転職と、変わる評価
セシーリアがレベル25になったということは、もちろん俺もレベルが25になったということだ。
それならば、善は急げだ!
早速、転職しに行こう
「転職しますの?」
「もちろんだ。すぐ行こう」
「ワクワクしますの!」
楽しそうなセシーリアを連れて、祝福の儀で使った教会へ向かった。
リンドウとカリーもついてきたけど……
「教会でなにしますの?」
「祝福の儀の時とやることは一緒だな。ここでお祈りをすると、イナンナ様の使いが現れるから、なりたい職業を選択するって感じだ」
「早速やってみますの!なるのは”ジェンマ”でいいんですの?」
「そうだ。それ以外にあっても気にしなくていいぞ」
俺の言葉を聞いて、セシーリアは目をつぶり祈り始める。
セシーリアが祈っている間、静寂が訪れる
自分の心臓の音がうるさく感じた頃……
「なれましたの!私”ジェンマ”になりましたの!」
「良かったねセシ―。」
少し涙ぐんでいるリンドウが、セシーリアを祝う。
「キセロ。聞きたいことがありますの」
「どうしたの?」
「選択出来る職業の中に、”回復術士”や”光魔法使い”とかありましたの。そっちじゃなくて良かったんですの?」
「それは、また今度説明するが、今回はそれでいいんだ。」
以前、ルインが転職していたように”ジェンマ”以外にも就くことは出来る
けど、そっちの職業にはしない。
じゃあ、俺も転職しますか。
「俺の転職は見ていても、セシーリアと一緒だから先に帰っていてもいいぞ」
「寂しいですの!みんなでお祝いしたいですの!」
なんとも嬉しい言葉を言ってくれたので、早速お祈りを始めることにした。
真っ暗な世界から、光が差す。
光は段々と広がり、白い翼の女性が姿を見せる。
「お待ちしておりました。主よりお言葉です」
なんだその展開?知らないぞ?
主ということは、イナンナ様からということか?
そんなことを考えていると、純白のローブを着た女性が現れる。
『汝、使命を与えられし子よ。王となるのです。世界を救うために。その一手に至るための知は、すでに汝の中に。』
王?世界を救う?
「以上です。”ジェンマ”の職を授けましょう」
「えっ!ちょ……」
選択肢の提示すらなかった!?
なりたいものと一緒だったから問題ないか……
しかし、まだ知らないといけないものがありそうだ。
ふぅ……
「やっと終わりましたの!」
「大丈夫かキセロ?」
「心配したぁ」
3人とも凄い心配してくる。
そんなに、時間が経った……のか?
「心配させてゴメンな。どれくらいお祈りしてた?」
「10分くらいだな。」
10分!?ついでに言うと、セシーリアは1分くらいだった。
それは心配するな……
「何かありましたの?」
涙目でセシーリアが聞いてくるが、あの出来事については話してはいけない気がする。
なんだろう。そんな直感がするんだ。
「選択肢が多くてさ、一個一個確認してたら時間がかかったんだよ」
「心配しましたの!次心配させたら、コレですの!」
両手メイスで叩く素振りをセシーリアがしている。
杖以外を持っていたら注意しよう……
「よし。レベル上げを……」
「キセロ。もう遅いぞ?怒られる時間ではないか?」
そういえば、時間ギリギリまでやって、最終戦でカンストしたんだっけ?
忘れてたよ。仕方ないじゃん、転職したらレベル上げだろ!
「そうだったな。今日は帰ってまた明日な」
「次は私たちの番だな。早くレベルを上げよう」
「うちもぉ頑張るぅ」
そうして、俺たちは自室へ戻った。
次の日――
「あ、あのすみません。お話いいですか?」
朝のHRが始まる前に、金髪ツインテールの女の子に話しかけられる。
たしか、この子は……
「マイちゃん、キセロさんに用があるの?」
「カイ君、そうなの!この前一緒にダンジョン入ったじゃん。その時に思うことがあって……」
なるほど、前回自由週間の時に、仲良し3人組と一緒にダンジョンへ入っていた子か。
思うことってなんだろう……ちょっと怖いな……
というか、クラス全体でひそひそ話している気がする……どうした?
