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91_桜花動乱_エマ

 

 

 獣桜組にてエマは煙管から煙を上らせていた。

 

「それで、ノラ(埜良)アナ(亜那)、状況を説明してくる?」

 

 剣呑な空気を出しているが、エマは激怒していた。

 双子姉妹であるノラとアナは正座で頭を下げたままだった。片方には猫の耳がノラ、もう一方にはロップイヤーのような垂れた兎の耳が生えているのがアナだ。

 

「何とか言って見たらどうなん? じゃあノラ、説明頼むわぁ」

 

「此度の一件、大変申し訳ありません。何者かによってアンドロイド部隊を一小隊分略奪されました。自壊プログラムを作動させましたがプログラムそのものが書き換えられているようで制御できず……現在はシルバーベルの辺りに居ます」

「随分な失態やな、どう責任取るん?」

「既に馬組には通達、排除を要請しております」

「それだけでほんまに解決できるん?」

「……馬組の方からシュミットトリガ社の令嬢が助っ人として参戦して下さっているので問題ないかと」

 

「シュミットトリガ社……なるほどなるほど、セレネが協力してくれるんやな?」

「はい、情報が正しければ。シュミットトリガ社の知識であればアンドロイド兵を倒すのはさほど難しいことではないと考えられます」

 

「ふーん……そうかぁ」

 

(これでセレネに恩を作ってしまってもうた……次の商談はどうやってゆすってやろうかなぁ……まぁでも身内のゴタゴタに巻き込んだ詫びもせなあかん。兎組にはちいっとお灸を据えたろう)

 

「更に現在馬組にはナガトがいます。訓練中とは言え中々使える人物との評価もあります」

「ナガト……あぁ……フソウの弟ね」

 

 この情報でエマの怒りは頂点に達した。

 携帯端末で通話を繋ぐ。

 

『はい狗組です』

「ああホロケウ? 足用意してくれる? 特急便で」

『御意、天帝陛下にご一報を』

「おおきに」

『それでは十分ほどお待ち下さい』

「ほなまた」

 

 通話を切る。

 

「まさか……ご自身がお行きになられるのですか?」

「君影研究所の子を勝手に鉄火場に持っていったこと詫び入れてくるわ。ノラもアナも頭下げに行くんやで」

「「御意」」

 

 

 エマは携帯端末を操作してカナメに電話をかける。

 

『どうした?』

「天帝さん? ちょーっとうちのがやらかしてしもたから今から頭下げに行くわ」

『何やったんだ?』

「うちで抱えていたアンドロイド兵の一部が乗っ取られて暴れてしまってるんよ」

『あれはお前のところだったか……』

「もう実害出てるん?」

『まだ出ていないが、知人が一人アンドロイド兵に追っかけられていてな』

「知人?」

『死なれると困るような知人だ』

「それ人食い虎とちゃうん?」

『……さぁな、そっちで言う人食い虎かは知らねえけど、ヤマトっていう名前の男なんだ』

「ふーん……ヤマトかぁ……」

『今はそいつの回収をしているからこっちに来ても応対できねえかもな』

「かまへんかまへん、元々うちの失態や」

『わざわざ謝りに来なくても良いんだが』

「こういうのは礼儀が大事なんや、筋は通させてもらうで」

『わかった』

「おおきに」

『じゃあな、あとNNEDとアンドロイド兵についてちゃんと経緯を教えろよ』

「わかったわかった」

 

 エマは通信を切る。

 

「なぁ、NNEDがどうしてカナメの口から出てくるん?」

 

 エマは二人を睨み付ける。

 

「昨日、シルバーベルの強襲を受けた際に寅組倉庫を漁られたものと思います」

 

 アナが説明する。

 

「誰がやったん?」

「おそらく……今あの倉庫に入れるのは私とノラと、タイガと人食い虎だけです」

「つまり?」

「ヤマトが獣桜組に復讐しようとしているのではないかと……状況的にそれしか思いつきません」

「なるほどなるほど……つまり人食い虎がうちらに復讐するためにシルバーベルと手を組んで寅組倉庫からNNEDを持ち出したと」

「はい、シルバーベルにはエイトボールと名乗る男がいます。噂では元公安でかなり腕が立つとか、アンドロイドにハッキングをしてプログラムを書き換えるなんてお手の物かと」

 

「たしかに、でもアンドロイド兵は人食い虎を攻撃しているんだと」

「エイトボールが用済みになった人食い虎を消そうしているのではないかと」

「たしかに公安ならやるかもしれんなぁ」

 

 

 エマの通信端末に通信が入る。

 

 

『車の準備が出来ました。正面につけてあります』

「ホロケウ、おおきにな。すぐ行ったるさかいちょっと待ってな」

『御意』

 

 

「ほな二人とも、行こか」

 

 エマはニッコリと怒りながら車へ向った。

 

 


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