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95.エミリアは風邪?を引いたようです 前編

平成ギリギリに間に合って良かった(大嘘)


「けほっ、けほっ……どう、レオナルド?」

「うーん……38℃かな。うん、風邪だね」


 朝一番、僕はエミリアの部屋にいた。

 僕が偶然朝早く起きて部屋を出た直後に一階へ向かう彼女と鉢合わせたんだけど、何か顔が妙に赤かったから試しに熱を測ってみたらこの高熱。


「むむう……ごめんね……レオナルド。人の風邪なら簡単に治せるけど……自分の場合はダメなの……熱のせいで魔法が上手く練れないの……」


「まあまあ……無理をしないで。今は休んで」


 だからこそ僕はすぐに治療の為にと。

 早期回復すべく彼女に無理をさせないように少し恥ずかしかったけどお姫様抱っこして、こうして彼女のベッドへと寝かせてあげたんだった。


「レオナルド……今日……遠征どうするの?」


 うわあ、今日のエミリアいつも以上に可愛い。

 なんで……風邪で顔の赤い女の子ってこんなに尊い愛らしさがあるんだろう。不思議だ。


(って! そんな事考えてる場合じゃなくて!)


 いけない! いけない!

 病に臥せって苦しんでる女の子に対して、僕は何てやましい事を考えてるんだ!? 落ち着け! 落ち着いて彼女の不安を和らげてあげるんだ!


「安心して、大丈夫だから。こんな状態のエミリアを放っておいて遠征なんか行くもんか! もしこれで行ったらクロム達に火炙りにされるよ!」


「ふふ……レオナルドってば……おかしいの……でもありがとう……私……とっても嬉しいの」


「あはは、だから今日のエミリアの仕事はそこで休むこと。家事も洗濯も料理も僕が全部やるからさ! あんまり気にしないで風邪を治してて!」


「うん……分かったの……」


 よし! そうと決まればすぐに行動だ!

 今日は僕がエミリアの仕事を助ける番だ!

 家事と看病の両方ともきちんとこなそう!


(いつもいつも僕の代わりに店の事とか快く引き受けてくれてる彼女の為にも頑張らないとね!)



 ―― ―― ―― ―― ―― ――



 ……正直あまり深くは考えないようにしてた。



「レオナルド……洗濯物……干した?」

「うん、さっき洗濯して干したよ」

「そう……良かった……ありがとう」

「へへ、僕だってやる時はちゃんと――」


「ところで……私のパンツ……()()()?」


「はあっ!? いや嗅ぐわけないでしょ!」


「むむう……嗅いでも良かったのに……」


「もう! ちゃんと見えないように干したから」


「むうう……でも好きでしょ? 男性の人って……女の子の下着とか……食べたりするんでしょ?」


「いや、男の誰もかれもがパンツ食べる変態前提で話進めないでくれるっ!? 僕はそんな女の子の衣服を穢すような事しないよ! ほら、人をからかってる余裕あったら大人しく寝てるの!」



 食事、洗濯、掃除と、



「はい、エミリア。おかゆ出来たよ」


「ありがとう……レオナルド」


「少し辛いかもだけど何か食べないと元気でないからね。さあ、ゆっくり体を起こして……恥ずかしいけど今日は僕が食べさせてあげるからね」


「レオナルド……レオナルド」


「うん、どうしたのエミリア? 何か他に――」


「……口移しで……食べさせて?」

「んなっ!? でで、出来るかぁぁ!」

「むうう……レオナルドのケチ……」


 多少不慣れな点もあったけど、エミリアが朝にこなしてくれていた事を僕が済ましていった。


 まあ……毎回毎回、様子を見る度にエミリアにからかわれて弄ばれてる感じはあったけど、それでも意識は一つの事に集中してその『()()()』からは逃れる様にしてはいたんだ……でもっ!




「ねぇねぇ……レオナルド?」

「どうしたの? エミリア?」

「その……お願いが……あるの……」




 けれども……ついに()()()がやって来た。

 何となく察しは付いていたけど、まさか本当にする事になるとは……どうしよう緊張してきた。


「冷たいタオルで……体を……拭いてほしいの……きっと熱と美味しいおかゆで……いっぱい汗が出てきたみたいなの……だから……ね?」


「う、うん……だから? 何かな?」


「私……服を脱ぐから……綺麗に拭いて?」


「………………………………」


 そう……エミリアの汗を拭く時間が来たんだ。

 高熱だから下手にお風呂でも入れば悪化する。

 けれど、だからといって放置というわけにもいかないし、なにより僕はそんな事はしたくない。


「ごくり……うん、分かったよ……準備する」

「ありがとう……それと着替えも用意して?」

「わ……分かった。戻って来たら準備するね」


 勿論、汗ばんだ状態では気持ち悪いし、何より体温が上がりにくいから免疫力にも影響が出る。

 食後には店置きの治癒薬ポーションも飲ませたけど、効くまでは少し時間が必要みたいだし……だからここは……やるしかなかったんだ!



