96.エミリアは風邪?を引いたようです 後編
※オチについては一度51~54話の幕間を読んでいただければと幸いです。
結局エミリアが発熱してからというもの。
「お待たせ。エミリア、調子はどう?」
「うにゅう……まだボーっとするの」
「そっか、そうすぐには治らないよね」
「ねぇねぇ……レオナルド……」
「んんっ? どうしたの?」
僕の気苦労は一切絶える事が無く。
この連日中で色んな目に遭っていた。
「昨日……ね? 私、この高熱にうなされて……中々寝付けなかったの……だから……ね?」
「…………へっ? って事は……もしかして」
「今日は……一緒に寝てほしいの……」
「んなっ!? なにぃぃぃぃぃぃっ!?」
それはもうまさにここぞと言わんばかり。
エミリアは発熱からくる精神的な弱さのせいか、僕へ多くのドキドキな要望を次々と要求。
それこそ食べたい物の要求など生ぬるく、
「ふふ……おはようなの……レオナルド」
「………………………………」
「どうしたの……レオナルド……よく寝れた?」
「いいや、全く寝れなかったよ。君が起きるまでずーっと激しい動悸に襲われてダメだった」
本人ぐっすりでも僕にとっては一晩中目がギンギン、胸はドキドキで数秒すらまともに眠れない苦行と化してしまった大胆過ぎる添い寝の要求。
「うくっ……はあはあ……気持ちいいの」
「うう、だからあんまり変な声出さないでよ」
「でも……しょうがないの……出ちゃうものは出ちゃうの……さあ早く続き……しよ? それに女の子の……こういう声って……男の人は好きなんでしょ? 昔ムーンに聞いた事があるの……」
「おのれあの女戦士! 本当にエミリアに何を教えてやがったんだあぁぁぁ! くそおおおお!」
相変わらず体を拭いてほしいという要求に加えて、夜中にお姫様抱っこしてトイレに連れてだの、抱き枕代わりとして一時間抱きしめられるなど。
(これは看病! 看病なんだ! だから決してやましい心を持つんじゃないぞ男レオナルド!)
もうそれこそぶっちゃけ僕をドキドキさせるのを楽しんでいるかの如く、エミリアの要求は回数を増す毎にエスカレートしてたんだった……。
―― ―― ―― ―― ―― ――
「それじゃシーツを取り換えるね」
「うん……分かったの……」
……でも。
少し奇妙だった。
「はい……どいたよ……レオナルド」
「はいありがとう。じゃあ取り換えるね」
「うん……お願いしますなの」
三日だ。
三日経ってもエミリアの風邪は治癒しなかった。
それどころか未だに彼女の熱は38℃帯をウロウロとしており、一向に下がる気配すら見せない。
「えへへ……シーツ……お日様の匂いする」
「あははは、しっかり干したやつだからね」
「ありがとう……レオナルド」
ああ……やっぱり可愛いなエミリアって。
こんな笑顔を見せられたら、男としてはやっぱりついつい甘えさせてあげたくなる…………。
「レオナルド……私……またリンゴ食べたい」
「また? もぉ、しょうがないなあ。一昨日に切らしちゃったから買いに行ってくるよ」
「うん……分かったの」
……って! そうじゃなくて!
それこそ初めは誤診かと自分を疑ったりした。
風邪じゃなくてもっと厄介な病気か何かかと。
(けれども、何だろうこの違和感……別に激しく咳き込んだりと苦しむ様子もない。それに高熱のわりには食欲や睡眠はしっかりしてるし……)
「どうしたの……私を……じっと見て」
「ああ、いや何でもないよ。気にしないで」
「むう……変なレオナルドなの」
うーん……でもそう急く事も無いか。
あと少しだけ様子を見ることにしよう。
少なくとも元気はあるみたいだし、今は彼女のワガママを聞いて望む通りにしてあげようかな。
ドキドキな看病続きで先が思いやられるけど。
「さて、これでシーツの取り換えが終わったよ」
「わーい……これでまた気持ちよく寝れるの」
「あははは。そういえばエミリア?」
ああ、そういえばそうだった。
もう一つだけ気になっていた事があった。
「どうしたの? レオナルド?」
「他に何か苦しい所とかは無い?」
「えっ? どうして?」
「いや……なんていうか熱は下がってないんだけど、一昨日に比べたら随分と咳が治まってる感じがしてさ。もしかしたら他に何か原因が――」
「ギクッ! な……何もないよ……大丈夫なの」
「……へっ?」
なに、今の反応?
