表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/105

74.闇が……忍び寄るようです


 ――女王様! どうかお気を確かに!

 ――もうすぐ治療いたしますので!


 ――ふん……大袈裟だぞ……お前達。私がこの程度の負傷でくたばるとでも……ゲホッ、思っているのか? こんなの蚊に刺された程度だ……。


 ――それは……そうですが。今は安静に……。

 ――そうですとも。貴方様の身にもし何かあれば、我々アルテミアーナ民の未来が脅かされてしまいます! ですから決して強がらずに今は大人しく残りの治療を受けてくださいませ!


 ――ちっ……まるでこのイザベラを死にかけみたいに言いおって……たかだか何処かの国の暗殺者に“脇腹を刺された”くらいで……どいつもこいつもこの世の終わりみたいな顔を……うん?



 ――はは……うえ?

 ――お……お母様?

 ――イザベラお母様……血が……。



 ――なっ!? マティルダ様!? それに妹君まで!? どうしてこのようなお時間に!?

 ――こ……この傷は違いまずぞ! これは我々がやったものではなく! 他国の者が……。


 ――落ち着けお前達。マティルダ……それにヴィクトリアにメアリーまで。はははははは……少しみっともない所を見られたな。いや……ゲホッ……それよりも二人共、私の事は母上と呼べと言っただろ……ったく。しかもこんな夜更けまで起きて、本当にマティルダに似て手のかか……


 ――そんな事はどうでもいい! どうして! どうして母上がこんな酷い傷を負って帰ってくるんだ!? 兵士! お城のエリート兵であるお前達がついていながら、なんでこうなったんだ!


 ――うっ……そ、それは!?

 ――誠に申し訳ございません!


 ――なんで……なんで母上がこんな目に!



 ――マティルダ……そう兵士達を一気に責めたててやるな。こいつらだって立派に護衛の任を全うしていたのだ……だからひとまず落ち着け。



 ――で……でも!?



 ――いいから……落ち着け。いいか私は確かにお前達の母親だ、それは間違いない。そしてお前達三人は私の大切な娘である事も間違いない。だが……私はこの国を背負う【女王】なのだ。だからこんな“奇襲による負傷”などよくある話でな。少しでも気を抜けば私を殺し、この国を乗っ取ろうと企む悪い奴が影から現れてくる……これもまた女王としての宿命なのだ、マティルダよ。



 ――女王としての……しゅくめい?



 ――そうだ……だが安心しろ……私の代でそんな胸糞悪い他国との因縁などは綺麗に片付けてやる……ゲホッ……ゲホッ、ゲホッ! ゴホッ!


 ――!? 母上!?


 ――なっ!? いけませんイザベラ女王! それ以上はもう口を開かれては! 応急処置は済ませたとはいえ傷口が開いては意味がありません!


 ――王女殿下。混乱されるお気持ちはお察しいたしますが……これ以上の会話はイザベラ様のお命に関わります……ですので申し訳ありませんが我々はすぐに治療に取りかかりますゆえ、これにて失礼いたします! それでは!



 ――ふふ……どうやらそう言う事らしい。悪いなマティルダ、治ったらまた絵本聞かせてやるからな……大丈夫だ、三日後には綺麗に治ってる。



 ――母上……。



 ――ふっ……そう泣きそうな顔をするな。いつも強気なお前らしくも無い……じゃあな。


 ――……………………。



 ―― ―― ―― ―― ―― ――



 ――……ヴィクトリア、こっちへ来い。

 ――えっ? きゃっ、お……お姉さま?



 ――あと……メアリーも。私の方へ来い。

 ――きゃっ、マティルダお姉さま……一体どうされたのですか。突然抱きついてくるなんて……いいえ、それよりもお母様のご容態は、



 ――ヴィクトリア、メアリー……頼む、今は私の話だけを聞くんだ。いいか……私はお前達をこれからずっと【何があっても守ってやる】。約束だ。お前達はそれ程私にとってかけがえの無い大切で可愛い妹達なんだ……だから……な……。



 ――お姉さま……まさか泣いて?