(そうだ……これは治療の一環なんだ。何もやましい事はない! ならばここは男レオナルド、覚悟を決めて邪念を捨てて彼女の汗を拭うんだ!)



 よって僕は自分の中でそう強引に決意して行動。

 彼女の汗を拭う為に必要となる清潔なタオル。そして水を入れた洗面器を持ってくるべく、部屋を出て一階へと足を向けていったんだ!



 ―― ―― ―― ―― ―― ――



「うにゅ……冷たい……」

「………………………………」


 ハッキリ言って僕は凄くドキドキしていた。


「うにゅ……うんっ……あん……」

「エミリアさん、エミリアさん……お願いします。あんまり変な声出さないでくれません? ビックリして思わず手元が狂いそうになるからさ……その……少しだけでいいから可愛い声は控えて?」


 この彼女が時折出す声も勿論なんだけど。

 なにより……この女の子特有の柔らかさ、


「ふふ……でも拭くの上手くて気持ちいいの」

「むっ、またそうして人をからかって――」

「むむ、手が止まってる……早く……して?」

「はいはい……分かったよ」


 このほんのちょっぴり強く押すだけで簡単に壊れてしまいそうな繊細さのある綺麗な肌の感触。

 まるで絹の表面でも拭っているみたいな――


(凄い……もう凄いとか言いようがないよ)


 男の自分の体格とは全然違うこの感じ。

 女の子らしさに動悸が止まらなかったんだ。

 やっぱり……僕も()()()()なのかな?



「ふう……よし、終わったよエミリア」


「うにゅ……もうお終い? おかわり……は?」

「そんなのあるわけないでしょ!?」



 ほっ…………。

 まあ、そう言ったもののひとまず終了だ。

 一応まだ()()()()()()()()()()僕はもう限界。

 だから流石に残りは自分でやって――


「うん……ありがとう……なの。じゃあ次は()()()()()する……の。こっちも綺麗に……して?」


「……………………へっ?」


 なっ!? なっ!?

 ななななっ!? なにぃっ!?


「いやいや、いやいやいや! 背中は百歩譲って分かるけど流石に前は自分でも出来るでしょ!?」


「看病……してくれるんでしょ? それなら……最後までお願いするの……それとも……レオナルドはこんな中途半端で女の子を放置……するの?」


「うんんんんんんっっっ!?」


 うぐ、うぐぐぐぐぐぐぐ!

 まさかの痛い所を突いてきちゃった!


 でも……確かにそれ言われたら言い返せない!


「くそう……仕方ないっ! 分かったよ! 拭けばいいんでしょ! 拭けば! 但し後ろから拭くからね! 絶対こっち向いちゃダメだからね!」


「ふふ……レオナルドってばそんなに顔を赤くして……すんごく可愛くて……面白いの……」


「うぐぐ! これ以上からかわないで!」


「ふふふ……でも別に私は……触ってもいいよ? ほら……ラッキースケベって……こんな時の為にある言葉……なんでしょ? だから、別に――」


「んなっ!? 何処でそんな言葉を覚えて来たのっ!? んもおおお! 今もすんごい緊張してるんだから、あんまり変な事言わないでよっ!」


 だから……マジで頼んだよ! 僕の精神力!

 このまま静かに眠っていてよね、僕の煩悩(ぼんのう)

 病に伏している女の子に()()()()なんて、男性の風上にも置けない下衆野郎だからね!


(ちゃんと仕事してくれよ! 僕の理性ぃぃ!)


ここまで読んでくださりありがとうございます。

少し一人称の文章の書き方を変えてみました。自分なりに無駄な字の分を省きキャラの心理メインにして読みやすくしたつもりですが……どうでしょう……(´・ω・`)

後編は現在執筆中の為、GW内に投稿出来ればと思います。


ではでは最後にもしよろしければブクマや評価、率直な感想などお待ちしております!!

皆様がくださる評価等はこの【黒まめ】のモチベに直結するので……あとは飛んで喜んだりもします(´・ω・`)

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