1章 完全無料でAI駆動開発は可能なのか?
この情報は2026年7月の開発時点でのものです。
最新の情報を確認した上で参考としてください。
さて、ここからはAI駆動開発のやり方について書いていこうと思います。
どこから書き始めるか悩みましたが、まずは「そもそも完全無料でのAI駆動開発はどうやるの?」というところからスタートすることにします。開発に利用するAIがなければ、AI駆動開発は出来ません。
・そもそもAI駆動開発とは?
この作品で言うところのAI駆動開発とは、「AIを活用して開発の支援を行う」というレベルのざっくりした表現となります。AIの活用度合いは人によってそれぞれですが、私の場合はいわゆる「バイブコーディング」、自然言語でAIと対話をしながら開発を進めていくスタイルでした。
最近の大規模言語モデルの進歩は凄まじく、一昔前は何を聞いても出鱈目やハルシネーションが頻発していたものでしたが、今では無料モデルであっても十分に実用的な能力を有するまでになりました。
「何も分からないところからWebページの開発をしたい。まずは何からインストールすれば良いの?」というレベルの素人質問からでも、実際にサービスをリリース出来るところまで辿り着けます。素晴らしいの一言です。
しかし、「何も考えずにただAIの指示に従えば開発できる」とまでは残念ながらいきません。少しAIと対話をすれば分かることですが、AIは会話履歴を全て把握しているわけではなく、履歴が長くなってくると適当なところで内容をカットしてしまいます。
単純なコーディングであればサクッと作ってくれるかもしれませんが、ちょっと複雑なものを作ろうとするとたちまち破綻します。前に設定した関数名を忘れる、前に作ったコンポーネントを忘れて同じものを作ろうとする、「前に書いたコードを直して」と言っても、よく見ると関係ないところが勝手に変わっている……
・「無料で使える」AIは殆どない
この問題を解決する早道は、「開発中のコード全体を見ながら会話が出来るAIを利用する」ことです。私は開発にVisual Studio Codeを利用していますが、VSCodeにはGitHub Copilotという拡張機能があり、コード全体を踏まえた対話が可能です。
ですが、Copilot Freeには制限があります。1ヶ月あたり200クレジットとなっていて、どのくらいと言うのは難しいですが、本気で使いまくると1週間もあれば余裕で制限到達してしまうと思います。そして、制限に到達すると翌月まで使えません。これでは十分な開発は難しいです。
また、性能面もお世辞にも良いとは言えず、私が確認したところではClaudeのHaikuや、MicrosoftのMAI-Code-1-Flashといった軽量モデルが使用されます。実際にこれを利用して開発をしたわけではありませんが、恐らくChatGPTより性能は下です。
VSCodeには拡張機能を利用して他AIを利用する方法や、Copilotに特定のモデルを導入して利用する方法があります。しかし、結論から言ってしまうとこれも無料での利用には堪えません。
利用するにはAPIキーが必要で、ChatGPTは無料枠だとAPIキーの取得が出来ません。他無料モデルも色々検討してみたものの、制限がキツい(主にRPD:1日あたりのリクエスト数や、RPM:1分あたりのリクエスト数。会話の前にコード全体を読み込もうとして、大量のリクエストが発生するため)です。
唯一実用に堪えそうだったのはGeminiの無料APIでしたが、それでも少し厳しかったです。結局、VSCode上でのチャット利用は「無料では実用的ではない」と私は結論付けました。
・「コード全体を見る」のは必須ではない
では無料でのAI駆動開発は不可能なのかと言うと、決してそうではありません。
私は結局、普通のChatGPTの無料枠を利用して開発をすることにしました。
では、会話が長くなると方向性が迷子になってしまう問題をどう解決するのか。
答えは、「自分とAIの共通認識を持つ」こと。もっと具体的に言えば、共通の決めごとを文章化しておくことです。
例えば、私は以下のようなドキュメントを用意しました。
・agents(開発方針、実装ルール、手順など、ChatGPTが理解しておくべき内容)
・current-status(プロジェクト名やフレームワーク、言語、現在のデータベース構成など)
・decisions(なぜその仕様・設計を採用したのかについての記録)
・requirements(要件定義。作るべきもの、持つべき機能など)
・roadmap(開発計画をフェーズごとに分け、どこまで完了しているかを記録する)
・structure(プロジェクトの構成。既に完成しているものや、今後作成予定のものなど)
これらはあくまで一例です。重要なのは、自分が作ろうとするもの、目指すべきものをAIにしっかり理解させることです。
また同時に、これらのドキュメントの内容は開発者自身も理解する必要があります。最初は右も左も分からないと思うので、無理に理解しようとしなくて良いです。ただ、ドキュメントは開発の方針が決まった時点で早めに作成した方が良いと思います。
このドキュメントがあれば、例えばAIが方針を無視して「次はこの機能を作りましょう」と言った時に、roadmapを示して「当初の計画ではこの順番だったけど、フェーズを入れ替える方が良いですか?」などと確認が出来ます。
(言葉は慎重に選ぶ必要あり。「当初はこの順番だったのに次はそれなんですか?」と聞いてしまうと、AIは自分のミスだと判断してすぐ撤回してしまいます。あくまでも、入れ替えるメリット・デメリットを確認してより良い方針を採用すべきです)
既存の構成を無視して、無駄にフォルダを作ろうとした場合でも、structureを示して「この構成に沿って配置を決めましょう」と提案すれば、フォルダ分けを綺麗にすることが出来ます。
ドキュメントは自分で書く必要はありません。ある程度方針が決まったら、AIに頼んでドキュメントを書いてもらえばいいです。
そして開発が一段落するごとに、ドキュメントの更新をしていけば、常に最新の共通認識を持つことが出来ます。
古い会話に引きずられてAIが妙なことを言い始めても、新しいチャットに切り替えて、各ドキュメントを貼り付けるだけで簡単に開発を再開できます。
大切なのは、ドキュメントやプロジェクト構成をきちんと整えることです。それらにきちんと意味があれば、プログラミング知識0の人間でもだんだんと「この機能はここに置くべき」「この既存コードが参考になりそう」という風に、プログラミングに対する「勘」のようなものが培われていきます。
闇雲にコードを書かせて適当に配置するのではなく、AIの提案に対して常に「こうすればより良くなるのでは?」という視点を持つことが重要です。そして、その考えは必ずAIに提案してください。AIが「それは良い指摘です」「それはここでは適しません」と判断してくれます。
・結論
無料AIでの開発は、ChatGPTなどの普通のAIで十分。
共通認識をドキュメント化すれば、方針の破綻は未然に防げる可能性が高い。




