ポーションを作っていたら魔物に襲われました
ギャーーーー
やっちまった!
確かに日頃ヒロインにはいろいろ言われていたからつい……
我慢できなかったってうのもあるけれど……
でも、私の推しのエドガルド様の前で吐いてしまった。
もう終わりだ……
生きていけない!
と言うかまだ胸が苦しいし……
私は口を押えた。
絶対にエドガルド様に嫌われたと思ったのに、
「ゴメン、リーナ、大丈夫?」
エドガルド様はきれいなハンカチを私の口に当ててくれて、背中をさすってくれるんだけど……
いや、私汚いですから、触ったら駄目です。それにそんなきれいなハンカチ使わなくっても……
苦しくて言えないから手を振ったのに、エドガルド様は全く気にした風もなく、優しく私の背をさすり続けてくれた。
私は嬉しいやら苦しいやらなんか悲しいやらで涙が止まらなくなった。
「大丈夫? リーナ、まだ苦しいのか。ごめんな。揺らしてしまって」
エドガルド様の優しさが身に染みる。
でも、エドガルド様は私の目の前で汚物だらけでいるヒロインを全く無視してくれるんだけど、良いんだろうか?
女の私から見てもどう見てもヒロインの方が美人だし胸もでかいしスタイルも良いのに、私なんかの背を撫でていて良いのか? と回らない頭で思ったけれど……
ヒロインは現れた侍女に連れられて去って行った。
去り際に私を射殺しそうな目で見てくれたんだけれど……
苦しんでいた私の前に出てくるからよ!
私はそう叫びたかった。
少ししたら気分がましになってきた。
「少し飲んでみるか?」
エドガルド様がコップを差し出してくれた。
私は少しずつ飲む。
その間エドガルド様は私を抱き抱えるようにして飲ませてくれた。
辛い時にはその暖かさが身に染みた。
イケメンエドガルド様のハンカチ汚して申し訳なかった。絶対に洗って返そうと私は思った。
そして、ようやく周りを見る余裕が出来た。
ここは広場みたいで、周りにはテントが建てられていたが、そのテントからはみ出してその周りにも負傷した兵士達が寝かされていた。
王妃様と一緒に来た聖女達が早速治療に当たっていた。
そうか、すぐに治療に当たらないとと思ったが、私はヒールはまだ使えないんだった。
皆が私をしらけた顔で見てくれていた。そらあ治療に来た聖女が自分が気持ち悪くなっているって最悪だよね。でも、私は治療できないんですけど……
「おい、聖女なら、すぐに治療に当たってくれ!」
そこに近衞騎士の人が私を見てきつい口調で話して来た。
「いや、彼女は癒やし魔術はまだ出来ない」
エドガルド様が私に代って答えてくれた。
「えっ、じゃあ、何でここに来たんですか?」
近衞騎士は不満そうに言いだした。
「彼女はポーション作りに来たんだよ」
「えっ、ポーションって今からですか? なんて悠長な」
非難するような視線で私を見てくれた。
「ベルナルド、その失礼な態度は止めろ。彼女は母が無理言ってここまで来させたのだ。その能力は保証する」
「王妃様がですか? 殿下の我が儘で連れてきたんじゃなくて」
ベルナルドという騎士が言ってくれたけど、私もこんな苦しいメして来たくはなかったわよ!
