その職業っておとぎ話の世界なの?
俺はまずメイとヒスイを呼び、3人で話をする。
職業の話はデリケートだからな。
鍛冶部屋に入って話すことにした。防音加工されているから、大声でなければ問題ない。
「それで、休みの間に課題は調べてきたか?」
「うん。調べた。ほとんど分からなかった」
「というか……本当に実在するの?おとぎ話以外で聞いたことないよ」
マジか。
今回調べてもらったのは、“召喚士”の職業についてだ。
運動が苦手でも、召喚したモンスターを使えば前線で戦える。そう思って提案したんだが……。
「召喚士は存在する。運動が苦手でも戦える職だ」
「魔法で戦うか、召喚するか、支援するか……だよね?」
「ヒスイから聞いてた。家族のためにも前線に出たいってな」
メイの事情は聞いている。
だからこそ、戦える選択肢を用意したかった。
「召喚って難しい?」
「最初は苦戦すると思う。召喚したモンスターの知能が低いからな」
「それって強いの?モンスターって可愛い?」
ヒスイが目を輝かせる。
……お前が食いつくのそっちかよ。
「レベルが上がれば強いのも出せる。可愛いのもいると思うが……」
「ねぇメイ?やってみない?魔法使い多いし、支援はチーム戦向いてないし!」
「可愛いモンスター見たいだけでしょ……」
いや、メイも気になってるだろそれ。
ここはもう一押しだな。
「初心者ダンジョン攻略中に、“スノーラビット”を召喚できるようになるぞ」
「やる!」
即答かよ。
「……うん。やる」
メイも完全に決まったな。
「よし。じゃあスキル構成確認するぞ」
「えっと……『魔力アップLV2』『器用さアップLV2』」
「マジか……」
頭を抱えた。
どっちも悪くはない。だが、優先度は低い。
しかも上昇量は1レベルごとに5%。上限100(ステータス値)。
つまり、初期MPならほぼ誤差だ。
「やばい?」
「まあ……やばい。でも今はそのままでいい」
後で修正すればいい。今は方向を決めるのが先だ。
「今はレベル上げ優先だな」
「わかった」
「今日はここまで。次の3人呼んできてくれ」
「OK!ありがと!」
2人が部屋を出ていく。
少しして、ノック。
「入ります!」
「どうぞー」
次は仲良し3人組だ。
ハルは片手剣+盾。
カイは大剣。
キルシュは両手杖。
「武器、決めきれなくて……」
「俺も役割について、説明してなかったしな。悪い」
「そんなことないです!」
……学校、そこまで教えないのか。
まあいい。本題だ。
「やりたい役割はあるか?」
「僕はタンクです!皆を守りたいです!」
「俺は物理攻撃役で……どうですか?」
キルシュは黙ったままだ。
「ハルはそのままでいい。カイは武器変えるか?」
「変える……?」
「大剣は重い。CTが長くなる。
太刀にして、攻撃に特化するのはどうだ?」
「俺に出来ますか?」
「出来る。出来るまで付き合う」
リンドウが見たら何て言うかな……まあいい。
問題はキルシュだ。
「キルシュ、大丈夫か?」
「大丈夫です。考えてます」
「で、どうする?」
少し考えてから、口を開いた。
「武器……変えたくないです」
「理由は?」
「俺たち、アニメで見た設定のままやってるんです。
残りは魔法か回復かで……どっちかになりたいです」
なるほどな。
「味方の方が近い。回復寄りの方が安定するかもな」
「でも……魔法攻撃役やりたいんです」
まっすぐな目だった。
「夢や目標を追うのは悪いことですか?」
……いい返しだな。
(方向は間違ってない。……ただ、このままだと通用しない)
一番厄介なタイプだ。
「悪くない。やるなら全力でやれ。協力する」
「ありがとうございます」
「じゃあスキル見せてくれ」
嫌な予感しかしないが……。
「僕は“ディフェンス”と“スラッシュ”です」
「俺は“盾替わり”と“胴打ち”」
「俺は“つむじ風”です。レベル4です」
……あー。
ハルは問題なし。
カイは今の武器とは噛み合っているが、変更するなら合っていないな。
キルシュは……論外だ。
つむじ風は移動速度上昇スキルだ。魔法職でそれかよ。
「OK。状況は理解した」
修正は後回しだな。
「今日はここまででいい」
「ありがとうございました!」
3人が部屋を出ていく。
さて……整理するか。
盾:俺・ハル・カリー(サブ)
物理:リンドウ・カリー・カイ
魔法:ヒスイ・メイ・キルシュ?
回復:セシーリア・キルシュ?
9人……微妙に組みにくいな。
2チームだと余る。
3チームだと足りない。
「何を考えているんですの?」
「いや、色々な」
……考えても仕方ないな。
「鍛冶やるか。ビーラント呼んでこよう」
「急すぎですの!?」
それからビーラントを呼び出し、鍛冶を教えることにした。
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