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75_桜花動乱_メズキ

 

 京都は伏見、馬組事務所。

 

 

 メズキ(梅月)の朝は速い。

 砂を詰めたリュックを背負って早朝に20キロのランニングからスタートしてシャワーを15分浴び、朝食を10分で支度、5分で食べ、5分で片付ける。

 

 スケジュールは既に決まっており、今日はエマに呼び出されている。それから組の帳簿を確認し無駄遣いがないか審査。

 午後には戦闘訓練に参加を予定している。

 

(無駄の無いスケジュール)

 

 

 いつも通りの朝を過ごすと、エマに挨拶へと向った。

 

 

 

 

「おはようございます」

「安定の十五分前、流石メズキやわぁ……」

「お褒め頂き恐縮です。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「あんなぁ……シルバーベルがなんやらちょっと怪しい動きをしてな。その調査をして欲しいんよ」

「我々の部隊は強襲をメインとしております。調査であれば鶏組のヒクイか兎組のノラとアナに任せれば良いかと。わざわざ我々の部隊が出る幕では無いと思いますが」

「兎組に調査を任せとるんやけど、しくじったみたいでな。何人か殺されてしまったんよ」

「逃げ足で有名な兎組が?」

「そうなんよ。正確には死亡というより行方不明なんやけど。状況から考えて死んだのという感じらしくてなぁ」

 

 自社の人間が死ぬこと自体、獣桜組ではよくあることだ。だがそれでも人が死んでも顔色ひとつ変えないエマをメズキは少し恐ろしく感じた。

 

「つまり、調査は調査でも、威力偵察ということでしょうか?」

「そーそーそれそれ。頼めるん?」

「御意のままに」

 

 メズキは一瞥すると直ぐに踵を返して、自分の組が預かる訓練場に赴く。

 

 

「全員! 並べ!」

 

 メズキの目が見開き、それまで各々訓練していた者たちが一斉に横一列に並ぶ。

 

「副隊長、留守の者は!」

「おりません!」

 

「全員よく聞け! エマ組長直々のお達しだ。これよりシルバーベルに威力偵察に向う! 総員準備を始めろ。出立は二時間後!」

 

「「「了解!!」」」

 

「副隊長」

「はい!」

「小官の装備一式を用意しろ」

「了解!」

 

 

 獣桜組の幹部が一人、馬組を預かる若き女傑。

 頭に伸びた二本の耳がピクピクと動く。尾てい骨からは馬の尻尾が時々左右に動いている。

 

「お持ちしました」

 

 部下がテーブルを組み立てるとメズキの装備一式がずらりと並べられる。

 黒鹿毛の髪に合わせるように黒で統一された軽量合金プロテクターからまずは装備する。

 

「……使ってみますか」

 

メズキはフルフェイスのヘルメットをまじまじ見つめてから装着する。

 最近、獣桜組と取引を始めたシュミットトリガ社という装備メーカーから送られたライダー用のヘルメットらしい。

 軽量だが頑丈な上に、ヘルメット内部にはスピーカーやカメラがあり、360度を一度に診ることが出来る。

 その上、携帯端末操作のアプリでGPSと通信して最適ルート検索や表示をしてくれる便利な代物。

 

 装着感は良く、従来よりも軽い。

 

「まぁまぁでしょうか」

 

 テーブルに残された馬鹿みたいに大型のレバーアクション式の銃とタワーシールドを装備する。

 

 

 メズキの準備が終る頃には護送車に全員が乗り込みメズキを待っていた。

 

 中に乗り込むとメズキは車を走らせるように指示を携帯端末で送る。

 

 

「これより任務を始める――」

 



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