 ――マティルダ……お姉さま?



 ――お前達二人にはこれからも平和で自由な……………………………………………………………………………………………………………………



 ―― ―― ―― ―― ―― ―― ――



「くそ……」



 美貌の儀は終わった。



「どうして……こんな結果に」



 結果として一番手のヴィクトリアは高得点を逃し、二番手のマティルダは登場前から退場という前代未聞の大波乱が巻き起こる間、勝利者は無難に最後を飾った『メアリー』という事で閉幕。

なお、その得点を比較するならばこうなる。


【ヴィクトリア】

 ――――――――――――――――

 1.衣装の評価点【20点】

 2.舞踏の評価点【100点】

 3.歌唱の評価点【100点】

 4.自由演技評価【0点】

 ―――――――――――――――――

            合計【220点】


【マティルダ】

 ――――――――――――――――

 1.衣装の評価点【0点(強制退場の為)】

 2.舞踏の評価点【0点(強制退場の為)】

 3.歌唱の評価点【0点(強制退場の為)】

 4.自由演技評価【0点(強制退場の為)】

 ―――――――――――――――――

            合計【0点】


【メアリー】

 ――――――――――――――――

 1.衣装の評価点【90点】

 2.舞踏の評価点【75点】

 3.歌唱の評価点【80点】

 4.自由演技評価【100点】

 ―――――――――――――――――

            合計【345点】


 と……所々に減点こそ見られるものの、前者の姉達と比較して“静かな色合いのドレス”での登場と至極 真っ当なアピールに続き、ハープ演奏による美しい音色の自由演技でレオナルドを見事魅了しそのまま彼女は勝利を掴んだのであった。



「どれも自信たっぷりだったってのに……」



 そうして現在……マティルダは焦っていた。

 第一回戦【料理の儀】第二回戦【美貌の儀】と散々な結果で勝利を逃し、いよいよ後が無くなってきた彼女は今もベッドの上で寝付けずにおり、


「でも明日の【最強の儀】だけは……“腕っぷし”だけは負けるわけにはいかねぇ。大丈夫だ……私なら勝てる。勝ってどうにか引き分けに持ち込むんだ。そうすれば確か特例で延長戦が発生するつて昔何処かで読んだ……そうだ私が勝つんだ」


 彼女はそう明日の最終儀式。

 武器を用いた模擬戦による生物としての純粋な強さを競う【最強の儀】についてを案じていた。


「そうだ、私なら勝てるんだ。いくらメアリーやヴィクトリアでも喧嘩で私に勝てた事は無い……大丈夫だ。絶対に勝つ……それ以外にない」


 気合いが空回りし料理では次女に敗北、美貌では三女に敗北という事実がマティルダを焦らせ、今その自信に満ちていた筈の精神力もじわじわと消耗させていき追い詰めていたのだった……。



「勝つんだ……なんとしても」



 すると……。



(なんとしてもこの女王決定戦は私が勝つんだ……私が勝って女王にならないといけないんだ……でないと『あの時』みたいに…………くそ!)



 その途端の出来事であった……。



「おやおや、お若い女性だというのに夜更かしとは……あまり褒められた事ではありませんな」



「!?」


 瞬間! マティルダの思考は一気に現実へ!

 誰だ!? と声を荒げるよりも先にその五感全てで察知したその“激しい寒気”の正体を突き止めるべく、彼女は意識の全てを【部屋の隅】に向けたのである! そうすると……なんとそこに。


「まあまあ、そんなに警戒なさらずとも……私めは貴方様の味方です……ですからそんなに――」


(こ……コイツ!? いつから!?)


 再度響く声と共に彼女は視認するのだった……。

 声の主と思しき【その怪しき初老の男性】を。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

次話は明日投稿予定です(*'ω'*)

ではでは最後にもしよろしければブクマや評価であったり率直な感想などお待ちしております!!

マヂで皆様の評価はこの【黒まめ】の執筆モチベに直結するほか、ユーザ様の声は私にとってものすごく励みやタメになりますので……あとおまけで飛び跳ねるくらい喜びます(´・ω・`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