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『従姉妹と姉と妹に囲まれて、俺の平穏は今日もない!』  作者: 優貴(Yukky)


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第3話 「誰かが一線を越えた朝」

朝。

目覚めた瞬間から、嫌な予感がした。

理由は単純で、俺――高瀬 湊の生活は、すでに“嫌な予感の連続”だからだ。

「湊。起きなさい」

ドアが開く。

姉の高瀬 美月が、いつも通りそこにいる。

「……今日は自分で起きた」

「嘘ね」

「信じろよ」

言い合いの途中で、廊下から声が飛ぶ。

「お兄ちゃんおはよー!」

妹の高瀬 陽菜が、勢いよく突入。

「朝から元気すぎるだろ」

「元気じゃないとお兄ちゃん取られるから!」

「何と戦ってんの?」

その瞬間。

――カタン。

リビングの奥から、小さな音。

誰かがすでに起きている気配。

「……早い」

声は低く、静かだった。

篠宮 雪乃。

そして、その横から軽い足音。

「おはよー、今日もいい天気だね」

明るい声。

篠宮 春乃。

双子は、すでにリビングにいた。

俺より早い。

いや、もう生活リズムが侵食されてる。

朝食。

テーブルはまたしても限界だった。

席は足りない。

なのに誰も譲らない。

「湊の隣はここ」

美月が当然のように椅子を指す。

「いや昨日もそれだったろ」

「習慣」

「便利な言葉使うな」

陽菜が即座に反対側に座る。

「じゃあ私こっち!」

「お前のじゃない」

春乃が笑う。

「ここ、空いてるね」

「全部空いてない扱いだと思ってくれ」

雪乃は無言で俺の真正面に座る。

「……見える位置」

「監視やめろ」

その瞬間だった。

春乃が、ふと俺の方を見て言った。

「ねえ、湊くん」

「なに」

「今日さ、放課後ちょっと付き合ってくれる?」

空気が止まる。

一瞬で。

陽菜の箸が止まる。

美月の視線が細くなる。

雪乃が一拍遅れて顔を上げる。

「……どこに?」

俺が聞く前に、美月が言った。

「必要あるの?」

春乃はにこっと笑う。

「ちょっとした用事」

「用事って何」

陽菜が即座に割り込む。

「私も行く!」

「いや行かないでくれ」

雪乃は静かに一言。

「私も行く」

「増えるな」

美月がため息。

「湊は放課後、用事がある」

「ないだろ」

「ある」

「勝手に作るな」

学校。

その日から明らかに空気が変わった。

春乃がやけに距離を詰めてくる。

「ねえ湊くん、これ教えて」

「授業聞け」

「聞いてるよ?」

「聞いてる顔してない」

陽菜は教室の外から覗く。

「お兄ちゃんー!」

「帰れ」

雪乃は無言で後ろの席。

「そこ俺の視界に入る場所な」

「便利」

「何がだよ」

そして美月は廊下で待機。

「放課後、すぐ帰るわよ」

「どこに?」

「家」

「知ってる」

その瞬間、気づく。

誰かが“明確に動き始めている”。

今まではただの騒がしさだった。

でも今日は違う。

春乃が何かを仕掛けている。

それを、他の全員が薄々気づいている。

放課後。

事件は起きた。

「湊くん、ちょっと来て」

春乃が手を引いた。

その瞬間――

「待ちなさい」

美月が即座に止める。

「どこ行くの?」

陽菜も飛びつく。

「私も行く!」

雪乃は一歩遅れて立ち上がる。

「……」

空気が一気に重くなる。

春乃は笑ったまま振り返る。

「ちょっとだけ」

「ちょっとじゃない」

美月が即答。

陽菜がむくれる。

「ずるい!」

雪乃が静かに言う。

「何の用?」

春乃は一瞬だけ間を置いて――

「昔の話」

そう言った。

その瞬間。

俺の中で何かが引っかかる。

昔?

この従姉妹たちと、俺の“昔”。

記憶にあるようで、どこか抜け落ちている部分。

雪乃の目が、わずかに揺れた。

美月は黙る。

陽菜だけが首を傾げる。

「なにそれ?」

春乃は、楽しそうに笑った。

「ねえ湊くん」

「……なに」

「まだ覚えてる?」

風が吹いた。

桜の花びらが一枚、校庭に落ちる。

俺は言葉を失った。

そして気づく。

この騒がしい日常は――

ただの“偶然の同居”じゃないかもしれない。

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