皆の前で吐いたし……
「そうよ、ベルナルド、あなたも彼女の作った中級ポーション飲んだんでしょ。彼女にお礼を言いなさい」
後ろから王妃様が来て私を庇ってくれた。
「えっ、ああ、このポーションですか?」
ベルナルドが空瓶を出してくれた。私の作った中級ポーションみたいだった。あの大量に作りすぎて王妃様に怒られたやつだ。まあ、役に立って良かった。
「そうよ。彼女はあれを昨日200本以上作ってくれたんだから」
「えっ、200本もですか?」
ベルナルド様が驚いて私を見てくれた。
「だから、ここで彼女にはポーションを作ってもらうわ。出来たてよ。効果は絶大なはず。エドには付いているように言ったけれど、貴方たちも彼女は何としても守るのよ。ここの皆が助かるかどうかはパウリーナの薬にかかっているんだから」
「判りました」
ベルナルドが敬礼してくれた。
「聖女様、失礼しました。あなたの作った薬で助けて頂いてありがとうございました。ここの皆のためにもよろしくお願いします」
私に頭を下げてくれるんだけど、騎士様に頭を下げられたのは初めてでどうしたらよいか判らなかった。それに私は下っ端聖女なんですけど……
「じゃあ、ここに簡易のかまどをすぐに作ってくれ。それとこの大鍋に水を」
私に代ってエドガルド様が指示してくれた。
「判りました」
何か鍋を見てベルナルドさんは驚いていたけれど、すぐに周りの騎士達に指示をしてくれた。
「パウリーナちゃん。大丈夫なの? 馬鹿が鍋の中なんかに入れるから」
王妃様が心配して私をみてくれた。
「母上が俺に鍋を背負わせるからでしょ」
「パウリーナちゃんは他の騎士に背負ってもらえば良かったじゃない」
「絶対に嫌です」
「本当に溺愛しているのね」
何かエドガルド様と王妃様が言い合っているけれど、まだ気分の優れない私は聞き流した。
騎士が鍋に水を入れて持って来てくれた。
もう気分が優れないなんて言っていられない。
私はシャキッと立ち上ったのだ。
私は杖を取り出して鍋の水の中に入れた。
「えいっ、や!」
かけ声をかけると水の中の不純物を一気に杖に吸い付ける。
私の胸の周りの気持ち悪い思いも全て杖が吸い取ってくれた。
「「えっ?」」
周りの騎士達が驚いた顔をしていた。
そんなに変だろうか?
「何か体が軽くなったぞ」
「凄い。空気が澄んできたみたいだ」
騎士達の言う事がよく判らないけれど、また私も気分が悪いのが治ったし良しとしよう。
ここなら地面に落としても良いだろうと吸い付いた不純物を地面に捨てる。
ぼたり!
結構な埃が出た。
田舎の方が空気が汚れているんだろうか?
まあ、王宮や大聖堂は聖女様たちがいるからいつも浄化されているのかもしれない。
「えっ!」
見ていた王妃様が硬直しているんだけど……
この前も王妃様に見せたのに、見慣れないと何回見ても変なんだろうか?
「疲れが取れたんだけど、あなた何かしたの?」
王妃様が聞いてこられるけど、
「別に不純物を取り除いただけですけど?」
私にはよく判らなかった。まあ私も気分が悪いのが治ったから疲れも取り除いたんだろうか?
「私はまた治療してくるわ」
少し笑って王妃様達が離れた。
そのまま騎士が鍋を火にかけてくれた。
エドガルド様が台を持って来てくれたので私はその上に立つ。
騎士達が魔法をかけてくれたのかあっという間に熱が鍋全体に行き渡って軽く泡を立てだした。
「じゃあ、ユニコーンの角からお願いします」
私はエドガルド様に頼んだ。
大鍋の時は私が素材を入れるとそのたびに台から降りないといけないので、いつもエドにやってもらっていた。昨日はエドガルド様がきちんとやってくれたので今日も当然エドガルド様にやってもらっていた。
素材を鍋に入れるのも結構コツがあるのだ。
エドの時は何回も注意したんだけど、エドガルド様は慣れたものだった。
さすが王太子殿下という所か?
エドガルド様がユニコーンの角をゆっくりと少しずつ入れてくれた。
「ユニコーンの角さん、お願いします」
私はそう祈りながら杖で混ぜる。
私は集中して魔力を流しながら、次々に素材を入れる。
そして、全て入れて溶かした。
「皆が良くなりますように! 女神様よろしくお願いします!」
私は祈りながら魔力を強くする。
どんどん流していったら、
ピカッ
と昨日のように鍋の中のポーションが光った。
そして、そこには緑色に輝くポーションが出来ていたのだ。
出来た!
喜んだ時だ。
「危ない!」
エドガルド様の声が聞こえた。
と同時に私は左肩に衝撃を受けて吹っ飛ばされたのを感じた。
その私をエドガルド様が受け止めてくれたけど勢い余って地面に叩きつけられていた。
「グッ」
エドガルド様が思わず悲鳴を上げる。
私はエドガルド様がクッションになって被害はなかった。
「ガオーーーー」
でも、私の目の前には仁王立ちになった熊型の魔物が私を睥睨していたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
絶体絶命のピンチです。
続きは今夜。
完結した書き物語閑話更新しています。
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『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/








