普段なにしてるの?
昨日の記憶がない………
起きたら女の体になってたのは覚えてるんだけど…何故かそこから記憶がない。
なにかとてつもないことをしたような気がするんだけど、どうしても思い出せない………
僕がそんな事考えていると、奏は仕事に行こうとしていた。
「ねぇ奏…僕昨日何かやらかしたりしなかった? 実は昨日の事覚えてなくて……」
「え!?あぁいや……何もなかったよ…?」
「そう………」
絶対に何かあった時の反応だったんだけど……まあ言いたくない事なんだろうし、聞かなくていっか……
「じゃあ仕事行ってくるね!」
「うん!行ってらっしゃい!」
………行ってしまった。奏が居なくなっちゃうと僕はいつも暇になる。
この時間にやっているテレビ番組はニュースばかりで面白くないし、奏にもらったスマホのゲームもやりにくくて正直楽しむ余裕がない。
「操作むずかし………」
やれることをやり切ると、再び暇になる。
何故お手軽にできるはずのスマホゲームにスタミナがあるのだろうか、許せない。
奏がいるといつも楽しくて、いつも面白いのに、奏が居なくなるとこうなってしまう。
そんな僕に適当につけていたテレビのニュースの内容が入り込んでくる。
「最近では、クレープが大人気!特に…………」
クレープ、僕は聞いたことがないその食べ物に興味を惹かれた。
くれーぷ、美味しそうだな……しかもこの辺にあるお店らしいし、行ってみよっかな………
奏にお小遣いを貰っているので、クレープを買うお金は持っていた。
「これで……千円かな…?」
無くすといけないので千円だけを持って僕は外に出る。
滅多に外に出ることがないので、道は分からない。でもそんな時のために僕はスマホを持ってきている。
「えっと…くれーぷ…っと」
目的のクレープ屋への道のりを確認しながら向かう。
しばらく確認すると、それらしき屋台があった。
俺はこの辺で屋台をやっていて、クレープを売ってたんだが最近近くに人気のクレープ店が出来てしまい、その影響ですっかり客はいなくなってしまった。
「やっぱ屋台でやるの間違えてたのかなぁ………」
最近じゃただ立っているだけで、もはやクレープ屋なんてあってないようなものだった。
(そろそろ辞めどきかもなぁ……)
そんな事を思っている時、一人の客が来た。
「くれーぷ…ってやつ下さい!」
めちゃくちゃに可愛い美少女。
帽子をかぶっていて見えにくかったが、目は珍しい緑色の目だった。
「えっと…味はどうする?」
「普通の奴でいいよ」
彼女の目は輝いていて、クレープをとても楽しみにしている目だった。
最初は珍しい客だと思ったが、彼女のその目を見ると、そんな考えは無くなり、ただ最高のクレープを彼女に食べさせてやりたいと思っていた。
そして遂にクレープが出来た。これは俺の自信作でもある。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
彼女はクレープを受け取ると、その場で食べ始める準備をする。
どんな反応をするのか、俺は緊張してくる。
彼女は大きく口を開き、そしてクレープを頬張る。
「美味し……!」
彼女は笑顔でそう言葉をこぼした。
その言葉を聞き、俺は思わず安心してしまう。
「ねぇ…あれ見て!凄い可愛い人いるよ!」
「すっげぇ笑顔で食べてるぞ…そんなに美味いのか…?」
「すいません、クレープ一つ下さい!」
「私達も!二つ下さい!」
彼女の食べる姿を見たのか、客がどんどんやってくる。
俺の屋台は彼女によって再び客が増えてくる。
彼女はまさに天使……本当にありがとう……!君の千円札はお守りにさせて頂きます……!
(凄い人が来てるなぁ…流石は話題のお店、並ばなくてラッキー…)
ユウは店を間違え、更には自分が原因でクレープ屋が繁盛している事に気づく事はなかった。
「くれーぷ美味しかったなぁ……」
久々に一人で出かけたけど、なかなかいい経験ができた気がする…!
なんか食べたら眠たくなってきたな………
「ただいま………」
「ユウ…?」
「こんなとこで寝たら風邪ひいちゃうよ……」
私が帰ってきたら、ユウがソファで眠っていた。
寝顔……子供みたいで可愛いな……ベッドに運んであげるか………
きっと外に出かけたんだろう、机には小銭が置かれたままだった。
「くれーぷ……おいし……」
寝言を言ってるところ初めて聞いたかも……可愛い…!
客の千円をお守りにするやべえ店主
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