、ハーティアの髪は、長い純白の髪へと変わり、背中の服をすり抜けて、淡い緑色の、美しい翅がその姿を現した。
「フラン大先生!!飛ぶの!!」
ハーティアは、フランに手を差し伸べ、フランは迷うことなくハーティアの手を掴んだ。
「それじゃあ、ミーアより先に着いてやるの!!」
言うが早いか、ハーティアたちは翅を勢いよく羽ばたかせ、暗い孔の奥へと消えていった。
「あ、置いてきちゃったかな?」
ミーアは、暗い孔を上へ上へと跳ねながら、自分は失敗したのではと、少し不安になってきていた。
「ん?何の音?……それに、微かに光が向かってきているような…」
ミーアが通ってきた孔が、微かに光を受けているようで、周りがうっすらと見えるようになってきていた。
それと同時に、雄叫びのような声が、少しずつ迫ってきていた。
「な、なんなの!?」
跳びながらパニックになるミーアは、全力で上へ上がろうと、脚に力をためた。
「……~お~~い~~~つ~~~~い~~~~~た~~~~~~~!!」
下から、淡い緑色の翅をはためかせた、純白の長髪の五歳児が、泡を吹いて気絶しているフランを片手に、もう片手にはさっきミーアがハーティアにあげた大鎌を持って、物凄い笑顔で、物凄いスピードで迫ってきていた。
「何よ何よ何よ何よ!?ちょ、だ、誰か!!助けて~~~~!!」
ミーアは全力で上へと跳ねながら、悲鳴をあげて逃げていった。
それでもハーティアのほうが早いのか、両者の距離は少しずつ縮まっていった。
「~~~~!!こうなったら…!!」
ミーアは、そこで初めて体を魔力で強化し、体に魔導障壁を張り、本当の全力で上へと跳んだ。
ミーアが通った後には、衝撃波が生まれるほどだった。
「その程度なら、わたしの全力にはまだまだ及ばないの!!」
ハーティアは、自身とフランに物理遮断と摩擦軽減の結界を張り、視認不可能なスピードでミーアを追った。
「はぁ……はぁ……あは、あはは、あははははははは!!やった!!勝った!!生き残ったんだ!!」
ミーアは、もう自分でもなにがなんだか分からなくなっていたが、それでも、自分は勝ったと確信していた。
「まさか、孔が壊れるとは思っていなかったけど、壊れたら流石に追ってはこれないでしょう!?」
誰にいっているのか、壊れた孔の跡に向かって指を指しながらそう告げた。
「フッ、わたしの圧倒的勝利なの!!」
孔に指を指しているミーアを、ハーティアは後ろから指さした。
「っ!!ひぃ!?」
ミーアは怯えていた。
どうやら、ハーティアをハーティアだと認識できていないようだ。
ハーティアもそれに気づき、変身を解いた。
「『解除』」
ハーティアは、変身をとき、いつも通りの姿に戻った。
それを見て、パニックになったミーアは、脳の処理能力を越えたのか、目を回して、気絶した。
「……るの…………さっ………、さっさと起きるの!!ミーア・グルーシア!!」
ハーティアの怒声に、やっと目を覚ましたミーア。
「あれ?何がどうなっているの?」
「ミーア、わたしたち、置き去り、わたしたち、ミーア、追う、追い越す、ミーア気づく、気絶した、なの」
「あっ!!そうだった!!わたし、純白の長髪の女の子に追われて、あれ?でもハーティアさっき……」
「あれは、わたしの変身した姿なの。獣人族と似たようなものだから、ミーアなら分かるの!!」
そう言われ、ようやく現状を把握できたミーア。
「ああ、だから大鎌を持っていたのね!!」
「まぁ、そういうことなの」
数十分前
「置き去りにした罰として、大鎌を持って追いかけるのってどう思うの、フラン大先生?フラン大先生!?」
フランに意見を聞こうとしたが、フランは泡を吹いて気絶しており、ハーティアの言葉など耳には入っていなかった。
「仕方ないの、大鎌は、とりあえず採用しておくの」
ハーティアは、とても楽しそうに羽ばたきながら、妖しく輝く大鎌を撫でて、手に持った。
「ミーア?どうせなら面白い反応を期待しているの!!」
(……なんてことがあったなんて、口が裂けても言えないの…)
ハーティアは、心の中で一人結論付けていた。
「それで、ギターとドラムは何処にあるの?」
本題に戻ったハーティアに、ミーアはハッとしたように立ち上がり、急いで楽器を取りに行った。
「ここにあるの!!この壁が幻影になっていて…」
説明をしつつ、楽器を取り出すため、いくつものギミックを取り外していくミーアに、ハーティアの期待も高まっていた。
「……あとは、この魔法トラップを外して、っと。
はい、これがギターとドラムだよ♪」
ミーアが取り出したギターは、真っ黒な木で出来ており、ドラムの方も、いくつもの魔法がかかっている、いわゆる、この世界風にカスタマイズされたギターとドラムだった。
「……弾いてもいいかしら?なの」
「どうぞどうぞ~♪」
ミーアからも許可がおりたので、ハーティアは、まずギターの調弦から入った。
「……音が少しずれてるの……よし、これでいいの!!」
調弦を終えたハーティアは、そのままギターを引き始めた。
「うわっ!!凄くしっくりくるの!!」
ハーティアがヘヴィメタルを弾いているのを、ポカーンと見ていたミーアは、しかしその異常性に気づき、ハーティアを問いただした。
「なんで弾けるの!?わたしだって弾けるまで半年もかかったのに!!……これが才能の差なのかな?」
ミーアが苦労したことをいとも容易くやってのけたハーティアに、できる人は最初から出来るのだと、目に見えて気落ちするミーア。
ハーティアは、無表情でミーアの顔を叩いた。
「…!!なにするの!?」
ミーアが憤るが、ハーティアはそれ以上に怒っていた。
「わたしが、どれだけ音楽に身を捧げていたのかも知らないくせに、何を才能なんて簡単に纏めているの?」
ハーティアは、自分の掌をミーアにみせた。
その掌には、たくさんの血豆が潰れた後があった。
「わたしは、音楽を心から愛しているから、頑張ってここまで来たの。少しかじった程度の貴女に、技術面では負けることなんて、絶対にあり得ないの」
ハーティアの言葉に、自分の浅はかな発言を反省している様子のミーアは、黙って話を聞いていた。
「だから、わたしと比べて落ち込むなんて真似は二度としないで。その時間があれば、その分だけ音楽に触れることが出来るの。わたしの前で、二度と落ち込むなんて無駄な時間の使い方をしないで」
ミーアは、ハーティアは、自身を侮辱されたから怒っているのではなく、ミーアを正そうとしているのに気がつき、ミーアはそれが、堪らなく嬉しかった。
「はい!!ありがとうございます!!」
ミーアの返事を聞いたハーティアは、満足げに頷いた。
「それで、旅の仲間にするか否かの話なんだけど……」
ミーアは、緊張した面持ちで、次の言葉を待った。
「ま、合格なの!!」
ハーティアは、ポケットからごーかくと書いてある紙を、ミーアへと手渡した。




