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これがリアル効果?


この世界のダンジョンでは各階層ごとにエンカウント上限があるし、採集資源も一度採ったら同じところからは採れない

だから出来るだけ奥まで行けた方がいい

ただ途中で全滅してしまうと所持金が減り、そのダンジョン内で得たものは全て没収されるので慎重な探索が必要だ


しかも、ゲームでは一度ダンジョンを出ると勝手に夜になる

夜の時間はダンジョンには潜れないから回復薬の作成依頼を出したり武器や防具を新調したりなど準備に時間を使う

はずなのだが……


「まだ全然明るいですの! もう一度入ってみませんの?」


すがるような上目遣いでセシーリアにお願いされる

やはり早く強くなりたいのだろう

ダンジョンを出てみても、17時前だったのでまた日は落ちてないし時間もまだある


「……入ってみるか」


正直俺も再度ダンジョンに入ってみるとどうなるのか気になる

これでモンスターにエンカウント出来て、採集できると早く強くなれる

開いたままの扉を一度閉めて、再度受付をして、同じ扉を開く


「また入ってもいいんですの?」


セシーリアの目がキラキラしている


「いいよー」


「お先ですの!」


扉にぶつかりそうな勢いでセシーリアは黒い膜へ突っ込んでいった

2度目ではあるが、ダンジョンに入ろうとする時の高揚感は本当にたまらない

高鳴る鼓動を鎮めるために深呼吸を2度……


「入るか」


目の前にある扉の黒い膜は動いているような気配はないが、誘われているような気がしてならない

実際には全然違うのかもしれないが吸い寄せられるように足が動く

膜を超えた瞬間、変わる景色に爽やかな香りがする


白黒のタイルを敷き詰めたダンジョン入口から軟らかい土の獣道に変わることで、ふわふわした感触が足から伝わってくる

完全にダンジョンへ入りきると一陣の風が吹いた

風で乱れた前髪を整え全身でダンジョンを感じる


「ぼーっとしてないで行きましょうですの!」


ダンジョンを感じることは出来ませんでした……

今度はセシーリア抜きで堪能しようと強く思ったよ……


魔法で攻撃する後衛なのに、ドンドン前に進むセシーリアを追いかける

ダンジョンは何度入り直しても、地形が変わることはない

エンカウントする位置も採集出来る位置すら変わらないため記憶していれば何も危険はない


「また採集出来ますのー!」


感動したのか無邪気な子供のようにセシーリアは採集し始めた

採れる数も全く変わらない……

エンカウントはどうなんだろうか?進んでみよう


「今回はバッチリ当ててやりますのー!」


「しっかり狙うんだぞ MPは減ってるんだから」


「一発であてますの コツを掴んできましたの」


そういいながら放った魔力弾はしっかりとスライムに当たり一撃で倒し切った

そうして探索を続けてみると、やはり同じだった

1回目と全く同じエンカウント・採集だったのだ


「完全に一致したな……」


「そうですの もう一度行きたいですが、ほんっとうに残念ですけどMP切れですの……」


本日2度目の探索を終えて外に出るとちょうど暗くなり始めた頃だったのだが

ダンジョンは常に明るいので余計暗く感じた

実際にはセシーリアに採集だけさせると3回目も問題ないが初めてのことだらけなので今日はここまでにしよう


「今日は明日のために準備しようか」


「どこに行くんですの?」


「明日からもっと潜れるように準備しようぜ!」


セシーリアと共に取れた”破れた薬草”をもってダンジョンの入口を後にする

今日の探索でも感じたが魔法職のMP切れは何も出来なくなるのと一緒だ

初期のステータスではすぐに枯渇してしまうからMP回復できる手段が必要になる


「何度見てもすごい大きくて高い建物ですの!」


「ここで学園のみでなく色々な所への生産をしているからな」


「外の依頼も受けてますの?」


「適材適所ってやつだな ベテランで色々出来る人は回復薬(微)を作らずもっとグレードの高い物を作った方がいいってことだ」


「確かにですの…… ママはいい素材をたくさん使ってましたの」


セシーリアの母親は【薬師】だったな

大量に作るより難易度の高い物を作れるようにしたのだろう

それも育成の方法次第だろう……


「いらっしゃいませ」


生産棟に入ると受付があり、肩下まで美しく伸びた黒髪の女性が声をかけてくれた


「買取と作成依頼で来たのですが、どこに行けばよろしいでしょうか?」


「ここで大丈夫ですよ 詳細を聞いてもよろしいでしょうか?」


そう言われたのでセシーリアのバッグと俺のバッグの中身をひっくり返す

魔石(小)が6個とスライムの体液(青)が4回分に破れた薬草が18枚

普通に売却をしても280Pにしかならない…… 初心者ダンジョンはしょっぱいのだ


「これをMP回復薬(微)を出来るだけ作り、残りは売却でよろしいでしょうか?」


「はい それでお願いします」


この量だったらMP回復薬(微){MPを30回復する}を6個作れるはずだ レシピでは魔石(小)が6個と破れた薬草18枚で作れるはずだ

HP回復薬を作るよりMP回復薬を作る方が素材を多く必要とする

残ったスライムの体液で手間賃ぐらいにはなるだろう……


「これですとMP回復薬(微)を4個作成できます。全部売却で作成料を無料に出来ます」


「うぇ!?」


「どうかなさいましたか?」


どうかなさいましたよ!?予想を完全に裏切られました

意外とゲームの時より作成コストが高いのか?

これも調査が必要になるとは……


「これでお願いしますの」


完全に狼狽えているとセシーリアが割り込み話を終わらせてきた

少し悔しそうな顔をしているのが気になるな……

後でさりげなく聞いてみるとするかと思い作成時間の間に夕食を食べようと外に出る


「完全に下に見られましたの! 悔しいですの!」


生産棟を出てすぐにセシーリアが地団駄を踏む

顔にブチギレてますと書いてあるくらい怒ったセシーリアは初めて見る


「どういうこと?」


「あの量と質にこの時間で帰ってきているということを判断して”ポーン組”だと見下されましたの 完全に足元を見られましたの!」


「ガティ?」


「ふざけるのは顔だけにしてほしいですの」


リアルではそんなことがあるのかと驚いてしまったのがふざけた扱いされてしまった……

何度もダンジョンへ入ることが出来るが買い取り等が高めということを確認できた

明日からの計画を考えるか……

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