65.胃袋を掴めば勝ちのようです part1
「では! このまま一回戦の説明に移る!」
イザベラ女王は女王決定戦の開会宣言を終えた後、闘技場の客席中からとめどなく上がっていた来場者達による開催を喜ぶ凄まじい歓声の声。
そして同時に鳴り響いていた拍手喝采の音が静まった頃を見計らい、再び拡声器へ声を当てる。
「なお……知っている者が殆どだと思うが、このアルテミアーナにおける女王決定戦は【三つの儀】を執り行う! そしてその三つの戦いを終えた後、最優秀の戦績を納めた最強の女こそ、【次代の女王】に相応しい者としてこの私イザベラが国の未来を担うその者へ王位の継承を行うのだ!」
そう、彼女はただの開会宣言だけでは終えず。
この国にとっては最重要の一つとなる催し物。
女王決定戦における簡単な規則、日を跨いでの三回に渡る戦いがある事を並べて行くと、
「そのうえでまずは第一の“競儀”である【料理の儀】について告げる! 別段難しい内容でもないし、非常に単純明快なルールであるので多少聞き流してもらっても構わんぞ! では始める!」
そのまま内容を本日の一回戦のルールへ移行。
女王となった自身も過去に経験しており、それを丸暗記しているイザベラは次の様に続けた。
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【料理の儀】……女王決定戦、初日の競儀。
【概要】
料理の儀という文字が示す通り。
候補者達が料理を作り、それを審査する。
味を筆頭に、様々な観点から『現女王』と『異世界審査員』の二名で審査し、最終的には両者が相談した後、異世界審査員の判断で採点していき、無論最後に点が高かった者が勝者となる。
【規則】
1.食材は各々が申請した物を使用すること。
2.その為追加の食材等は一切認められない。
3.食材の類に制限は無いが必ず使い切る。
4.調理する順番は競儀前に決定される。
5.そして審査側に限り直前まで公平を期す為、選手の調理する場面を見る事が出来ない。
……以上がこの料理の儀においての規則であり、一部の例外等を除いて、あくまで己が用意した食材のみで戦う事を義務付けるものとする。
~女王のみ引き継ぐ伝書『女王決定戦の詳細』6の項【料理の儀における規則】より抜粋~
―――――――――――――――――――
……そうして。
「料理とはその日を生きるうえで必須になりうる技術の一つだ! 如何に効率よく満足感のある食事を生み出せるか! そして如何に美味な料理を作れるか! 最強の女としての資質を見極める最初の競い事にはもってこいの儀だ!」
イザベラ女王は先の競儀の説明後。
「そして相手の胃袋を掴む事! これは同時に【相手の心をも掌握】するという強い意味合いも含まれている! 人の心を突き動かせずして何が最強か!? 只々黙々と口に運ばせるだけは料理とは到底呼べぬ! 相手に旨さという強力な衝撃を与えて制圧することっ! これこそ料理の儀の真髄なのだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「「「うおおおおおおおおおお!」」」
「「「楽しみにしていますよぉぉぉぉ!」」」
「「「「ヒュー! ヒュー!」」」」
自身の説明に耳を貸し、静まっていた会場中を煽り立てるようにして観客全ての耳へと轟かせるよう大きく発してその発言を響かせた。
パチパチパチパチパチパチパチパチ!
パチパチパチパチパチパチパチパチ!
(……ふふっ、よしよし。実に素晴らしい盛り上がりだな。徹夜で苦労して考えた甲斐があった)
まあ……実際その内容こそ盛りに盛りまくり、多少大袈裟に演出こそしていたが、概ね彼女の目論見通りに場の熱気は開会時同様……いや!
「「「イザベラ様! そのまま進行を!」」」
「今回は誰がスタートを切るのですか!」
「待ちきれませんわ! お願いします!」
「「「「「イザベラ女王っ!!!」」」」」
「「「「発表をお願いしますっ!!!」」」」
(ふふふ、ははははははは! 良いぞ! これでこそ国を挙げての催し物に相応しい雰囲気だ!)
最早、客席だけなく己が立っている宣誓台にすら及ぶ、その予想を上回る観客たちの熱狂ぶりに感化されたのかイザベラは皆の反応を見た後、
「はははははははは! よかろう! ならばまどろっこしい挨拶はこれまでとして、早速お待ちかねの開始を預かる最初の選手の発表へ移ろう! では! まず初めに料理する者は――」
「「「……………………………」」」
「「「「「………………ごくり」」」」」
「「「「………………さ、最初は?」」」」
「「ヴィクトリア様? メアリ―様?」」
再三に渡り、控える重大発表を前に場が沈黙。
事あるごとに熱狂したり冷静になったりと非常に慌ただしい雰囲気ながらもイザベラは、すぅぅぅぅと一つ呼吸を挟むと拡声器越しにうずうずする観客へ向けて、待ち望む答えをこう発した!
「我が娘の長女である【マティルダ】である!」
「「うおおおおおおおおおおおおおお!」」
「「「マティルダ様! マティルダ様!」」」
「「私達は楽しみにしますわ!」」
そう、彼女は記念すべき儀式の初めを飾る娘。
三姉妹の中で最年長である長女の名を高らかに大きく宣言し、その役目を一旦終えるのだった。
―― ―― ―― ―― ―― ――
【異世界審査員控室】
「ふう、流石に疲れたぞ」
「お疲れ様です。イザベラ女王」
「ふむう、気遣い感謝するぞレオナルド。ここのところ娘達の愚行を叱りつける時以外はあまり大声を出さないのでな。流石に喉がカラカラだ」
「ははは……それはそれでどうかと思いますけど……でもこれでまずは一回戦。僕とイザベラ女王は料理が完成するまで目隠しして、三人の出来上がった料理を食べる。これで良いんですよね?」
「あ、ああ……だいたいはそんな感じだ……」
「分かりました。では、貴方の依頼通り、このいレオナルドが責任を持って三人の料理を公平に吟味しますね! 今回の異世界審査員として!」
「吟味か……【それ】で済めば良いが……」
「………………えっ?」
※タイトル、あらすじの一部を変更しました。
もしかしたらまた戻すかもしれません。
ここまで読んでくださりありがとうございますm(_ _)m
ひとまず現在完成している分だけ投稿しました。
次話については現在執筆中の為、完成させたら投稿していく予定です(*'ω'*)
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