二日目と仲間ゲット?
自室へ戻り電気を点けると、部屋のカーテンが壊れており、金髪の女の子が倒れていた
彼女の首には紐が絡み、手には初心者用短剣を持っていて、ただごとではない雰囲気を醸し出している
近づいて確認をすると、豊満な胸が上下に動いており命に別状はないと確認できた
見るな変態? 不可抗力だ。許せ
続いてステータスのHPを確認すると0になっている
HPが0になるとゲームでは”きぜつ”と表記されるが、実際に絶するみたいだ
早急に彼女の首に引っかかってる縄をほどいて、初心者用短剣を装備ロッカーにしまう
短剣でHPだけ削ったら気絶したのだろう。簡単に確認するが特に怪我はない。HPって優秀だな
なんとかベットへ彼女を動かすと疲れてしまい簡単な片付けだけしたら俺もすぐに寝てしまった
「キャーですの!」
朝一番、悲鳴が部屋中に響き渡り強制的に目を覚ます
俺のベットの近くに昨日の私服のままの女の子がいた
彼女の甲高い声が頭に響いて痛くなったものの、冷静に女の子に昨日の状況を話する
「取り乱して申し訳ないですの 着替えるのであっち向いていて欲しいですの」
言われた通り自室のドアの方を見ながらロッカーに隠れつつ制服へ着替え、鏡を見る
さすがイラストレーター様がモデリングしたキャラのコピーだ
リアルで見ても格好良かった
転生しても冴えない奴じゃなくて良かった!やったぜ!
今すぐにテンション上げて喜びたい所だが、隣人に変な目で見られたくないな……
鉄の意思?で大人しくしていると声を掛けられた
「あの、すみませんですの。朝ごはんはどこに行けばいいですの?」
「一緒に行くか?」
と聞くと無言で頷いた彼女と食堂へ移動する
向かい合わせに座った僕たちは互いに無言のまま朝食を食べた
そして、授業へ参加するため教室に移動したが、その間もずっと無言で気まずい空気が流れていた
午前中の授業では実際に学校内の施設を歩いて見学して回った
扉の並び立つダンジョンの入口、ドーム球場のような闘技場、端から端が見えない程大きいショッピングモールなどあり、とても広大な敷地をやや早歩きで移動した
学校だけでも1つの街が丸々入りそうな程広大で、最新の設備が充実しているため一歩も敷地を出なくても生活出来る
昼食は全員で教室にて取り、午後からはクラス全員の自己紹介と寮や教室舎の備品などの説明などを受けた
まだまだ立ち直れてる生徒も少ないのか自己紹介は全員が控え目で活力を感じられない
やはり、この世界での”シード”は立場が狭いみたいだ
こんな状態では、ダンジョンの攻略に誘ったりとか難しそうだな……
なんて考え事していると、いつの間にか放課後になっていた
「あの、ちょっといいですの?」
朝気絶してた隣の部屋の女の子、確かセシーリアだったと思う子が話しかけてきた
躊躇したように話しかけてきたが目には強い意志を感じる……
「どうしたの?」
「ここじゃちょっとですの」
歩き出す女の子の後についていくと寮の自室へ入っていき俺にも入ってくるよう促され、テーブルに向き合って座る
寮の自室は完全防音になっており、カーテンにも防音の魔法がかかっているため部屋に入れば中の音や声は外には聞こえない
カーテン?朝のうちに修理依頼出して修理してもらったよ
「あ、あの、お聞きしたいことがありますの」
「俺に答えられることならなんでも」
「あなたのそういう態度についてですの あなた以外の皆様は私も含めかなり落ち込んでおりますの。ですがあなただけは、飄々としているように見えますの。それはどうしてですの?」
「俺からしたらこんなんは困難じゃないからな」
「ふざけるのはやめて欲しいですの わたくしは真剣ですの!」
本気でこの状況を変えたいと思っているのだろう
万感の気持ちでテーブルに叩きつけられた拳は大きい音を放ち、気持ちを全力でぶつける様だった
叩きつけた後の手に一生懸命息を吹きかけている。可愛い……なんて言ってる場合じゃないか 俺も本気で向き合うとしよう
「悪かったよ たださっきの言葉は完全に冗談ってわけじゃない 現在の状況は君が考えているものより全然悪くないからだ」
「それはどういう……」
「すまないがこっちの質問を先に答えてもらおうか なぜ昨日気絶していた? 偶然……じゃないよな」
彼女は気まずそうな顔をして、困り顔をしてこっちを見る
話したくないのは分かるが、俺がこれからする話は夢物語に捉えられてもおかしくない
よって相手のことを知ってから話したいと思った
「観念しましたの どこから話すべきかわかりませんが、まずは私の家の話から話しますの」
表情を変えない俺に彼女は諦めたように少しずつ話始めた 実家のこと 両親のこと
いい両親に育ててもらったのだろう 思い出話をする顔は楽しそうだが時折寂しそうに話続けた
そして、昨日あった出来事まで俺にも分かるように話してくれた
「そっか……色々あったんだね 気持ちはわかるよ とりあえずこれで涙拭け」
話しながら泣きそうになっていた彼女は、終わると同時に泣き出してしまった
先の見えない現状や自分自身との誓いを守れない不甲斐なさなど様々な思いが溢れたのだろう
しばらくし、泣き止んだ彼女の眼には”折れない信念”が輝いていた
「すびませんですの…… 私はパパやママのように人を癒す力が欲しいんですの もしあなたに打開策があるのなら教えて欲しいんですの」
「もちろんだ 俺と一緒にその夢叶えちまおう ただし方法は他言無用だ 出来るかい?」
「いいですの 堕ちるところまで堕ちたんですの どんな手を使ってでも成り上がってやるですの」
「オッケー 一緒に”世界”変えてやろうぜ!」
「大袈裟ですの!? でもその方が面白そうですの よろしくお願いしますの」
どちらからともなく握手し、セシーリアの顔を見ると笑顔でこっちを見ていた
初めて見る彼女の笑顔は心の底から綺麗だと思えた