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前世を思い出す

投稿を始めます。

女主人公のバトルファンタジーです。

百話以上既にございますので、長い物語にはなりますが、読んでいただけますと嬉しいです。

どうぞよろしくお願い致します。


 着いた場所はとても大きな宮殿で、私たちの屋敷の十倍くらいある。大き過ぎて驚いていると、宮殿の周りに貴族の馬車が続々と集まっているのが見えた。

 私はお母様と一緒に降りる準備を始める。


 ロギオニアス帝国の社交界シーズンは十二月から六月までで、この間に色んな夜会や舞踏会が行われる。今日(一月十五日)の夜会は他と比べて規模が違う。皇族保有の宮殿を貸し切り、帝国中から貴族を招待している。

 その夜会の主催者はエイルハイド公爵様。

 十日前に公爵様の子どもが十歳になったので誕生日を祝うために催されたって、お父様が教えてくれた。

 私も十歳だし、もしその子と会うことができたら、友だちになりたいなと思う。


 宮殿の中に入ると、とても暖かった。

 色んなことが気になって周りをきょろきょろと見てしまう。

 シャンデリアの光で照らされる豪華な会場と素敵なドレスで鮮やかに着飾った淑女たち。美しい音楽が会場に流れて、うっとりと聞き惚れてしまう。

 この会場には二階があって、会場の中央には二階へと続く大きな階段がある。

 私にとってどれも初めての経験。夢を見た嫌な気持ちは吹き飛んで、凄くワクワクしていた。


 「フレイヤ、驚いたかい」


 頭を優しく撫でられて見上げると、明るい金髪に凛々しくて、私の大好きなかっこいい顔が目に入った。

 別の馬車に乗っていたお父様だ。今合流してくれた。


 「はい、とても驚きました」

 「フレイヤ、私の方を向いて」


 お母様の声が聞こえて、後ろを向く。

 心配げな表情で私を見つめていた。


 「お母様、どうしました?」


 首を傾げると、お母様は私の額に手を当てた。

 手が冷たくて、ヒンヤリとする。気持ち良い。


 「あなた、この子、熱があるわ」

 「コルネリア、本当かい? でも、もう始まるよ」


 熱? 熱があるなんて全然気がつかなかった。

 言われてみれば、体が少し重たい気がする。でも、大丈夫だよ。

 あ、お父様たちが困ったような顔をしている。

 お父様とお母様が楽しめなくなっちゃう。迷惑を掛けてごめんなさい。

 私は悪いことをしてしまったと思い俯いた。


 「今抜けるのは無理ね。フレイヤ、手を握って私の体にもたれていなさい」

 「でも、それじゃあ、お母様が楽しめないです」

 「子どもが大人に気を遣うものじゃありません。大人しくもたれてなさい」


 お母様に手を掴まれて、強引に体を預けることになった。

 とても温かくて、お母様の優しさを感じる。その優しさで体の不調が和らぐ気がした。


 今まで騒がしかった会場が急に静かになったので、不思議に思って周りを何度も見る。どうしたのだろう?


 「フレイヤ、大丈夫よ。皆が拍手をするからフレイヤも同じようにしなさい」

 「はい」


 パチパチと拍手の音が鳴り始め、周りの人たちが一斉に同じ方向を見る。

 中央の階段から小太りな男性と自分と同じ年頃の少女が下りてきた。


 私はその少女からなぜか目が離せなくなってしまう。

 目鼻立ちがはっきりとした顔で優しい笑みを浮かべている。階段を下りる度に左右へ揺れる金髪はとても綺麗だ。

 歩き方は洗練されていて、重いドレスを着ているのに頭の位置が全く変わらない。

 私も重たいドレスを着て美しく歩けるように練習をしているから、それがとても難しいことだと良く分かる。

 何だか胸が熱くなって、とても懐かしい気持ちにもなった。会ったことがないはずなのに、どうして?


 お母様が私にそっと耳打ちをする。


 「男性の方がエイルハイド公爵で、公爵のお側にいる方が、ご息女のアンジェリーナ様よ」

 「アンジェリーナ様…… ?」


 突然激しい頭痛がして、私は頭を押さえた。


 「痛い……」

 「フレイヤ! どうしたの!?」


 お母様の心配する声に私は答えることができなかった。

 意識を失ってしまいそう。痛い、頭が割れる!

 頭の中に誰かの記憶が一気に流れ込んできてた。こんな記憶知らない、これは私?


 記憶の中に癖っ毛で金髪の少女と綺麗な女性がいた。

 癖っ毛で金髪の少女は血だらけで倒れていて、泣いているように見えた。

 あれ? その綺麗な人、あそこにいるアンジェリーナ様に似ている。

 そうだ、あの夢は単なる私の悪夢なんかじゃない。ようやく全てを思い出した。


 「アンジェリーナ様……」


 ()()を思い出した私は急に目の前が暗くなるのを感じた。



 













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