なんか一瞬だけ分かりやすい位に動揺したように見えたんだけど……いや、まあいいか。あんまり病人に変な事を聞いても失礼なだけだもんね。
「とりあえずこのシーツを――」
だめだ、だめだ。
今は変な事を考えずに治療に集中集中。
さあて、じゃあ次はこのシーツの洗濯を――
カラン……コロロロン。
「んっ?」
「あっ…………それは」
あれ、なんだろう?
シーツから小瓶みたいなのが出てきたぞ。
あの形からしてジュースの瓶か何かかな?
「えーっと?」
「レ……レオナルド……実はその瓶は――」
「もうエミリアってば、飲みたいジュースがあるなら正直に言えば良いのに。わざわざこんなシーツの中に隠してまで飲まなくてもいいのに」
「う……うう……そ、そうじゃなくて」
えーっと……中身は、空っぽみたいだ。
もう彼女ったら何のジュースを隠して……。
「えっと、名前は【即効性・特殊風邪薬】?」
ありゃ、なんだ。
普通のポーションじゃないか。
だったら、なおさら別にこんなシーツの中になんかこっそり隠さなくていいのに――――うん?
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※注意書き※
これは風邪薬と書いてますが別に風邪を治す効果は一切無くむしろ逆に一時的に発熱を促す薬なのでス! ですので明日の仕事を休みたい人。気になるあの人に優しくしてほしいといった、甘えたがりな人に天才の私が生み出した口実作りのポーションとなってまース! なお――
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「……………………なにこれ?」
薬瓶の裏側。
この風邪薬と記されたラベル裏には、そんな何か見覚えのある口調のメッセージが書いてあり、
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なお、即座に治したい場合は同梱させていただきましたもう一つの青色の瓶【風邪薬専用、治癒用ポーション】を服用すればすぐに治りますのデ! ではくれぐれも無理のない貴方の仮病ライフをお祈りしていマス! BYドクタールドルフ
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細かくそう説明が綴ってあったんだった。
それもご丁寧に知り合いのマッドサイエンティストの名前まで記載されて……って、あれ?
「……ってことは、まさかっ!?」
くそ! そう言う事か!
エミリアってば僕に甘えたいからってこんなふざけた薬をあの歩く薬品庫に頼んでいたのか!
ちくしょう! どうも何かおかしいと思ったんだ!
普段から健康なエミリアが急に風邪を引くなんて!
「そおっと……そろり……そろぉりなの――」
「お待ちなさいエミリアさん。一体どちらへ?」
「仮病ばれたから逃げるの……いいでしょ?」
いや、いいわけあるかっ!
ってか、当然の様に逃げないでくれます!?
泥棒が持ち主監視の元で、堂々と盗品を持って玄関から逃げる位ふてぶてしいんですがっ!?
「いーやダメだね! 今回ばかりは少しおふざけが過ぎたみたいだからね! 君の協力者であるあのマッドサイエンティストと一緒にみっちりとお説教の刑に処すからねっ! 反省しなさい!」
「ふええ……お説教……嫌なの」
ダメ! きっちり反省するのっ!
あの馬鹿も交えて一時間コース行きっ!
こんな自作自演で僕をからかって弄んだ罪と、人を色々と心配させた二重の罪で二度とこんな馬鹿な事を思いつかないように怒るからねっ!
ここまで読んでくださりありがとうございます。
ギリギリGW内に間に合わなかった(執筆&添削が全然進みませんでした)
次話については現在執筆中ですので完成次第投稿出来ればと思っております。
ではでは最後にもしよろしければブクマや評価であったり率直な感想などお待ちしております!!
皆様がくださる評価等はこの【黒まめ】の執筆モチベに直結するので……あとは飛んで喜んだりもします!! では失礼致します(´・ω・`)




