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閑話 水城澪という人

ここでは私、水城澪のことを話そうと思う。


小さい頃の親の離婚、そして再婚をきっかけに、少し歪んだ性格になった。


親からは無償の愛を貰えるものだと思っていたから。


冴えない顔の私は学生の頃いじめられてばかりだった。


それを相談しても親は


「あんたがそんな顔してるからよ」


と突き放してきた。


家でも、外でも自分の居場所はなかった。


悲しくなって何度も死のうとした。


中学生までの私はその死に方すら調べる方法がなかったから思うだけ。


ただそれだけだった。


そして高校生。


私はこの時初めて恋人という親以外の依存先を知る。


別れては付き合い、別れては付き合い…


同時に二人を好きになったことだってあった。


その人が嫌いってわけじゃない。


ただもう一人にも違う良さというものを見つけてしまったから好きになった。


澪の愛は少し歪んだものだった。


依存し、束縛し、相手に従い、そして突き放される。


高校を卒業し、恒一と出会うまでは。


「あの…恒一さん、私恒一さんのことが好きです、私でよかったら付き合ってくれませんか?」


この一言で交際がスタート。


十三歳という歳の差を感じさせない程二人はラブラブだった。


ここで初めて純粋な愛を知る。


こんなに素の自分でいれるなんて…


私は恒一にぞっこんだった。


何を話しても笑ったり、真剣に聞いてくれる恒一が純粋に好きだった。


そして、私が二十歳になったとき。


永遠を誓う大切な人となった。


付き合ってるときは「みっちゃん」と呼んでいたが、結婚すれば私もみっちゃんだ。


「なんて呼んでほしい?」


そう聞くと恒一は


「恒ちゃん…かな?」


と少し悩みながらも答えてくれた。


特別な感じがして少し嬉しかった。


とても大きな幸せを手に入れた。


そんな幸せも長くは続かなかった。


ある日、澪は少し体調を崩していた。


朝仕事に行くのがつらい。


布団から出ることができない。


どこからともなく聞こえる声。


それに怯え、そしてパニックになってしまう。


「誰…誰なの…? ねぇ! やめてよ!!」


恒一もどうしていいか分からなかった。


そこからメンタルクリニックに通うようになった。


はじめは、会社に言うか迷っていた。


だが、休みがちになってしまったこともあり、上司に相談をした。


「会社全体に言う事も出来るけどどっちが良い? 澪の楽だと思う方でいいぞ」


澪は、会社全体に言うことを希望する。


少しずつ、リハビリした澪はいつも通りとまではいかなくても仕事できるようになった。


今では会社の皆から慕われる存在に。


そんな会社が好きだった。


水城澪は障害を持ちながらも会社と夫に恵まれた人物である。


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