「いいけど、放課後でいいか? 場所は……チームハウスにゲストで入れるようにするよ」
「ありがとう! じゃあ、放課後ね」
そう言って、マイは自分の席へ戻っていった。
にもかかわらず、周りのひそひそ話は止まりそうにない。
聞き耳をたてようとすると……
「聞いても意味ないですの……」
「なんで?」
「全部私たちの噂話ですの……過去最速で初心者ダンジョンをクリアしたから、注目が集まってますの」
なるほどな……
まあ確かに注目はするよな
「どんなウワサされてる?」
「メインのウワサは教官にワイロを渡してる……なんてよくわからないウワサですの」
「そんなウワサされてるの!?」
オルクス教官と仲良くしすぎたか?
確かに、クラスメイトと接点をあんまり作ってなかったのも問題だったか……
まあ、今更気にしても仕方ないだろう。
一日中、周りのヒソヒソが止まらなかったよ。
凄い嫌な気持ちになるんだな……
言いたいことは、きちんと伝えよう。うん。それがいい
「それで思うことって何かな?」
放課後のチームハウスにマイと一緒に来たら、皆いるんだよ……
ビックリして、鍛冶部屋に2人で話してるよ。
人を招待するのに、鍛冶部屋ってどうなのよ……
「わお!いきなり本題なんだね……えっと、初心者ダンジョンをクリアって本当?」
いきなり本題に入るよ。
だって鍛冶部屋だもん。長居するところじゃない。
「本当だよ。このバッチで証明できるかな?」
一応、携帯している初心者ダンジョンを攻略した時のバッチを見せる。
マイは腰につけていた、ふくろから”よく見”を取り出し、バッチを観察する
「間違いなさそうだね。まあ、そんなに疑ってなかったけど……」
「まあ、信じてくれてありがとう?」
「クラスメイトのウワサと、前回ハル君達と一緒にダンジョンへ行ったときの評価が違いすぎてね……」
俺の頭の中がハテナでいっぱいになる。
言っていることをかみ砕けない……
「えっと……どういうこと?」
「クラスメイトのウワサは、ワイロとかパワーレベリングとか言われているんだけど……」
「それは、セシーリアから聞いたな」
「知ってるんだ。けどね、ハル君達は、君に育ててもらってるって言っていてね。それでいて、ちゃんと育ってる。矛盾しているでしょ?」
なるほどな。マイちゃんから見たら、クラスメイトは俺をズルいことをしている奴として認識している
しかし、ハル達に聞いたら、そんなことは無さそう……
どっちが正しいのかわからず、俺に直接聞こうとしたってことか
「なるほどね……ウワサは事実無根かな。オルクス教官に多少手伝ってもらったことはあるけど、直接的なものじゃないよ」
「というと?」
「ルインとバトルする時に少し情報を貰ったのと、うちの鍛冶師のビーラントを紹介してもらったくらいかな」
マイちゃんは少し考え始める。
「情報はどれくらい?鍛冶師は紹介してもらえる?」
それから、俺は質問攻めされたよ。すっごい詳細に。
別に隠すようなこともないし、全部答えたけど。
「君って何も隠し事しないんだね……どう?マイをチームに入れてみない?」
「おっと急だな……」
「そこでストップですの!」
セシーリア達が割り込んでくるが……
ずっと聞いてたの?20分くらい話してたよ。
ダンジョンに行かなくて大丈夫?
「マイ。君は優秀な忍びの家系の子であることは知っている。何が目的だ?」
リンドウがマイちゃんに強めの語気で聞いているが、どこでその情報は手に入れたんだい?
「そこまで調べてるんだ。まあお父さん同士が知り合いだから調べるのも容易だったかな?」
「そうだな。覚えてなかったから調べたよ。それで、何が目的だ?ルインとも接触していたようだが」
「わお!そこまでバレているんだ……」
マイは何でも無いように答えるが、俺は警戒度を上げる
この子は何を目的に来たのだろうか?
「はぐらかすのは、やめてもらおうか……」
「まず、君たちの評価をハッキリ伝えると、ポーン組だけでなく、ルーク組からも注目をされているんだ」
そうなの!?
全然そんな感じしなかったけど……
「それで?」
「マイは勝ち馬に乗りたいんだよね。だから君たちの仲間にして欲しいんだ」
「それはスパイしたいってことかな?」
俺は正直に聞く。
そうとしか思えないからな……
「違うよ。先生やルインからチームバトルについても聞いたんだ。総合的に考えてこのチームは魅力的だなって」
「裏切らない保証は無いな。どうするキセロ?」
俺!?俺に振るの?
まいったな……とりあえず、仲間にする方向で聞くか。
「かなり、迷うけど……まずなりたい職業によるな。何の職業を目指してる?」
「マイが目指しているのは、忍者系統の最高峰。『万象侵蝕の忍姫』」
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カリキュレイト―逆転への最善手―
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